DEATH STRANDING│よもやまぷれい日記vol.1
【告知】
■よもやまぷれい日記vol.1 - vol.2 近日配信予定
筆者が直近でプレイしたゲームを中心に、プレイフィールを中心としたぷれい日記を公開予定です。
ゲームの演出やゲーム性、グラフィック、UIなど感じたことを素直に書いていきます。無料範囲では物語のネタバレをしません。ただゲーム性やゲームバランスについては多少のネタバレがある場合があります。
ゲームをクリアしてから記事を書くので、投稿頻度はまちまちになります。
vol.2はARMORED CORE VIを予定しています。
総評
最高の歩荷・登山シュミレーター兼最高のインタラクティブSF映画。
ゲーム概要
舞台は未知の大災害デス・ストランディングによってインフラが崩壊してしまった北アメリカ。主人公サムは荒れ果てたアメリカを西に向かって横断しながら通信基地を繋いで”アメリカを再建する”という任務につく。
プレイヤーは”伝説の配達人”であるサムを操作して、通信基地に通信装置を届けたり、その道中で様々な配達をすることでNPCたちから信頼(Like)を獲得し、使用できる装備や資源を増やしてより困難な配達任務をこなしていく。ストーリーに関わる配達をこなせば映画さながらのMVが挟まってメインストーリーが展開していく。
ゲーム性
ゲーム全体の流れは基本、配達ミッションをこなす→ストーリーがMVで進行する→配達ミッションをこなす……の繰り返し。ストーリー進行や、配達で得た配送先の親密度に応じて使える装備が増え、配達はより歯ごたえを増す。
通常のゲームのような通貨の概念はなく、報酬はすべて”Like”(いいね)。もらえると嬉しい以外の効果や使い道はないため、ストーリー進行に関係のない配達は基本プレイヤーの善意か、仕事(ゲーム)そのもののやりがいに依存する。
RPGなどを筆頭に細かな報酬を与えることで達成感を刻んで気持ちよく長くプレイしてもらうゲーム設計は多い。普通そうした報酬はミッション達成時のお金や、ボス討伐時のドロップ、ダンジョン探索中の宝箱など、クリエイターがプレイルートを見越した上で一つずつ設計されたソリッドなものだ。
デスストが特殊なのは、配送先での達成報酬以外は目に見えるソリッドな形をしていないことにある。流されそうな川を流されずに歩けたとか、ゴツゴツした岩場を転けずに超えられたとか、傾斜のきつい山をなんとか登りきったとか、人がリアルの山歩きで体験するような実感のあるリキッドな達成感がそこかしこで得られる。プレイヤーがどんなルートを選択するのかはいつも流動的だが、どこを通っても配送の達成感が得られるようになっている。
UI(ユーザーインターフェース)
現実の山歩きでは等高線の描かれた白地図とにらめっこしながら、傾斜角を予想し適切なルートを探して登頂計画を立て、コンパスで現在位置と地図上の位置をリンクさせながら山頂を目指す。非常に楽しい工程だが危険も伴うし相応の訓練が必要になる。(なんなら一般的な山歩きではすでに開拓されたルートを辿って行くことのほうが多い。)
非常に楽しいが簡単には楽しめない遊びをデスストは上手くゲームに落とし込んでいる。マップは3Dになっており、等高線が読めなくても地形を直感的に把握できるし、地図では写りにくい細かな地形もよく見ることができる。現在位置は常にマップ上に表示されるし、マップ上に描いたルートはフィールドに出たあとのゲーム画面でも見ることができ道に迷いにくい。
また配達をメインにしているだけあって荷造りにもゲーム性がある。荷物の重量やサイズに依存してサムのバランスの崩しやすさが変わってくるのだ。基本は「荷物の最適化」ボタンを押せば左右にバランスよく荷物を配置してくれるので荷造りを考える必要はないが、特定の条件下では自分で荷物の配置を吟味したほうがゲームを有利に進められることもある。
また荷物ごとに重さが設定されており、積めば積むほど総重量も大きくなりサムの動きは緩慢になる。サポートスケルトンを付けているとはいえ260キロもの荷重に歩きながら耐えられるというのは現実的に考えれば常軌を逸しているのだけど、そこは”伝説の配達人”なので。
ちなみに、普段の配送任務での平均的な積み荷の重さは約80キロ、軽くて50キロとか。試しにリアルで米やら水やら買って、重かった買い出しの荷物を測ってみたら12キロとかだったので、改めてサムの凄さを感じた。
グラフィック
MVの迫力よし、フィールドのテクスチャ読み込みの最適化よしで超美麗。もしかすると最近のUnreal Engine5ほどではないのかもしれないが、実在の俳優や人物をモデルに起こしているだけあって骨格やパーツ配置の3Dゲーム独特の違和感は全く無くMVに集中できた。
また実際の俳優の演技をトラッキングしていることや、起用している俳優が軒並みAAA級なのもあって3Dゲームによくある「カメラは映画なのに役者の動き方が舞台俳優すぎる」みたいな不思議感もなく、MVは映画のように没入して見られた。というか完全に映画でした。
ボイス
日本語版でプレイしたのでMVは実質吹き替えだったわけだが、声優が豪華で耳が幸せなのはもちろん、抜群の演技力でキャラクターに感情を載せ心を揺さぶってくるので途中から涙を拭くティッシュを机に常駐させた。英断。
例えば物語序盤のサム。生い立ちや物語開始前の出来事からおそらく長く心を閉ざしており、自分の感情を出さないよう頬の筋肉が緩んだまま口元を引き結んだような表情で登場する。これはノーマン・リーダスの抜群の演技力が生み出した表情だと思うのだが、ここに津田健次郎が息を出しきれずくぐもった、しかし情動のくすぶるような声を的確にアフレコしてくる。凄い。
ギャラリー
感想
非常によくできた山登りシュミレーターとしてゲームを楽しんだと同時に、かなりいい映画を堪能した気分。
普通一本道の物語を演出するならゲーム中はストーリーに関わるオブジェクトやそれを匂わせるものを様々配置して触らせることが多いと思うが、実際に歩くフィールドがどうしてそうなってしまったのかはフィールドからわかることはほとんど無く道中大量にもらうメールやアーカイブ、キャラクターの発言などからうかがい知ることになる。一見するとプレイ体験とストーリーを乖離させてしまうようにも見えるかもしれないが、「フィールドには時雨が降っている」という設定一つでこの辺りをまるっと解決してしまうのもすごい。また配達中は配達に集中できるのでこれは結果的に良かった。
敵も含めてキャラクターがみんな愛らしくてMV中はスクショを撮りまくった。背景がきれいなのもいい。歩荷のガジェットもすごく進化してて面白かった。ポーチとかインナーとか普通に実用できそうで商品化してほしい。
現実でのDOOMERたちのこととか、MGSとの関係とか、話足りないことはいっぱいあるが、ストーリーの重要局面に触れてしまう諸々のお話はまた別の機会に。