恐るべき公安③-07諜報工作の手口「潜入テロ爆破工作と菅生事件」
悪名高い公安の
組織や手口に迫っていきます。
青木理「日本の公安警察」
青木理(あおき おさむ)
1966年長野県生まれ。ジャーナリスト、ノンフィクション作家。
90年に慶応義塾大学卒業後、共同通信社入社。
社会部、外信部、ソウル特派員などを経て、
2006年よりフリーとして活動
投入と謀略の過去
投入
投入は終わったか?
ある公安警察官は、中核派の活動家と接触するため、家出人捜索願いが出されている人物に身分を偽変して、印刷工、メッキ工と職を変え、その後、ジャーナリスト養成学校に入る。そして、社長と呼ばれる人間に偽変していた彼は、実に金払いのいい客を演じていたりもした。
菅生事件
消えた男
警察は、公安の関わる事件は、強弁して誤魔化そうとする。
菅生事件の時の警察は、偶然爆破事件に遭遇したと強弁し続けた。
正体は公安警察官
弁護団が真犯人を追跡捜査していると、
戸高公徳という隣町に住んで失踪した警官を見つけた。
当時の国家地方警察大分県本部に所属する公安警察官だった。
弁護団は戸高の写真を持ち帰り、市木を知る村民らに見せた。
「間違いない」――多くの村民が同一人物であると証言した。
事件は一転して、公安警察による謀略事件だった疑いが浮上した。
マスコミが接触
裁判で明かされた真実
「共産党員による駐在所爆破事件」は、無実の共産党員を陥れて、爆発犯に仕立て上げ、共産党を危険な集団に仕立て上げるために、地元の共産党周辺へと投入された公安警察官らによる「謀略事件」だったのである。
地検次席検事の回想
自民党議員を逮捕せず、起訴もしないことから、警察と検察の癒着も一般人にバレてきたが、この事件でも実は、検察もグルで知っていた。
つまり、公安の犯罪に検察も加担して、巧みに揉み消す協力をしているため、
起訴されたり、責任を取らされずに、自由気ままに謀略活動ができる仕組みになっているのである。
出世した公安警察官
大川原化工機捏造事件でも、事件を捏造した公安警察官たちが出世していったのに、驚く人が多かったが、基本的に、公安はバレても責任を取らせず、出世させる仕組みになっている模様。この戸高公徳という悪徳警官も、ノンキャリアの公安警察官としては異例の出世だった。まるで893の務所帰りのような扱いになっている。
息づく"亡霊”
伊丹万作「騙されることの責任」
もちろん、「騙す方が100%悪い」のは紛れもない事実である。
その上で更に「騙されることの責任」を考えよう。
もう一つ別の見方から考えると、いくら騙す者がいても誰1人騙される者がなかったとしたら今度のような戦争は成り立たなかったに違いないのである。
つまり、騙す者だけでは戦争は起らない。騙す者と騙される者とがそろわなければ戦争は起らない。一度騙されたら、二度と騙されまいとする真剣な自己反省と努力がなければ人間が進歩するわけはない。騙されたとさえいえば、一切の責任から解放され、無条件で正義派になれるように勘違いしている人は、もう一度よく顔を洗い直さなければならぬ。
伊丹万作「戦争責任者の問題」より