常盤トンネルの事故で発揮された4車線化の効果
2024年12月に道央自動車道の常盤トンネルで起きた多重衝突事故で複数のけが人が出たが、死者が出なかったのは不幸中の幸いだ。個人的には人的被害が抑えられた要因は当該区間が4車線だったことが大きいと思っている。
特に今の若者は知らない人も多いかもしれないが、事故現場を含む深川IC~旭川鷹栖ICは最初から4車線ではなく暫定2車線で1990年に開通した。4車線になったのが2003年なので13年間も暫定2車線の状態だったことになる。一部に追越車線はあったが常盤トンネル含め3本のトンネルは対面通行であった。
なぜ4車線だったことが人的被害を抑えた要因と思っているのか。それは逆走車がいない限り対向車がいないからである。基本的に4車線以上の区間には分離帯が整備され、トンネルも上下線で分かれている。つまり同じ方向に進む自動車しかいないので物理的に正面衝突事故はほとんど起きないようになっている。
しかし、暫定2車線は緑地帯がある区間もあるが基本的には対面通行となっている。暫定なので4車線化することを考慮してしっかりとした分離帯がなく簡易的なラバーポールなどで区切られている。つまり、なんらかの原因で対向車が反対車線に飛び出す危険性があるのだ。暫定2車線区間は70km/h規制がほとんどだが、この速度で正面衝突した場合140km/hで壁に衝突するのと同じ衝撃が加わる。どちらかが大型車だった場合その威力は計り知れないだろう。死亡事故になる割合は4車線区間の約2倍というデータもある。もし、常盤トンネルが暫定2車線のままだったら先述の事故の人的被害はもっと大きくなっていたかもしれない。
現在、暫定2車線区間の4車線化工事が全国各地で行われている。北海道では道東自動車道で4車線化工事が行われており、特にトマムIC~十勝清水ICは工事が進んで大きく変化している。今回は事故の面から4車線化の効果に触れたが、他にも渋滞緩和、速度の向上、通行止めの減少などメリットが大きいので今後も4車線化を進めてほしいと思っている。