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統一協会の手口①-01マインドコントロール・騙し編「恐るべき勧誘の裏側」

統一協会の手口①-01マインドコントロール・騙し編「恐るべき勧誘の裏側」

悪名高い統一協会(世界平和統一家庭連合)の
「マインドコントロール」や
「騙し」の手口を明かしていきます。
ここでは、主に”勧誘”や”騙しの手口”を見ていきます。


序章 私はなぜ入会したのか、なぜ脱会したのか


かつて信者として活動していた

私は、悪質な手法で資金獲得を行う詐欺グループや悪徳業者による被害の撲滅を目指して、ニュース記事などを通じて情報発信をしているジャーナリストです。

この原点になっているのは、統一教会の信者として活動していた歩みでした。
人とお金を集めるために行われてきた教団の組織的な手法は、まさに今の詐欺や悪質商法を行う業者のものと共通しているところが多くあり、それによって生み出される被害を絶対に許してはいけない思いから取材・執筆を始めました。

私が統一教会の信者として活動していた期間は、1987年から1996年までです。
大変長い時を過ごしました。
当時、大学4年生であった私は、マスコミや商社などに入り、人なみの幸せな家庭を築き、生きていければ良いとの思いを持っていました。
法学部の学生でしたので違法行為に問われるような行為をしたり、
極端な思想をもった宗教団体には絶対に入らないつもりでした。

しかし結果として、自分自身が思い描いていた人生とはまったく真逆な人生を歩むことになりました。正しいと思って歩んできた道ではありましたが、それが違っていたことに気づいた時、苦しみと悩みと絶望のなかに叩き落とされました。
それは私だけでなく、平穏で幸せな人生を歩んでほしいと願っていたであろう
家族や親族もまったく同じ思いだったと思います。
振り返れば、激動の3年間でした。そして今も、その道は続いています。
すべての統一教会による被害者が心から救われたと思うその日まで、
この歩みは続くことになると覚悟しています。

多田文明「統一教会の元信者が明かすその手口と実態」

統一教会に入ったきっかけ

当時、統一教会はすさまじい勢いで信者数を増やしており、
教団が他の宗教団体に比べて、これだけの信者数を獲得できたのかといえば、
それは、相手を神様の側に導くための「救い」と称する「組織的で緻密なマニュアル化」による「布教方法」があったから。

どうして統一教会に入信してしまったのか。
そしてなぜ長きにわたって被害を生み出すような活動をし続けてしまったのか。
まずは入信の経緯からお話しします。
統一教会への誘いは、1987年の春に突然訪れました。
同じ大学4年生の友人から「バレーボールにきてみませんか?」
と誘われたことがきっかけでした。

当時、統一教会はすさまじい勢いで信者数を増やしており
そこから生み出された献金は韓国などに送られていました。
昨今の報道でもその額は年間、数百億円に上るとされています。
信者の数だけ、お金は集まります。
それだけに教団は布教活動に余念がありません
それになぜ、教団が他の宗教団体に比べて、これだけの信者数を獲得できたのかといえば、それは、相手を神様の側に導くための「救い」と称する
”組織的で緻密なマニュアル化による布教方法”があったから
です。
私も信者として、長く末端の支部の伝道活動に従事して、
その活動実態をつぶさに見てきたのでよくわかります。

2023年10月13日に文部科学省から東京地方裁判所に統一教会の解散命令請求が行われて、そのなかでも「未証し勧誘 (みあかし)」という言葉で指摘されていますが、信者を多く集められたのは正体(教団名)を隠した布教活動を組織的にしてきたからにほかなりません。

さらに布教は個人の判断で行うのではなく「信者にさせるためのベストな方法が組織の側から提示されて」行われていました。
私のような”末端の信者”であっても「アベル」と呼ばれる神様により近い”上司の指示でマニュアル通りに行動”すれば、”容易に新たな信者を生み出すことができる”ようになっていたのです。

多田文明「統一教会の元信者が明かすその手口と実態」

信者を増やすための手法とは

組織的にハメる手口

例をあげれば、信者らは、街頭などから教団名を隠して教義を教え込むビデオセンターに誘い込みます。そこには”「タワー長」と呼ばれる指示役”がいて、連れ込んだ人をビデオセンターに”入会させるための緻密な指示がこと細かに”なされます

多くの場合、街頭や訪問でやってきた信者から
「手相の勉強をしています」
「良いお顔の相をされていますね」

などと声をかけられて、
連れ込まれた先で占い師と称する人物から姓名判断鑑定がなされます。

そして
「先祖の霊が成仏できていないために、霊界で苦しんでいる」
「あなたが今、不幸なのは先祖の悪霊がいるからだ。
その因縁を払わなければならない」

などと言われて、”恐怖心を煽られて”ビデオセンターに入会させられます。

統一教会には霊感商法という手口があり、壺や開運グッズを売って、
信者になれば高額献金を教団に対してさせます。
損害賠償請求を求めている被害者には、
統一教会の信者から
「弟が井戸から登ろうとして爪を立てるが、爪がはげて苦しんでいる」
「これは先祖の因縁であり、さらに悪いことが起こる」

などと言われて高額な献金や物品を購入させられたと訴える方もいますが、
まさにその手法は布教にも使われていたわけです。

そもそも、占いをしてもらいたいと思う人は、
何かしらの悩みを抱いていますので、
その個人情報さえつかめば

容易にビデオセンターに入会させることができました

こうした事前に用意されたスキームに、多くの人がはまってしまい、信者となりました。この手法は全国で画一的に行われており、統一教会は爆発的に信者数を増やしていったわけです。

しかし統一教会の布教方法は「占い」を使った手口だけではありません。
私の場合は、街頭ではなく友人からの勧誘であったために、
スポーツイベントに誘われる形でした。

街頭勧誘と同じように、統一教会という正体を隠した形で
イベントに連れ込むことも多くあります。
もしこの時、統一教会という宗教団体が主催するバレーボール大会とわかっていれば、絶対に参加していません
しかしそのことは一切、伝えられずに、ただの学生サークルのバレーボール大会だと思って参加させられました。

パレーボールの後に、私を誘いこんだ友人から「お茶でも飲もう」と喫茶店に誘われました。そこで、
「このサークルは、自己啓発の勉強をしているところだ」という話が切り出されて、その後ビデオセンターに誘われます
友人関係は大切したいという思いを持っていた私は
「ちょっと話を聞いてみようか」のつもりで行きましたが、
相手(統一教会)は私を入会させるための用意周到な準備をして、
手ぐすね引いて待っていた
のです。

多田文明「統一教会の元信者が明かすその手口と実態」

知らない間に個人情報が洩れている

最近思うに、公安も安保闘争の時のような「学生運動」を絶えず警戒しており、「勧誘に必要な詳細な個人情報」を「公安からも手に入れていた」可能性もあるのでは?あるいは「公安に提供していたのでは?」と検証中。

統一教会がこれだけ大きな組織になったのには、なんといっても”個人情報の収集能力の高さ”にあります。

今の特殊詐欺や悪質商法にもつながりますが、まず”相手の弱みを握り””心をつかむためのストーリーを考えて”から、”お金をとる”といった行動を起こします。

私は友人らと”何気ない会話をしているつもり”でしたが、”知らぬ間にこちらのあらゆる個人情報が聞き出されていた”のです。

当時、大学4年生でありながら、就職が決まっていないことやマスコミ志望であること。さらには一人暮らしで、周りに相談する人は少ないなどの情報――。
自分で言うのもなんですが、”相手を思いやることを大事”にしていましたので、
”誘いを断れない人の良い性格”で、それらのことを”バレーボール喫茶店などの場を通じて聞き出されていた”と思われます。

その後、自分自身が”勧誘する側になって”わかりましたが、
信者らのすべての行動は布教を目的にしたものであり、”相手の悩みなどを聞き出して、組織内に伝えること”「神の前に正しいこと」と教えられていました。

私は信者時代にビデオセンターの責任者をしたこともあります。
その時、この場所で学ぶ”受講生らの情報””入会時から今に至るまでの悩み、
家族状況まで”
”病院のカルテのように詳細が記載”されており、”すべての情報が丸裸”となっていたのです。
しかしそのようなことは、”誘われた人たちはわからないこと”です。
この”個人カルテ”はその人物が教団に”献身(出家)するまでずっとストック”され続けます。

以前に、ある献身した女性が偶然に”過去の自分の個人カルテ”を見てしまい
そこに「この人はサタン中のサタン」と書かれて、
裏でこのようなことを言われていたことにショックを受けた
と心情を吐露した人もいます。
おそらく教団への入会前は”まったく人の話を聞かず、反抗した言動をしていたため”でしょう。このように、”すべての情報が事細かに書かれて、組織内で共有されている”のです。

多田文明「統一教会の元信者が明かすその手口と実態」

ビデオセンターでは何が行われているのか

ビデオセンターの内容は、聖書をもとにした統一教会の教えです。
神様が出てきて、さらにアダムとエバの失楽園の物語や、
天使長ルーシェルなどという宗教臭い内容が延々に教えられます。
しかしそれでも受講生は学び続けます
もちろん”すでにお金を払ってしまっていたから勉強し続けることもある”と思いますが、そこには”教団側の巧妙な理由付け”があります。

私の時に話されたことを例にあげれば、
「ここで学ぶ内容はアメリカからきた自己啓発の内容なので、聖書をもとにしてるんです」「世界で一番読まれている本は何だと思う?それは聖書です。あなたは、マスコミや商社を目指しているのならば、国際人になるためにも、世界の人が常識として知っている聖書を学んでおいた方がよい」
と言われました。

聖書にはまったく縁がなかったので、受け身の状態で学び続けました。
しかしながら、その内容は”聖書本来の教えではなく”
「統一原理」という教団が独自に解釈した教義であったわけです。
それを”繰り返し学ばされることによって”、しだいに私の考えは、統一教会の教えに染まっていきます

さらに”霊界の恐怖を植え付けられ”ました。
これは教団における”教えの肝といえるもの”ですが、
「私たちは先祖の因縁により不幸になっている。
その原因は、悪霊が働いているからだ」
と教えられます。
今でも教団は「霊的役事」という言葉で、悪霊を追い払うような行為をしています。

私が当時、金縛りにあったことを話した時にも
「それは霊のしわざ」と教えられますし、ビデオセンターでは、
テレビで放送された”心霊番組をビデオで見させられる”などして、
その存在を意識させられ”ました。
悪霊やサタンなどへの恐怖心により、心が支配されていきます。

私が信者時代によく聞かされたのは、
「教会を離れて(辞めて)しまうと、サタンや悪霊が働いて、
事故や病気で死ぬ」という言葉
です。
その恐怖心から今も、教団をやめられない人もいるかと思います。

しかし私は脱会して2年ほどが経ちますが、大きな病気も事故もなく元気に暮らしています。またその姿を、詐欺や悪質商法に詳しいジャーナリストとして、
テレビなどを通じて見せてきました。
これまであまり言ってきませんでしたが、信者の方で「辞めたい」という思いを持っていながら、恐怖心に縛られて教会から離れられない人に向けて
「サタンや悪霊が働いて、事故や病気になることはない」
という裏のメッセージを伝えてきたつもり
です。

多田文明「統一教会の元信者が明かすその手口と実態」

ビデオセンターが終わって次の段階

さて、ビデオセンターで学んだ後はどのような流れになるのでしょうか。
私はひと通りのビデオ講義を受けるなかで、1DAYという場に参加するように言われました。ここでは「主証し」が行われました。
この場が統一教会であり文鮮明教祖がこの教義を解き明かした主(メシヤ)であることを知らされるわけです。
そしてこのメシヤ=救世主を通じなければ、人類は救われる道はないと教えられます
おそらくこの時、教団の側は、”私の心に教義や霊界の恐怖心を十分に植え付けられたと判断した”から、この”1DAYに参加させた”のだと思います。

というのも、後の私は、街頭からビデオセンターから連れ込まれた人を、
ライフトレーニングや新生トレーニングという教化プログラムに掛ける担当を長くこなす
ことになります。
そこでは、必ずこうした重要なセミナー(1DAYだけでなく、2DAYS、4DAYSもあります)に参加させる時には、”アベルに報告して指示を仰いで”、”許可などを得てから”、参加させることになっていたからです。

最初、「主証し」を受けた時には、宗教団体と聞いて足が遠のきかけましたが、
”心がやはり霊界の恐怖心などにとらわれていた”
からでしょう。
信者からの誘いを断りきれなくなり
その後、2週間の泊まり込みのライフトレーニングに参加しました。
そして4日間の泊まり込みの4DAYSに参加します。
その後は、文鮮明教祖をメシヤと信じて、統一教会の教えこそ、世界を救う唯一の真理だと思い、伝道とお金集めの活動に邁進することになりました。

多田文明「統一教会の元信者が明かすその手口と実態」


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統一協会の手口シリーズまとめ


伊丹万作「騙されることの責任」

もちろん、「騙す方が100%悪い」のは紛れもない事実である。
その上で更に「騙されることの責任」を考えよう。

伊丹万作「騙されることの責任」

もう一つ別の見方から考えると、いくら騙す者がいても誰1人騙される者がなかったとしたら今度のような戦争は成り立たなかったに違いないのである。
つまり、騙す者だけでは戦争は起らない。騙す者と騙される者とがそろわなければ戦争は起らない一度騙されたら、二度と騙されまいとする真剣な自己反省と努力がなければ人間が進歩するわけはない騙されたとさえいえば、一切の責任から解放され、無条件で正義派になれるように勘違いしている人は、もう一度よく顔を洗い直さなければならぬ。
伊丹万作「戦争責任者の問題」より




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