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恐るべき公安👮‍♂️⑦-05公安調査庁と内調「内閣情報調査室の現状とCIA🇺🇸」

恐るべき公安⑦-05公安調査庁と内調「内閣情報調査室の現状とCIA🇺🇸」

悪名高い公安の
組織や手口に迫っていきます。

青木理「日本の公安警察」

青木理「日本の公安警察」

青木理(あおき おさむ)
1966年長野県生まれ。ジャーナリスト、ノンフィクション作家。
90年に慶応義塾大学卒業後、共同通信社入社。
社会部、外信部、ソウル特派員などを経て、
2006年よりフリーとして活動



内閣情報調査室の現状

米国情報機関の補完的役割

「内閣情報調査室」のトップである室長には代々、警察庁警備局幹部、
あるいは経験者が就任する。
公安警察の色濃い影響下にあり、過去にはこんなレポートがある。
「米国情報機関の補完的役割を担うため創設された。共産圏諸国の動向監視、なかでも日本に課せられた課題は『北京ウォッチャー』だった」

内閣情報調査室組織図

●米国情報機関の補完的役割

さて、公安警察が大きな影響を及ぼしている
公安情報機関「内閣情報調査室」についても簡単に触れておこう。

内閣情報調査室は「内閣の重要政策に関する情報の収集及び分析
その他の調査に関する業務をつかさどる」
(内閣法及び内閣官房組織令)
とされる内閣官房の一組織である。

サンフランシスコ条約発効の直前に当たる1952年に総理府の組織として発足した
内閣総理大臣官房調査室が源流となり、
1957年、内閣法の改正及び内閣官房組織令に基づいて内閣調査室へと発展
1986年、内閣の総合調整機能強化のための内閣官房の組織再編の一環として、
内閣情報調査室に名称を変更し、現在に至っている

組織のトップである室長には代々、警察庁警備局幹部、あるいは経験者が就任する。公安警察の色濃い影響下にあり、過去にはこんなレポートがある。

内調は、占領解除にあたって米国情報機関の補完的役割を担うため創設された。
共産圏諸国の動向監視、なかでも日本に課せられた課題は『北京ウォッチャー』だった
」(朝日新聞社編「新情報戦」)

青木理「日本の公安警察」

警察庁から多数出向

調査委託機関には通信社などのほか、
「世界政経調査会」(港区赤坂、約3億2000万円)、
「東南アジア調査会」(千代田区丸の内、同・約1億1000万円)、
「国民出版協会」(港区虎ノ門、同・約1億4600万円)などがあり、
そのトップにはほとんど警察や内調OBが天下っている。

●警察庁から多数出向

手元にある内閣情報調査室作成による内部文書(1995年4月付)から、
その組織、予算、活動状況をスケッチしてみよう(次のページの図参照)。

組織の事務区分は「総務部門」「国内部門」「国際部門」「経済部門」「資料部門」に大別され、
室長、室次長の下に
各部門の連絡調整や重要情報の総合分析などを行う「総務部」、
国内情報の収集や世論動向、マスコミ論調を分析する「国内第1部」「同2部」、
外国政府の政策動向や海外マスコミの論調を担当する「国際第1部」「同2部」、
国内外の経済情報収集や学識者による研究提言取りまとめにあたる「経済部」、
資料整理部門の「資料部」
が置かれている。
定員は84人
これ以外にも各省庁からの出向職員も多くを占め、
併任者も含めると総員は約120名程度だ。
出向者の中でも最大人員を占める警察庁は併任者も含めて約25人を内調に送りだしている
この他、公安調査庁からも2人の併任者を出し、
外務、大蔵、農水、通産、労働、厚生、郵政などから専任者、併任者を輩出している。

内閣情報調査室の予算
「情報の収集及び分析その他の調査に必要な経費」は95年度予算案で総額約18億9000万円
うち情報収集を外部に委託する経費が12億5000万円を占め、
報奨費など独自の情報収集・分析経費が約6億3600万円となっている。
調査委託機関には通信社などのほか、
「世界政経調査会」(港区赤坂、95年度予算案の調査委託費・約3億2000万円)、
「東南アジア調査会」(千代田区丸の内、同・約1億1000万円)、
「国民出版協会」(港区虎ノ門、同・約1億4600万円)など
があり、
そのトップにはほとんど警察や内調OBが天下っている

青木理「日本の公安警察」

防衛庁の「公安」

現在の防衛庁情報本部電波部「二別」は、約1000人の人員を擁して
全国6ヵ所の電波受信局で無線を傍受していた。防衛庁情報本部電波部となっているが、その指揮系統は内調の室長が握っており、ここからもたらされる情報も内調の貴重な情報源だ。
過去にはCIA🇺🇸など米情報機関の補完的な役割を果たす中で
謀略的色彩を帯びたとの指摘も多く、
「内閣調査室は事実上CIA直属の下請機関として存在し、
(略)機構、人脈そのものがアメリカの情報機関に従属している」
「かつては(略)あきらかに公安機関と密着していた札つきの雑誌を使用して反共宣伝をしていた内閣調査室が、一方では文芸春秋社のような大手の出版社を通じて世論工作を行なうというように、(略)その手口が「スマート」になってきた」
との指摘もあるが、
「独自情報はなく、新聞の切り抜きでお茶を濁しているだけ」(ある内調職員)との証言もある。
実際には、NSA🇺🇸やCIA🇺🇸と組んで、インターネット大量監視などに関与している。

●防衛庁の「公安」

かつて防衛庁の陸上幕僚監部に旧共産圏諸国などの
無線傍受を生業とする調査第2課別室
通称「二別」と呼ばれる組織があり、約1000人の人員を擁して
全国6ヵ所の電波受信局で無線を傍受していた

1997年1月、陸・海・空の3自衛隊と統合幕僚会議の情報部門を統合する組織再編が実施されたのにともなって変革が加えられ、防衛庁情報本部電波部となっているが、その指揮系統は内調の室長が握っており、ここからもたらされる情報も内調の貴重な情報源だ。

また1996年5月には内閣情報集約センターと呼ばれる機関が発足し、
24時間体制で緊急情報を収集・集約し、総理大臣、官房長官等へ伝達するという業務も行っている

しかし、情報収集の手足となる直接の実働部隊を持っていない以上、
調査活動にはおのずと限界がつきまとう

前述のように、過去にはCIA🇺🇸など米情報機関の補完的な役割を果たす中で
謀略的色彩を帯びたとの指摘も多く

内閣調査室は事実上CIA直属🇺🇸の下請機関として存在し、
(略)機構、人脈そのものがアメリカの情報機関に従属している
」(吉原公一郎「謀略の構図」)

「かつては(略)あきらかに公安機関と密着していた札つきの雑誌を使用して反共宣伝をしていた内閣調査室が、一方では文芸春秋社のような大手の出版社を通じて世論工作を行なうというように、(略)その手口が「スマート」になってきた」(同「謀略列島」)との指摘もあるが、
「独自情報はなく、新聞の切り抜きでお茶を濁しているだけ」(ある内調職員)との証言もある。

現実には室長を始めとする時の幹部の資質によって活動の質が大きく左右する傾向も大きいと見られ、
最近の内調室長の中には大手マスコミはもちろん、
右翼団体幹部や情報誌の編集者に至るまで自らが積極的に接触し、
さまざまな情報をリークすることで世論操作まがいの動きを取っていた人物も存在した


本章で紹介してきた公安組織に対しては、キャリア幹部の出向者を送り出すことで
警察が及ぼしている影響力も大きい。
内調に室長以下、数多くの警察官僚が出向していることは記したが、
このほか防衛庁では審議官や前出・情報本部電波部長などの席は警察からの出向官僚によって占められ、公安調査庁でも調査第1部長など幾つかの幹部席は警察官僚の指定席となっている。

青木理「日本の公安警察」

伊丹万作「騙されることの責任」

もちろん、「騙す方が100%悪い」のは紛れもない事実である。
その上で更に「騙されることの責任」を考えよう。

伊丹万作「騙されることの責任」

もう一つ別の見方から考えると、いくら騙す者がいても誰1人騙される者がなかったとしたら今度のような戦争は成り立たなかったに違いないのである。
つまり、騙す者だけでは戦争は起らない。騙す者と騙される者とがそろわなければ戦争は起らない一度騙されたら、二度と騙されまいとする真剣な自己反省と努力がなければ人間が進歩するわけはない騙されたとさえいえば、一切の責任から解放され、無条件で正義派になれるように勘違いしている人は、もう一度よく顔を洗い直さなければならぬ。
伊丹万作「戦争責任者の問題」より


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