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「定年前と定年後の働き方」を読んで今から定年後の準備をはじめた話②

サードエイジを生きる思考
石山 恒貴さん 著 (光文社新書)

前編は読んでいただきましたか?まだのかたは今すぐ読んでくださいね。


1.間違いだらけのジョブ・クラフティング

今までは会社がトップダウンで職務を設計、決定して個人に割り当てるやり方だったが、ジョブ・クラフティングでは、個人が自分の強み、情熱、動機と言った事を物差しにして自分にとって意義のあるやり方で業務を再定義することになります。

全編の最後で、我々サードエイジのサラリーマンこそこのジョブ・クラフティングを実践すべきである、と述べました。所属企業とちょうど良い距離感を保ちながら、自分のやりたい事を実現できる。これこそサラリーマンでありながら幸福感MAXの働き方ではないか!

ところが、本書では、自分の強みと情熱(専門性の追求)ばかり主張して、企業側のニーズ(全体性)とあわせられない「周りが見えないジョブ・クラフター」が一定数いて、これが所属企業の人事部門が一番困るパターンだ、と書かれている。

そうそう、これは過去の実績や持論だけで展開する人=(一般的には頭が凝り固まった人)に良く見られる傾向です。結局、サラリーマンなんだから所属企業のニーズを満たさないといけないし、そのあたりのバランス感覚がない時点で、ジョブ・クラフティングが目指す姿と乖離していますね。

サラリーマンなんだからそこはちゃんとバランス考えようよ。嫌だったら転職してでも、その会社を離れて自分の道を歩けばいい。


2.選択肢が「退職か?再雇用か?」の2択では足りないのだ!

自分は人事部門の人間ではないので、人事制度の問題点についてあれこれ言及するつもりはない。一方で、役職定年や定年退職を間近に控えたサードエイジにとって、60歳以降の選択肢が「決して十分とは言えない退職金もらって終わり」か「半分の給料で出勤を強制させられる再雇用」の二択しかないことは不幸でしかないと思うわけです。


3.フリーランス(独立・起業)という選択肢

本書では、ふりーらんすという選択肢にも言及している。その中で「自己実現を図れる」「時間に縛られずに自由に働ける」という面でフリーランスの方がサラリーマンより幸福度が高いという記述もある。当然ですし、この選択肢を選ぶ人も多いと思います。
しかし、東京のIT企業ではこんな議論はそもそも起こらないのです。東京には情報はたくさんあるし、IT業界にはサードエイジから独立してITコンサルみたいなことをやっている人は山ほど居る。でも、地方の企業の情シスは、そんな感じじゃないんですよ。情報や人脈も限られているし、何せ毎日会社に来て同じ人と同じ業務をずーっとやってきた、本当にみんなまじめで実直で会社一筋の人ばかり。
こうした環境で働いてきた55歳が、「よし、オラ、明日からフリーランスになるぜ!」とはならないのです。少なくとも私の職場の周りには皆無です。


4.情シスのジョブ・クラフティング(地方の非IT企業)

自分が所属している「情シス部門」のサードエイジの働き方を考えてみました。非IT企業の情シス部門は、いわゆる「コストセンター」。IT企業のように顧客に直に向き合ったり、売上や付加価値を目標設定しているわけでもないので、そこで働く人たちもは「安定を求めチャレンジをしない」「社員の安全性やコスト低減がミッションであり付加価値の創出には興味がない」などといった傾向が見られます。特に情シス部門は、「システム停止を起こさない」「セキュリティ事故は即処罰の対象」「上司やユーザ部門からの依頼は絶対」などと言った世間一般から見るとちょっとズレた価値観が蔓延している職場でもあるといえます(最近はそうでもないですけどね)。

では、そこで20年間業務をしてきた人がどのようにジョブ・クラフティングして幸福感あふれるサードエイジを迎えればいいのでしょうか?

  • 専門分野のプロとして、フルタイムで単独で業務を行う
    例:セキュリティ担当、システム監査担当

  • ユーザ部門に対するIT教育やリテラシー向上など、の企業内のデジタル人材育成業務をフルタイムで担当する

  • 事業部門に転籍し、ユーザ部門で業務改善+デジタル化の推進を行う

  • 兼業複業を前提として、月の半分位を情シスの担当者として業務を行う
    例:残りの半分はフリーランスとして他社の業務や講演執筆など


5.拝啓、人事部門のみなさまへ

サードエイジの人材を女性や外国人と同様に「企業にとって必要な戦力」とみなして活躍の場を提供して欲しい。自分自身の専門性と企業側のニーズがマッチした人材だけで良いから、「ジョブ・クラフティングによる継続雇用」と「専門性を生かした兼業複業の可能性」を制度化して、選択肢をもっと増やして欲しい、と思うのです。必要なのは、これからもやりがいをもって働きたい、会社や社会に貢献したいと思っているサードエイジの人に対するサポートであり、決して肩書きを持った偉い人が存在を誇示するための席を用意する事ではないのですから。


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