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【ハーモニカ仁義】ハーモニカがサックス奏者と合奏する時の巻【仲村哲也】
とかくハーモニカは独奏、又はソロ楽器としてバンドアンサンブルの上に演奏する機会が多いと思いますが、時として、サックス奏者と合奏する機会もあるでしょう。
サックスはマウスピースに固定されたリードを振動させて発音するので、ハーモニカのソレと合わせるのは基本的に困難です。
しかしそのアンサンブルを売りとするバンドに参加した時期が長かったので、様々なシチュエーションでサックス奏者と演奏して来ました。
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サックスのピッチは気候や温度、標高などでも著しく変動するので、マウスピースでアジャストしながら演奏できますが、ハーモニカはそれが出来ません。又、キンキンするスクィーキーな音色では混ざり合いません。
自分的には、1960年代初期のR&B/SOULなどで聴けるテナーサックスとトランペットのアンサンブルを参考にしていました。楽曲によってはアルトサックスの時もありましたが、音域が近いのでより難しかったですネ、、、、
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特にデヴィッドサンボーン以降のアルトサックス奏者は、音色にブライト感を出す為にピッチが少々高い気がします。
しかしハーモニカは、ベンドで音程を下げながらアジャストできますが、高い分には対応できません。ですからアルトサックスとヤル時は、自分のハーモニカ全体のピッチをいささか高く調律し直してそれをベンドしながら合わせていました。
でもデヴィッドサンボーンさんに影響を受けていないサックス奏者を探した方がよっぽど楽だ(笑)という結論に達しましたネ。
自分の経験からハーモニカは出来るだけ丸く太い音色を心がけ、サックスはその輪郭を補う立場で合奏すると良く混ざる様です。
あくまでもハーモニカがアンサンブルの主役の場合です。
いずれにせよ、お互いに合わせる気持ちが最も大事だと思いますネ。
注)デイヴィッドサンボーンさんのピッチが高いと言う意味ではありません。
(2023.4 ハーモニカライフ100号に掲載)
仲村哲也 (TEX NAKAMURA)
-Profile-
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1980年代始めまで、自己のバンドでエレクトリック・ベースを担当していたが、1950年代のサウンドに取り憑かれ、アップライト・ベースに転向。
1983年に、FENから流れてきたJ ガイルズ・バンドの「ワーマージャマー」に衝撃を受けハモニカを手にする。
妹尾隆一郎氏に師事し基礎のテクニックを収得。その後は、「F.I.H.ハモニカコンテスト」入賞、アポロシアターのアマチュアナイト・チャンピオンシップに出演(日本人初)するなど、数年の間にトップクラスのハーピストとして活躍する。
以後国内でスタジオミュージシャンとして数多くの録音に参加。1992年渡米。
西海岸人気ファンクバンド「WAR」にリーオスカーの後釜として抜擢され、年間平均100本ワールドツアーに13年間参加。Tex NakamuraやWeeping Willow(咽び泣く柳)の名で、現在も米国ロサンゼルスを拠点に幅広い音楽性と美しい音色で活動中。
●オフィシャルWebサイト
http://blueslim.m78.com/nakamura_tetsuya.html