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流水不腐

「自分の想いをどんな言葉で伝えますか?」と問われたら、僕は即答する。

「流水腐らず」

常に流れている水は、よどんで腐ることがなく、それと同様に常に動いている『モノ』は、沈滞したり腐敗したりすることがないという例えで使われる。

この言葉に出会ったのは高校生二度目の一年生の時だ。
二度目というのは、恥ずかしながら勉強についていけず高校一年目にして留年してしまったからだ。

隣町の神戸にある元町高架通商店街(通称:モトコー)は、行きつけの買い物通りの一つ。今は老朽化に伴い思い出となってしまったその商店街には、服はもちろんのこと古本屋や雑貨屋、時代遅れになった機器を売る店に怪しいハーブ屋などワクワクがいっぱい詰まっていた。
いつもの様に服を探しに訪れていて、店先に飾られたTシャツに心惹かれた。あまり見ないえんじ色した生地の胸元に見慣れぬ言葉が印字されてあった。

Tシャツを見上げていた少年とむにすかさず若い男性店員が駆け寄った。

「そのTシャツかっけーやろ。りゅうすいふふって読むんやで!
意味は流れる水は腐らない、動き続ける者も腐らないってゆー意味や!」

この言葉によって心が妙にざわざわワクワクしたのを覚えている。留年して少し傷心中であったが故、余計に刺さったのかもしれない。買ってしまった。

着古すまでとことん着た。Tシャツのお役目を終えた後も言葉だけは心にじんわりと残り続け、その後の人生何度もこの言葉に救われることになる。

僕の人生は七転び八起き。留学断念、職業選択失敗、海外逃亡、上京失敗、引きこもり、障害発覚、実家全焼、事業計画断念、パワハラモラハラとネタには困らなかった人生だし、これからもいくつもの壁にぶち当たりはすると思う。

何かが起こるたびに僕は心の中で大きく呟く。

動き続けるものは腐らない!!!!!

何かにぶち当たったからといって立ち止まっては勿体無い。前を向いて歩み続ける限り僕は(あなたは)腐らない。人は何度だって、いつからだってやり直せるし始められるんだということを声を大にしてお伝えしたい。


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