「広告 対 PR」から「有益 対 ノイズ」へ
※本記事は、2020年11月27日に弊社ブログ「パブログ」にて公開した記事です。
こんにちは。パブリックグッド菅原です。
わたしがPR業界に入ったのは1998年ですが、当時はどこか「広告 対 PR」という図式があって、ぴよぴよ新卒入社のわたしたちは「広告は消費者に嫌われている、PRこそ消費者にためになる情報なのだ!」といった割と強めの思想を教育されてきたように思います。
それは2000年代初頭に出版された書籍にもそこはかとなく表れていて、例えば、共同PRさんが監訳された「ブランドは広告でつくれない 広告vs PR」(2003年)や、わたしが新卒でお世話になったプラップジャパンの創業者・矢島さんの「PR会社の時代」(2006年)、「好かれる方法 」(2005年)などは、そのタイトルからだけでもPR業界の広告に対するめらめらとした闘争心を垣間見ることができます。共Pさんもプラップさんも2005年に相次いでIPOを果たしていますので、ある意味で広告業界を好敵手と見立てることで、自分たちの発奮材料にしてきたところもあったのだろうと思います。
で、あれから20年以上経った今日、わたしが会社のメーラーとして利用しているGmailの「プロモーション」メールのフォルダをたまたま見ていたら、何やら「i」ってマークが目に入りました。ほんとたまたま。で、何気なくクリックしたら「この広告について」ってポップアップメッセージが出たんで、そのまま遷移してみたんです。
私は仕事用の「Googleアカウント」を使って、会社のメールアドレスを「Gmail」で送受信し、Webは「Google Chrome」で閲覧して、資料保存は「Google Drive」を使っているのですが、「Google上のあなた様の行動履歴から、お邪魔にならない広告を表示しています」というしくみを解説してくれるページに飛んだんです。
ほぅほぅと興味をそそられたので読み進めていくと、更に「表示される広告の利便性を高めることができます」というガイドページがあったので、クリックしてみてびっくり、なんと、わたしのGoogle上での行動履歴から、”推測”された、わたしの関心を引くであろうキーワードがずらーーーっと数百にわたって表示されていて、それに関連する広告表示をオンオフできる設定ページに飛んだのです。
最初は、その精度の高さから、どことなく少し怖いな不気味だなと感じたのですが、少し考えれば、有益な情報であれば表示されるのは別にやぶさかでないなと思い至り、ぽちぽちと押して設定をしました。3分ほどで終わりました。
新卒の会社で「広告は嫌われていてPRは好かれている」という強めの思想を学んだわたしですが、その後、広告会社と緊密にお仕事をするPR会社に転じて、「広告は広告でできることがたくさんあるな」という風に考え方が修正されていきました。
で、今日、たまたまこうした体験をして、その考えは更に進化し、「広告」や「PR」、あるいは「SP」とか「OOH」とか、企業がマーケティング施策に用いる「戦術」の区分や対立構造は割とどうでも良くて、情報を受け取るわたしたち消費者にとって「有益か、ノイズか」がこれまで以上に問われているのだなという考えを強くしたのです。
マーケティングの根本である「ターゲットのインサイトを的確に捉える」に立脚しない施策は、広告だろうがPRだろうがただの「ノイズ」になってしまう、それを踏まえてぼくらは的確なプランニングを実践できているか、Googleのようにテクノロジーをうまく取り入れられているか、謎に自問自答した朝のひと時でした。