Meet The B レポート
※2023年3月16日に投稿した記事です
こんにちは。パブリックグッド菅原です。
2023年3月11日(土)に、日本で初めてB Corpが一堂に会する参加型フェア「Meet the B」を開催しました。わたしは、このプロジェクトの発起人お三方と一緒に、企画立案・運営進行・PRを担当しました。ここでは当日の模様をレポートします。
※写真はほとんどが西田香織(Kaori Nishida)さんと鳥居さんが撮影されたものです。無断転載禁止です。
そもそもB Corpってなに?
B Corp認証は米国のNPO法人「B Lab™️」が運営する国際認証制度。公益性の高い事業を展開する企業が、実際の業績や透明性、説明責任などについてB Labが設定した200を越える厳しい基準をクリアすることで取得することができます。企業内の仕組みや取り組み、商品単体ではなく、企業全体を評価するところに特徴がある認証制度で、現在、全世界89カ国160以上の産業で6,400以上の企業が取得しています。代表的な取得企業には、アウトドアブランドのpatagonia(米)、食品メーカーのダノン(仏)、大手メディアのThe Guardian(英)、アイスクリームのBen & Jerry's(米)、靴メーカーのAllbirds(米)、スノーボードメーカーのBurton(米)などがあります。弊社も国内のマーケティング業界・PR業界では初のB Corp企業を目指し、22年夏に取得申請を終え、現在、最終面接の設定を待っている段階です。
https://www.bcorporation.net
12:00~開場・開会:大切にしたのは「はじめまして」からはじまる対話
実は、開会冒頭、司会から来場者の皆様に向けて、次のようなコメントを用意していました。
こうしたナレーション原稿を用意した背景には、B Corpが認証制度であり、持っている/持っていないという区分けができやすいこと、B Corp自体の認知が低いので知っている/あまり知らないという区分けができやすいことなどの観点から、会場内にそこはかとない内輪受け感が出てしまうのではないかという心配がありました。が、始まってすぐに、それは杞憂だったことが分かりました。
開場するや否や、司会や運営が促すまでもなく、自然と、あちこちで積極的な情報交換が始まっていったのです。というか、あのー、すんません、ちょっとこっちの話も聞いてもらえますかね?と司会の声が届かない場面があるほど、至るところで対話が生まれていきました。これには驚きました。
12:30~:林千晶さん、溝渕由樹さんと、発起人・鳥居希さんのトークセッション
ロフトワーク創業者で、現在は秋田や富山などの地域の課題解決に取り組むQ0(キューゼロ)の林さんと、22年に国内の飲食業として初めてB Corpを取得したビーガンクッキーのovgo(オブゴー)bakerの溝渕さんにご登壇いただき、本イベントの発起人であるバリューブックスの鳥居さんが進行役でトークセッションが行われました。
事前の打ち合わせですり合わせた内容と全然違う話になり過ぎましたが、とても面白かったです。林さんから、B Corpのアセスメント項目のひとつであるダイバーシティについて、「アメリカでは人種や信仰、国籍など多様性の問題は議論されているけど、日本にある?」という投げかけからの議論がぼくは好きでした。日本にもあるんですよ、ほんと。詳細はアーカイブ動画をご覧ください。
13:30~:カウチセッション
カウチセッションとは、いきなり直接話しかけるのは気後れしちゃうけど、誰かが話しているのは聞いてみたい、というコンセプトから生まれた企画。ソファに座ってカジュアルなスタイルで気軽に参加してもらうコンテンツだったのですが、気づけば「結局のところ、資本主義って~」みたいな議論が聞こえてきて、かなり胸熱でした。このカウチセッションの合間、14:46に東日本大震災で被災された方々に黙とうを捧げました。
15:00~:ハナ・カジムラさん、宮武徹郎さんのトークセッション
allbirds米本社でサステナビリティ部門のトップであるハナさんが初来日、アメリカを中心に最新テックニュースなどを解説するポッドキャスト番組「Off Topic」の主宰・宮武さんが聞き手となって、B Corpのリーディングカンパニーであるallbirdsの取り組みをお話しいただきました。ハナさんと、本番前のリハーサルでちょっとだけお話ししたのですが、「父が日本人なのに日本語が全然できずにごめんなさいね」と仰っていて、とてもラブリーな方でした。
某巨大ECプラットフォームがプライベートブランドとしてallbirdsの模倣品を販売したときのエピソードがすごかったです。allbirdsのCEOが「わたしたちは全てをオープンソースにしているのに、デザインだけ模倣した。商品に組み込んでいる環境配慮まで真似て欲しい」と手紙を出したそうで、なんか、もう、めちゃくちゃかっこいいな!って感じました。こちらも詳細はアーカイブ動画をご覧ください。
実効性を重視するB Corpならではのイベント運営
B Corpが他の認証制度と大きく異なるのは、取得を希望する企業にその実効性を求めている点にあります。言っているだけではだめで、それを実行しているという証拠をきちんと提出しないと認証されないという要件が、取得難易度を上げているのですが、このイベントについても、サステナビリティやインクルーシブについて、「言うだけじゃなく、やる」という点を重視しました。
まず、発起人が主宰するB Corp勉強会のメンバーに向け、イベント開催に先立ち、それぞれの経験から「サスティナブルなイベントをうたっていながら、これは残念だよね」というあるあるをアンケートで収集し、その結果を踏まえて、様々なメンバーの協力のもと、サステナビリティイベントガイドラインを策定しました。
このイベントではできる限りこのガイドラインに沿ったイベント運営を心掛けました。シングルユースにならない部材の使用をはじめ、場内にキッズスペースを確保、全てのトークコンテンツに手話通訳、運営サイドを含めできるだけ紙を使わない工夫、マイボトル持参の推奨、運営スタッフはボランティアやプロボノ中心で実施、CO2オフセットなど、B Corpが掲げるサステナビリティ、インクルーシブを実装していきました。
17:00~:ネットワーキング
もはやこの時点では、運営スタッフとか来場者とかの区分け自体に意味がなくなり、全員で会場内を片付け、懇親会向けの場面転換を行いました。patagonia篠さんの乾杯のご発声ののち、B Corp企業からご提供いただいた飲食物を楽しみながら、会場内は熱気に包まれました。
Meet The Bを終えて
「Meet The B」のテーマは「いい会社ってなんだろう?」です。これは、B
Corpという認証制度がシンプルに「良い会社を増やそう」という理念を重視しているためです。
パブリックグッド創業から10年が経ち、おかげさまで社員とお客様が増えてきましたが、反比例して、わたし自身がズバっと「いい!」と言える場面が減ったように感じます。減ったというか、減らしたというか。大人になったというか、緩くなったというか。
「いい会社ってなんだろう」という問いは、そんなわたしの横っ面を引っ叩くテーマでした。何より、このテーマを真正面から受け止め、考え抜き、形にして、外へ開いていく発起人お三方と、密にやり取りさせていただいた数か月間は、わたしにとって何物にも代えがたい、貴重で刺激的な時間でした。
皆様の業務の進め方も、わたしが代理店マンとして培ってきたノウハウとは全く違ったものでした。良い意味でガラガラと崩れ落ちていき、いつもカタルシスを覚えました。これはまた別の機会に書こうと思いますが、B Corpが大切にする「Interdependence(相互依存)」と「Collective(共同でつくる)」を体現するプロジェクトでした。
イベントは終わりましたが、ここから本当に始まるのだなーと高揚感に包まれております。
B Corpについてご興味のある方はお気軽にお声がけください。
いい会社についてがっつり議論しましょう。