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初めてのポスドク: 「金」と「時間」を中心に

2021年3月に東京大学大学院理学系研究科で博士号を取得し、京都大学大学院理学研究科での初めてのポスドクを昨年に終えたので、噂に聞くポスドクの闇は実際どんなものなのか、忘却しないうちにリアルな感想をここに残します。

お久しぶりです。
最後の記事の日付を見ると2021年8月になっています。
つまり本当に久しぶりです。

最近、様々な理由からXに猛烈な嫌気を感じており、生産的な活動にしか興味がなくなってきたので、これからはXでは最小限の悪ふざけに留めて、真面目に考えたことはこうしてnote等で文字にしていこうと思います。お付き合いください。

前置きが長いと話が下手だと思われるので本題に入ります。

2024年3月に日本学術振興会の学振PDという制度で京都大学の宇宙理論の研究室で初めてのポスドクを終え、現在は京都大学の白眉センターというところで特定助教をしています。

ポスドクとは、大学院の博士課程を修了した研究者が、大学や研究所での学術研究者として助教、准教授、教授とステップアップしていく最初の立ち位置で、基本的に任期付きの雇用です。

2, 3年の任期が終了すると、また申請書を書いて別の機関に応募し、任期のない職を得るまでこれを繰り返します。この時点でポスドクになるのに、ある程度の覚悟を要することは想像に難くないでしょう。

大学院生の間でもポスドクという制度は知られていると思います。研究とは無縁の人生を送っている人も「ポスドク問題」などの負のワードを通して聞いたり知っていたりするのではないでしょうか。

一方で、当然のことですが、ポスドクがどんな気持ちでポスドクをしているかはポスドクを経験した人にしか分かりません。

私自身、博士号取得後にポスドクになるか、一般企業に勤めるか非常に悩みました。結果的に一般企業の内定を辞退してポスドクになることにしましたが、迷った最大の理由が「ネガティブな情報ばかりで、ポスドクが実際どんなものなのか実感が湧かない」というものでした。

「ポスドク」で検索するとこんなのばっか

そこで、今回は初めてのポスドクを経て抱いた「ポスドクという仕事のキツいところ」を率直に書いていこうと思います。

「そんなの分野に依るだろ」とか「そんなの人に依るだろ」みたいな野暮なツッコミはお辞め下さい。当たり前です。個人の体験談なので。

自分が経験することのないだろう他人のポスドク体験を読み物として楽しむも良し、一個人の体験談がこれから研究者を目指す学生や大学院生が進路選択をする上での心構えに貢献するなどすれば尚良しです。

以下の目次に従って「金」「時間」の順で苦しかったところを述べて、最後に「ポスドクの魅力とそれを最大限に活かすための戦略」について少しだけ触れようと思います。


例によってここからは有料です。研究者をゲストに呼んでマニアックな研究の話を聴くラジオを始めようと思っているので売上は編集ソフトに充てます。というよりそれが欲しいから、この文章を書いてるまであります。

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