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恐るべき公安👮‍♂️⑦-01公安調査庁と内調「公安調査庁の実態と歴史」

恐るべき公安⑦-01公安調査庁と内調「公安調査庁の実態と歴史」

悪名高い公安の
組織や手口に迫っていきます。

青木理「日本の公安警察」

青木理「日本の公安警察」

青木理(あおき おさむ)
1966年長野県生まれ。ジャーナリスト、ノンフィクション作家。
90年に慶応義塾大学卒業後、共同通信社入社。
社会部、外信部、ソウル特派員などを経て、
2006年よりフリーとして活動



公安調査庁の活動と実態

活動に制限

「公安調査庁」の本庁は東京・霞が関に置かれ、内部部局として総務部、調査第1部、第2部の計3部、地方部局として北海道(札幌)、東北(仙台)、関東(東京)、中部(名古屋)、近畿(大阪)、四国(高松)、中国(広島)、9州(福岡)の8ヵ所にそれぞれの地域を所管する公安調査局、北海道から沖縄までの全国各県に計43ヵ所の公安調査事務所を設置している。

公安調査庁組織図

●活動に制限

公安警察以外に、組織に「公安」の名称を明確に冠した治安機関として、公安調査庁がある。
2章でも触れたとおり、公安調査庁は1952年7月21日、破壊活動防止法(破防法)の施行に伴って、同法の規定に基づく団体の規制に関する調査、処分請求事務を一体的に行うため、法務省の外局に位置する行政機関として設置された。

本庁は東京・霞が関に置かれ、
内部部局として総務部、調査第1部、第2部の計3部、
地方部局として北海道(札幌)、東北(仙台)、関東(東京)、中部(名古屋)、近畿(大阪)、
四国(高松)、中国(広島)、9州(福岡)の8ヵ所にそれぞれの地域を所管する公安調査局、
北海道から沖縄までの全国各県に計43ヵ所の公安調査事務所を設置


現在はリストラが進み、その人員は1700人以下に減じているが、
ピーク時は2000人を超える職員が全国で調査活動
を繰り広げてきた。

多くの人が公安調査庁を評して「情報機関である」と語る。
だが、誤解すべきではない。
調査に当たる公安調査官には破防法に基づいて調査権が付与されているが、
公安警察と違って証拠物の押収、家宅捜索など強制権限は一切排除され、その活動は任意調査に限られてきた。
また、公安調査庁は破防法に基づく団体規制のための調査・請求官庁にすぎず、
法律上その情報収集活動は、団体規制のために必要な範囲に限られているのである。
これを押し広げようともがいているのが公安調査庁の現在の姿ともいえる。

青木理「日本の公安警察」

公安調査庁の機構

●公安調査庁の機構

公安調査庁の機構は近年、たびたび改革が加えられてきたが、
1997年4月時点の組織図によると、その組織機構は次のようになっている(図参照)。

庁内の庶務や人事、会計、国会対策、法令関係などを所掌するのが総務部。
配下には総務課、人事課、法規課などが置かれている。

本業の調査部門は調査第1部、第2部に分かれており、
国内部門を所管する調査第1部の下には部内庶務や労組、経済、大衆・市民運動を含めた国内公安動向全般の調査を担当する調査第1課、
中核派や革労協など新左翼セクトを受け持つ調査第2課が置かれ、
さらに日本共産党調査にあたる「第3部門」、
右翼担当の「第4部門」、
革マル派などを担当する「第5部門」があって、
管理官と呼称される職責の幹部がその業務を束ねている

一方、外事関係事象や海外部門を所管する調査第2部の下には
部内庶務や日本赤軍、よど号ハイジャックグループ、外国人労働者を調査する調査第1課、
海外情報機関との折衝特命事項を担当する調査第2課がある。
これ以外にも北朝鮮を中心とする朝鮮半島情勢所管する「第3部門」、
中国動向の「第4部門」、
ロシアを中心とする旧共産圏動向の「第5部門」が置かれ、
それぞれを管理官が統括している

青木理「日本の公安警察」

高額な謝礼

基本的には公安も公安調査庁も同じだが、
公安調査庁の調査官には一切の強制権限がないため、
カネに頼る情報収集=高額の謝礼金につながっているのがあるようだ。

●高額な謝礼

公安調査庁における調査官の情報収集手法は、公安警察のそれとほとんど変わるところがない
尾行や聞き込み、あるいは団体の拠点や集会に対する視察、協力者獲得・運営による情報入手法に至るまで、全くと言って良いほど同様手法の活動が展開されている

だが、警察組織の1部としての公安警察と行政官庁としての公安調査庁では、
組織の成り立ちから派生する権限の相違によって、情報源へのアプローチの仕方が若干異なる
典型例が協力者に対する謝礼であろう。

謝礼金については一般的に公安調査庁のほうが高額であるとされ、
幾人かの公安警察官から「我々が信頼関係で情報を得ているのに対し、公安調査庁はカネを餌にしている」

とのセリフを耳にしたこともある。

この見方は一方的にすぎるとはいえ、公安警察が警察組織の一部であるが故に、
当然のこととして持つ数々の強権を対価とする情報活動が可能であるのに対し、
公安調査庁の調査官には一切の強制権限がないことも、
カネに頼る情報収集=高額の謝礼金につながっているのは事実のようだ。
しかし、両者の根本的な手法に相違があるわけではない

公安調査庁が公安警察と同種の活動をしていることを証明するために、
最も中枢的な情報収集の手法である「協力者工作」のケースを検討してみよう。
材料とするのは1通の公安調査庁の極秘文書
である。

青木理「日本の公安警察」

伊丹万作「騙されることの責任」

もちろん、「騙す方が100%悪い」のは紛れもない事実である。
その上で更に「騙されることの責任」を考えよう。

伊丹万作「騙されることの責任」

もう一つ別の見方から考えると、いくら騙す者がいても誰1人騙される者がなかったとしたら今度のような戦争は成り立たなかったに違いないのである。
つまり、騙す者だけでは戦争は起らない。騙す者と騙される者とがそろわなければ戦争は起らない一度騙されたら、二度と騙されまいとする真剣な自己反省と努力がなければ人間が進歩するわけはない騙されたとさえいえば、一切の責任から解放され、無条件で正義派になれるように勘違いしている人は、もう一度よく顔を洗い直さなければならぬ。
伊丹万作「戦争責任者の問題」より


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