社会のなかの人間科学 Day6
大学院の講義の中で学んだことのリフレクションを社会にも役立てるべく、また自分の備忘録としてnoteに記す。
トラスジェンダーを生きるという体験をめぐる質感的構成についての研究をされている京都大学の町田奈緒士先生のゲスト講師を迎えての回である。トランスジェンダーを含むLGBTは人事テーマの中でもダイバーシティー&インクルージョンの文脈において近年ホットなトピックスである。採用エントリーシートから性別を男女その他で回答させるなど、従来の二元論から時代は変わりつつある。とはいえまだ時代は変わりつつある黎明期であり、トランスジェンダーを生きてきた中での様々な葛藤があった事例を聴いていく。中でも女性という姿に似せるように振舞わざるを得ないという構造の中で、「擬態」を使うということをいっていたが、それはどんなに辛いことか、きっとそれは想像の範疇を超えているのだと思う。擬態を使うことに後ろめたさを感じていた方の事例で、トランスジェンダーという概念との出会いで衝撃を受け腑に落ちたという話が合った。言葉の意味付けによる理解が人の葛藤を助けることがあるのだなと思った。講義の中のディスカッションで、擬態を使うようなマイノリティーはトランスジェンダー以外にも日常の中で溢れており、むしろ普通とは誰のことなのかと考えさせられた。社会には多様性が日常であって、多様性の裏で擬態を使う人がどこかに潜んでいるかもしれない。他者の眼差しを「器」という受け皿で受け止めることが大事たという先生の言葉には重みが感じられた。