Your bouquet you
もう名前も顔も戦い方まで覚えた相手と向かい合いながらジャンニは言った。
「お前、こんなに俺殺すの失敗してて大丈夫なのか?」
スーツがところどころ裂けた部分からは傷や出血があるが、特に重症ではない。
相手に向けて一応銃も向けているのだが、もう30分以上やり合ったし、そろそろいいかなといつも止めるタイミングだ。そこも妙に阿吽の呼吸で、向こうも刀を構えてはいるがそこまでやる気も見られない。こうなるともう、どちらが獲物をしまうかだけの問題なので、銃を構えてる方からだなと思い、ジャンニはガンホルダーに銃を納めた。
大体、ジャンニは身軽で避けるのが上手く、主にステゴロと銃で戦うのだ。クガイの武器である刀とは絶妙に相性が悪い。クガイの刀はジャンニに届かないし、ジャンニは刀のせいで間合に入っていけない。それでも弾を避け傷を負わせるのはすごい実力だと思うのだが、これではいつまでも決着がつかないだろう。
銃がガンホルダーに収められるとクガイも刀を納める。
「依頼主がお前の妙な能力に興味さえ持ってなきゃすぐ殺せんだよ。時間がかかってもいいからできれば生け捕れって言われてんのがネックだな」
この短期間に大組織でのし上がれた理由の一つに、幻覚を見せたり記憶を操作したりできるというジャンニの能力がある。いつからこんな力を持っていたか覚えていないが、ストリートギャングだった頃にはもう使っていた。おかげでマフィアのボスにも、仲間と抱き合わせで拾ってもらえたのだ。
「刀で殺せんのかよ。負け惜しみだな」
笑って見せたが、どうせ殺されるならこいつがいいかなとは思っている。
これも毎度のことなので、素直に建物の裏に連れ込まれたクガイがジャンニの前を探る。スラックスの上からでも見てわかるぐらい、それは既にしっかり存在を主張していた。
「いつからこんなになってんだよ」
「終わった後じゃねえなあ。やり合ってたら興奮すんのかな。いつも気づくとこうなってる」
「変態だろ」
言ったクガイが壁に押し付けながら唇を重ねて来たので舌を絡める。舌を上から下まで舐め更に奥まで味わうと、吸い取りながら唇を離した。
「すげえ美味い」
こいつとキスをすると、いつも何かじんわりと甘い気がするのだ。それをまた味わいたくてこちらからキスをすると、今度は向こうが舌ピアスの周りを舐めてきた。それだけでヤバいと思っているのに、耳を触られると体の力が抜ける。
慣れた手つきでスラックスのボタンを外し手を差し入れて来た。
「こんなに濡れてると下着気持ち悪ぃだろ」
耳を舐めているその耳元で言いながら手を動かされるのですぐに達しそうになる。が、今日は何となく、手ではイキたくなかった。
「ちょ…待て。待てって」
言って止めると自ら壁に手をつく姿勢になり、ねだる。
「すぐ入れろ。ゆっくりだぞ」
「大丈夫か」
クガイは前を触ったためヌルついた手で後ろを辿り、場所を探った。目当ての場所に辿り着いた手が指を1本、2本と差し入れ、そこをグルリと強く抉ると膝に力が入らなくなった。
「…んあっ、…っ、今日…ヤバい…」
入り口に当てられただけで前がピクリと更に持ち上がり、なにか熱い塊が下腹の中を侵す。
「…あ…はあ…」
その熱さをどう処理していいか分からず息遣いに逃すがそんなものでは足らず、ゆっくりと奥に入るごとに熱くてむず痒いような感覚が続き、目尻に涙が滲む。
「…あ…イク…イキそ…」
我慢するのだが、差し込まれていくだけで腰がジンジンする。
一旦奥まで届いたものがまたゆっくり引かれる途中で、我慢していたものが弾けてしまった。
「…っ、ん、んう…っ」
何回か壁に放ったが、今までの快感の割には思っていたほどではない。
終わったと思い抜き去ろうとしていたらジャンニが言った。
「まだっ、そのまま…っ。続けろ」
こっちとしてはまだイッてないので都合が良い。全く衰えていないそれで一気に奥まで突いた。
「…うっ、…っは…」
衝撃を全身で受け止め、顔を擦りそうなほど壁に近づく。
「あぁ…すげぇ」
味わうように言ったかと思うと、中がキュウっと絞られて来た。それが本人もたまらないのか、必死で呼吸を整えている。
少し落ち着いたところで動きを再開した。
「あっ、あ、んっ、あ…あぅ、う、んん、くぅ…っ」
規則的な動きに揺らされながら、ジャンニが振り返った。
頬が紅潮し、表情は快感に溶けたようにも耐えきれず泣きそうにも見える。
「もっと…激しく…っ!」
煽情的な表情と言葉にゴクリと唾を飲み込むと、思い切り奥を抉った。
「ああっ、イイ、そこ、うぁ…イイ…っ、ん、あっ、イク…っ」
中が何回か痙攣しイッたようだったが、自分はまだなので動き続けていると、また中が絞られ出した。
「あ…あっ、ヤバ…また…クるっ、あっ、や、イッ…っ、んんー…っ!…っ」
「…くっ…」
同時に達した後、崩れ落ちそうになったジャンニを支え自身のそれを抜く。
「なんか…すげぇ出た…」
言いながら服を整えると壁を背に地面に座り込み、汗で額に張り付く髪をかきあげた。
「…次いつだよ」
「お前抱くために来てんじゃねぇんだよ」
左手の薬指に指輪があるのをクガイは知っていた。
「決まった相手がいんだろ。俺とやっててイイのか」
左手の甲を目の前に上げ、指輪を見ると言う。
「こういうの付けさせんのが好きな奴ってだけだよ。それだけだ。俺が特別って訳じゃねえし」
ニヤリと笑うと続けた。
「でも今日は、お前が狙って来なけりゃそいつんトコ行ってた頃だな」
こういう職業にはそんな関係も必要なのかもなと思いながら、クガイはさっきの質問に答えた。
「まあ2週間よりは後だろうな」
「楽しみに待ってんぜ。殺されんのもヤんのもな」
立ち去る背中から聞こえる言葉に
だから、生け捕りしに来てんだって言ってるだろ。
思ったが、何も言わず片手を上げて答えると、建物の影を抜け表通りに出た。
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