プリパロ1
(トプ画はロロたんめん様より✨)
電車が混んできた。
プラットフォームから流れ込む人々に押され車両の端まで移動してしまうが、ちょうど座席とドアの角が空いていたので、ザカムとスイヒにはそこに入ってもらい、二人を庇う形で壁に手をついたジャンニはホッとする。
この路線は一駅区間が長いので痴漢が多いらしい。二人は十分に強いのだが、これだけ人が多いのは心配なので、やはり一緒にいて良かったと思った。
何か携帯画面を見ながら話をしている二人に目をやり、ぼんやりと窓の外を眺めている時、鞄らしきものが足に当たって来た。頭上の荷物棚は空いてるのだがと思っていると、その鞄が足の形に沿う様な動きをしだす。電車の揺れのせいかなと放っておく内に気づいた。
これは…手なのか?
足の形だけ辿っていたものがその上まで、腿から臀部の形を辿り、ついには足の間の空間にまで手が差し込まれ、割れ目から裏筋まで触り出す。
痴漢?私が?
なぜ自分が痴漢にあっているのか混乱しながらも、目の前の2人ではなく自分で良かったと思う。一駅の辛抱だ。次の駅に着いて人の動きがあれば、自分が触っているのは男だとさすがに気づくだろう。髪が長いので、これだけ混んでいたら顔が確かめられず、女性と思われることもあるかもしれない。
だが、次の駅に電車が止まりドアが開いて閉まっても状況は変わらない。それどころか更に大胆に触られ出し、もはや前は手で包み込まれるほどに、もう片手は割れ目から少し奥まで、服の上から指を押しこむように触られている。
二人に気づかれないように我慢しているのだが、触られている場所が反応し出し、息遣いも少しずつ荒くなる。
もうこれは、触っている相手は男だとわかっている触り方だ。先を強く刺激されると少し声が出てしまったが、電車の音でかき消され、二人には聞こえなかったようだった。
次に止まったら降りられる。そこまでの間だ。
腰に溜まった快感を必死で抑えていると、プラットフォームの端が見えて来た。
やっと終わった…。
全身の力が抜け立ちくらみがしそうな気持ちで、開いたこちら側のドアから押し出されるように外に出た。
「大丈夫?」「水買って来るか?」
ジャンニを真ん中に、挟むように座った二人が、かわるがわる言って心配してくれている。
買ってきてくれた水を受け取り飲むと少し落ち着いて、話せるようになった。
「ごめんね。ちょっと人が多くてのぼせたよ。二人は大丈夫かな?」
「うん、全然」「あんなのいつもだもんな」
ふっと笑い、ジャンニは言った。
「二人は強いな。私が普段店からあまり出ないもんだから、こんな人混みは久しぶりでね」
自分はいつまでこの二人を守れるのだろうか。
思いながら続けた。
「もう少しここで休んで帰るよ。ごめんね、家まで送れなくて。今度ウチにきた時はお詫びに何か奢るよ」
後ろ髪を引かれるように帰って行く二人を見送り終わると両手で顔を覆い、ため息をつく。
「でもちょっとこれは…鎮めて帰らないとダメだな」
駅のトイレの個室に入り、鍵をかけただけで、収まっていたそこが形になる。ゆるゆると触っていると、さっきの痴漢の手つきが思い出され、一気に反応した。
考えたくもないが、気持ちよかったのだ。あと一駅あったなら、多分耐えきれなかったと思う。
腰に溜まっていた快感が蘇り、されたのと同じように先を触った。
「…っ」
体に電流が走り、寄りかかっていたドアがガタッと音を立てる。
知らず知らずのうちに手が速くなり、溜まった快感がじわりとひと所に集まる。
「ふ、ん、…っぁ…っ!」
頭から足先まで痺れ、放たれたものが水の上にパタパタっと落ちる。
何回かの痙攣が終わり体の汚れの処理も終わると、壁をずるずると滑り落ちるようにしゃがみ込んだ。
ああ、もう最低だ。
私は、二人を送りながら、何をしている。
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