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自分をさらけ出さないといけない、定食屋。

この三連休は、子どもが生まれてから初めての夫婦ふたりの温泉旅行。

全く子どもと無関係というわけではないが、事実上初めてである。

まぁ私も年をとった。
妻とディープな温泉街を歩き、お酒を交わしながら今か、こんな時間が増えるから楽しむためにも元気でいようと、じぃーとばぁーの会話をしました😂

そして、このディープな温泉街の出会いと人の出会いがとても印象に残ったのでnote します。

お昼に行ったおばーちゃんが切り盛りする、大皿料理のお店へ行きました。
そのお店は、温泉街アーケードの奥にある見た目はボロボロ( ´艸`)さらに、謎に暖簾もかかっておらず立てかけてある状態!?

そんな見た目に負けず、店内に入ってみる・・・

「こんちにはー、二人だけどいいですか?」
の問いかけに
「今ご飯がなくて、15分かかる」
の返事
「待ちますよ」
と返事をするが、それからのアンサーはなくて、オロオロする私たち💦

雑然とした店内で、カンターしかない。
席は4っつほど空いているが、前の客が食べたであろう皿がまだあり、座るに座れず

待っていても何も起きないのだ。
食事の店はフルサービスっていうのが、当たり前だがここで待ちの姿勢は何も状況が変わらない。
それを先に察した妻が、テーブルを片付け皿を重ね厨房へ持っていく。
「あ・・ありがと」
「フキンありますか?」
「はいこれ」

事が動き出した
やはり、ここは自分で状況を状況を切り開かないとことは動かない場所だと認知。

とりあえず確保した席に座り、ごはんが炊けるのを待つ。

待っている間に、周りの観察をする。

目の前にとり皿が並んでいる。
そして、少し離れた場所に大皿料理たちが並んでいる。
その大皿料理たちは、全てカンターに座っている人の前に鎮座しているので、とるためには身体を斜めにして手を伸ばすしかない。
とイメージトレーニングをしておく。

そんなこんなで、ご飯が炊きあがり奥でカウンターで食事をしていたおばちゃんが、慣れた手つきでタオルで内窯を取り出し
「熱・・熱つっつぅ」「どいてどいてぇ」
と、狭い店内を小走りに厨房へ入っていく。

数分して、お盆にご飯が4っつやってきた。
余分な二つは、後からやってきて隣に座った、東南アジア系の若者二名の分だ。
次にやってきたのが、みそ汁。
例のおばちゃんが
「アツアツじゃないけどね」
と厨房からお盆に二つだけみそ汁を乗せ、手渡してくる。
これは、私たちの分なんだろうか?隣の外国人の分?
と悩んでいるとおばちゃんから指で「よこよこ」って指図される( ´艸`)

「あ・・・はい」

やられた、私の躊躇した無駄な動きがばれていたのだ。
で隣にみそ汁を渡した後、おばちゃんに目を合わせると、厨房のおばちゃんが手を差し出し、こちらへ渡せと合図。

もうすでに、上下関係が成立してしまう。

やられた。

あれだけ、受け身ではだめだと感じ取っていたのに・・・やられた( ´艸`)

そして、ボス的存在のおばーちゃんからの指示
「皿!」

もう、従うしかないですよね。
私は精一杯掴んだ皿を、厨房にいるおばーちゃんへ渡す。

すると、いつの間にか上げていたとんかつを乗せてその皿が返ってくる。
間髪入れずに妻分の皿を渡した俺グッジョブである。
やっと連係プレイが出来た感じ。

いやいや、まてまて・・・
「何故、ここにとんかつがやってきているか?」
「違う、ここで躊躇してはいけないボスがとんかつをチョイスしたのだ、きっと揚げたかったのだ」
「受け入れるしかない」

とんかつにかけるソースを探すと、隣に座っている日本人とドイツ人の間にある。
言語は英語で観光がどうのこうのずっと話している。

ソースが欲しい・・・

逃げちゃだめだ・・・逃げちゃだめだ・・・と自分に言い聞かせ。
ソースを取ってもらう。

このやり取りが功を奏したのか、その後の展開が起きる。

「あ・・お初の方ですね」
「えっと、普通は一人一皿のルールだけど、もうとんかつが皿を占領しているので、もう一皿使ってください。あとは適当に好きなもの取って食べて」

と、初めてこの店のルール説明が行われた。

それも、常連の方の権限でルール変更も可能とは、この人の階級はどれくらいあるのかと!と驚きつつもやっとゲーム(食事)スタートだ。

ここまでいけば後は、最初にシミュレーションした通り、取りたい大皿の前にいき「すいません」とか「エクスキューズミー」と言いつつ料理を取る。

今日は、とても珍しいぐらい忙しく、大皿に料理が乗っていないらしい。そんな会話を聞きつつとんかつメインに食べ進めていく。

すると、おばーちゃん(ボス)が大きなエビフライを作った。そのエビフライは隣の若い外国人と最初にごはんとみそ汁をよそってくれた人へ渡していた・・・・

「え・・・💦」

どうやら、あのおばちゃんすらも常連の客だったらしい

「えーこんなエビフライ二つも・・・贅沢・・・」
と言いつつ追加でもらっていた。

その後私たちも、隣の英語堪能おばちゃんとコミュニケーションをして、大皿料理が追加される前に店を後にした。

周りの方から
「もういいの?」
「今日は残念だったね」
と言われつつ・・・料金600円😶を定員のようなおばちゃんに!?お金を渡したのでありました。

いやいや、すごい経験でした。

食べたことよりも、そのやり取りが楽しい。

もうこれは、アミューズメントですよ( ´艸`)

丁寧とか、気が利くとか、見た目が先行するこの時代。
そんな中、一人のおばーちゃんが料理を作りその味を守るために常連の人たちが守ることで店が動いている。

こんな濃いコミュニティが成立するのは田舎のいいところ。
そっけない。
しかし、それは自分から飛び込み自分からさらけ出さないといけないということ。
仲間になりたかったら、またおいでと言われたような気がした。

こんなコミュニティに触れることが出来て良かった。

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