恐るべき公安⑦-04公安調査庁と内調「公安の必死の生き残り戦略と官僚の謀略」
悪名高い公安の
組織や手口に迫っていきます。
青木理「日本の公安警察」
青木理(あおき おさむ)
1966年長野県生まれ。ジャーナリスト、ノンフィクション作家。
90年に慶応義塾大学卒業後、共同通信社入社。
社会部、外信部、ソウル特派員などを経て、
2006年よりフリーとして活動
必死の生き残り戦略
「不要論」に抗う
不要論に抗うために、
『予備・陰謀』規定を使えばうまくやれるんじゃないか?
「とにかく、破防法改正によって公安調査官に強制調査権、資料閲覧権を与えるべきだ」などと、妄想が膨らんでいく。
「破防法改正私案」
それは驚くほど大幅な公安調査庁の権限拡大を企図した破防法改正案だった。
つまり、過去に暴力主義的破壊活動を1度たりとも行っていなくとも、
公安調査庁が「危険」と判断すれば、どのような団体に対してであろうと調査が可能であり、場合によっては強制的な立ち入り検査すらなし得るというきわめて強権的な改正私案を作りあげ、自分たちの権益と不要論の払拭に足掻いた。
盛り上がる改正論
「オウム新法」浮上
公安調査庁が破防法本体の改正を諦めたわけではないことだけは明白。
「政治家に接近せよ」
存亡をかけた治安機関として最も手っ取り早いのが「政治との癒着」である。
公安組織が生き残りのために公然と政治と癒着しようとしていることを示す文書
としてはきわめて貴重なものである。
「公安調査庁が入手した情報については、今後積極的に官邸、
関係機関に提報していくことを庁の基本方針として意思統一すべき」
「議員の最大関心事は、選挙及び地元情報であることは明らかである。
そこで、共産党など当庁得意分野に焦点を当てた地元選挙情報を作成し、
説明に赴くことが議員との関係を深めるのに効果的と考えられる」
監視対象を拡大し、一般市民を監視し、与党議員の選挙活動に役立つよう、
敵対する野党や共産党の情報を提供して、与党が勝てるように手助けするなど
酷い癒着を提案するまでに落ちた。
伊丹万作「騙されることの責任」
もちろん、「騙す方が100%悪い」のは紛れもない事実である。
その上で更に「騙されることの責任」を考えよう。
もう一つ別の見方から考えると、いくら騙す者がいても誰1人騙される者がなかったとしたら今度のような戦争は成り立たなかったに違いないのである。
つまり、騙す者だけでは戦争は起らない。騙す者と騙される者とがそろわなければ戦争は起らない。一度騙されたら、二度と騙されまいとする真剣な自己反省と努力がなければ人間が進歩するわけはない。騙されたとさえいえば、一切の責任から解放され、無条件で正義派になれるように勘違いしている人は、もう一度よく顔を洗い直さなければならぬ。
伊丹万作「戦争責任者の問題」より