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情シスマネージャーに必要なネガティブ・ケイパビリティ ~変化の激しい時代にこそ「ちょっと待て」を


こんにちは、まさ@アップデートする情シスです。今回は、11月14日に行われた企業間越境型の変革実践者コミュニティ「あいしずHR」のレポートも兼ねて、ネガティブ・ケイパビリティの必要性について書いてみました。


▶ネガティブ・ケイパビリティとは

現代の情シスマネージャーや経営者に求められるスキルセットは、単なるITの知識や問題解決能力に留まりません。

特に、組織全体を統括する立場にある人々にとって、「ネガティブ・ケイパビリティ(Negative Capability)」という概念が非常に重要な要素となっています。  

ネガティブ・ケイパビリティ
不確実性や混沌の中で安易に結論を出さず、耐え忍ぶ力

一見、リーダーシップや迅速な意思決定が重視される現代に逆行するようですが、この能力が、特に情シスやIT部門のマネージャーにとって不可欠である理由を考えてみました。

ネガティブ・ケイパビリティについてもっと詳しく知りたい方は「答えを急がない勇気 ネガティブ・ケイパビリティのススメ」と言う本をお勧めします。

合わせて、本書の感想文のnote記事もご覧ください。


①時にはアナログで「深く考えよ」

情シスは、デジタル(IT)とアナログ(人間)をつなぐ役割を担うお仕事です。

しかし、この両者は時に相反します。

たとえば、ITは効率化や自動化、リードタイムの短縮を実現する一方で、人間は時に感情や多様性、深く考える時間を必要とします。

情シスは、常にこのデジタル(IT)とアナログ(人間)の対立と向き合わなければいけません。

そして、常にデジタル的な「正解」に飛びつくのではなく、時にはアナログ(人間)側に立ち、あえて「少し待つ」姿勢も求められるのです。


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●●あいしずHRでの議論●●
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今回のワークショップで、この考えに近い意見が出ました。

ネガティブ・ケイパビリティは、ダイバーシティを包括する」という意見。言い換えるとこんな感じです。

「多様性を尊重する時代こそ、直ぐに結論を求めず、じっくりと観察し、対話を重ねよう」

あいしずHRの発起人 沢渡あまねさん

②︎「待つ」事で長期的価値が生まれる

情シスがネガティブ・ケイパビリティを発揮するのが、システム導入時です。

特に基幹システムの刷新などの大型案件の導入では、結論を急がず、慎重に検討する姿勢が必要とされます。

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●●あいしずHRでの議論●●
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ここで再度、今回のワークショップで出た関連意見を紹介します。


「短期的ニーズはポジティブ・ケイパビリティで、長期的ビジョンはネガティブ・ケイパビリティ」

新しいITシステムの導入に対して多くの人は短期的な効果に目を奪われがちです。

しかし一方で、長期的な運用や他システムとの連携を考慮しないまま導入すると、後々大きな問題が生じます。

この時、ネガティブ・ケイパビリティを持つマネージャーは、焦ることなく「ちょっと待てよ」と立ち止まり、全体最適を考える事が出来るのです。

豊橋 emCAMPUS

③時代の変化を「待て」

時代の変化とともに、過去の「不正解」が「最適解」に変わることがあります。

例えばリモートワーク。

かつてはエンジニアなど、ごく一部の人の働き方で、効率性を損なうと見なされていましたが、現在では多様な働き方を支えるための正解とされています。

このような変化を見据えるためにも「答えを急がない」姿勢が必要です。  

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●●あいしずHRでの議論●●
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「時代の変化を待つ」
これもネガティブ・ケイパビリティ

過去の不正解が時代とともに最適解に変わる事もある」と言う意見が今回のワークショップで出ました。

AIに代表されるように、技術革新がとてつもなく早い分野は、半年待てば世界がガラッと変わっている事もありますね。

emCAMPUS外観

④マネジメントにネガティブ・ケイパビリティをインストールする

さらに、ワークショップで印象的だったのが「マネジメントこそ、ネガティブ・ケイパビリティをインストールする必要がある」という意見でした。

例えば、何か問題が発生し、現場で沈黙が続くとすぐにマネージャーが介入して穴を埋める。

一見「ポジティブな傾向」は、短期的には解決をもたらすかもしれませんが、長期的に見たら、人の成長の機会を奪ってしまっているかも知れません。

一方、ネガティブ・ケイパビリティを持つマネージャーは、状況が混沌としていても焦らず、話し合いや対話、相手に考えさせる時間を確保します。

これは、まさに「根っこ」の部分を強くする人材育成の作業です。根が深ければ深いほど、組織は大きな困難にも耐えることが出来るようになるに違いありません。

ワークショップの様子

⑤組織にネガティブ・ケイパビリティをインストールする

最後に、組織に対してネガティブ・ケイパビリティをインストールするポイントは何かを考えてみました。

このテーマについても、あいしずHRのワークショップでは様々な意見が出ました。その中で特に印象に残った意見を紹介します。

組織ではネガとポジは両立するもの。
両者のバランスを意識せよ

組織として、ネガティブ・ケイパビリティが強すぎると意思決定が遅くなってしまいます。

100%課題がクリアされ、問題がなくなるまでリリースしないと言った「品質完璧主義」がこれにあたります。

「アクセル(ポジティブ)」と「ブレーキ(ネガティブ)」の役割分担を組織内で持たせる事で、バランスの取れた理想的な組織運営が可能になります。

最後は参加者で記念撮影

▶︎おわりに


情シスのマネージャーや経営者が持つべきネガティブ・ケイパビリティは、単なる「決断を遅らせる力」ではありません。

不確実性に耐えつつ、深く考え、未来に備えるための力です。

この「待つ力」を組織全体に広げることで、変化の激しい時代にも柔軟に対応できる強い組織を作り上げることができるのではないでしょうか?

次にあなたが「ちょっと待てよ」と立ち止まるのはいつですか?


※最後おまで読んで頂き、ありがとうございます♪共感したら❤️、フォローをお願いします🙇

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