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統一協会の手口①-06マインドコントロール・騙し編「②布教ノウハウに似たマルチ②と災害便乗と権威詐欺」

統一協会の手口①-06マインドコントロール・騙し編「②布教ノウハウに似たマルチ②と災害便乗と権威詐欺」

悪名高い統一協会(世界平和統一家庭連合)の
「マインドコントロール」や「騙し」
の手口を明かしていきます。
ここでは、主に”勧誘”や”騙しの手口”を見ていきます。


旧統一協会に似た「マルチの手口②」

「名称変更」をして悪評から逃れ続ける

法律の規制を受けないように画策し、上だけが荒稼ぎできる、
恐ろしいまでの悪質な組織運営の実態が浮かび上がってきました。

さて、この組織の舞台裏はどうなっているのでしょうか。
過去に勧誘グループでリーダとして活動し、
裏の事情を知る男性に話を聞きました。

「年収2億円ほどを稼いでいる人もいましたね」男性はそう話します。
そこからは、法律の規制を受けないように画策し、上だけが荒稼ぎできる、
恐ろしいまでの悪質な組織運営の実態が浮かび上がってきました。

すでに述べたように、10年以上前は、
この組織は美容・化粧品を販売する大手のマルチ商法の
一グループにすぎませんでした。
会員に毎月15万円の商品購入の過度なノルマを課すなど、
儲けるためならどんな手段もいとわないかたちで販売網を広げていき、
6000〜7000人ものグループになっていきます。

しかし、問題行動の多さから、大元のマルチ商法から改善通告を受け、
組織を抜けざるをえない状況に追い込まれました。
その後、このグループは独自のシステムに進化します。

ここでは、あえて「組織」という言い方にしました。
ここにも理由があります。

元リーダーのひとりである山田氏(仮名)によると
「この組織には正式な名称がない」と言います。
「これまでに組織の名称を4回も変えているでしょうか。
現在は『T』などと言って活動しているようですね」
組織名をその都度変えながら活動している理由について、
「ネット上に悪評が出回ると、別の名前に変えていくのです」と答えます。

これは、悪質業者が行政処分を受けると、世間からの目を逸らせるために、
別会社に名前を変えるのと同じ構図だといっていいでしょう。

マルチ商法を規制する法律に、特定商取引法(特商法)があります。
連鎖販売取引では、勧誘に先立って消費者に業者の名称や統括者の
氏名を伝えなければならないことや、
勧誘目的を告げない誘引への禁止事項が定められています。
トラブルが多い商法ゆえに、こうした法律があるわけです。

悪質な業者のなかには、法律を遵守しないだけでなく、
実質的にはマルチ商法のかたちをとりながらも、
特商法における連鎖販売取引にあたらないようなしくみで
勧誘をするところもあります。

それゆえ、「マルチまがい商法」という表現をせざるをえないのが実情です。
この組織の悪質さは、それだけではありません。
連鎖販売取引の形態にあたらないようなマルチまがいのしくみにすることで、
いまも警察や行政からの手を逃れて勧誘し続けています。

多田文明「信じる者は、ダマされる。」

絶対に全体像を把握させない巧妙なテクニック

「リーダー会議が月に1回ありますが、A氏は出てきません。
しかし、議事録や音声などを通じ、彼が裏ですべての活動を仕切っていることは、
誰もが知っていることです」と山田氏は言います。
組織運営の巧妙さが、ここからもよくわかります。
法律では、勧誘に先立ち、団体名や統括者などを告げなければなりません。
しかし、正式な名称がなく、実質的な統括者が表に出てこないのでは、
勧誘者らは誘った相手にそれを伝えられません。

「今後の販売組織としてのマーケティングプラン
を立てるように言われた」
上からの指示は二つあったことがわかりました。
一つ目は、「役所からネットワークビジネス(マルチ商法)と言われない販売プランを考える」ことで、
二つ目は「現在、1億円以上の収入がある人の金額が絶対に下がらない」ことでした。

組織のリーダーらの上に君臨するという代表者A氏は、
陰に隠れて指示をしていると話します。
「リーダー会議が月に1回ありますが、A氏は出てきません。
しかし、議事録や音声などを通じ、
彼が裏ですべての活動を仕切っていることは、
誰もが知っていることです」と山田氏は言います。

組織運営の巧妙さが、ここからもよくわかります。
法律では、勧誘に先立ち、団体名や統括者などを
告げなければなりません。
しかし、正式な名称がなく、
実質的な統括者が表に出てこないのでは、
勧誘者らは誘った相手にそれを伝えられません。
その状況をつくりながら勧誘をさせます。

見えてくるのは、特商法を逃れて活動しようとする思惑です。

手段を選ばない悪質な運営実態を指摘され、
大手のマルチ商法から抜けるとき、リーダーらが上層部に呼ばれ、
「今後の販売組織としてのマーケティングプラン
を立てるように言われた」
各方面に取材を進めると、このとき、
上からの指示は二つあったことがわかりました。
一つ目は、「役所からネットワークビジネス(マルチ商法)
と言われない販売プランを考える」ことで、
二つ目は「現在、1億円以上の収入がある人の金額が絶対に下がらない」
ことでした。

つまり、役所に目をつけられても摘発されないようにして、
上の人だけが儲けられるしくみにするということです。
こうした指示を受け、リーダーらは提案します。
それらの意見も参考にしたのでしょう。

最終的には、上からは店舗型でのマーケティングプランが指示されます。
山田氏のような組織のリーダーは、
それぞれ自然食品などを販売する店舗を持ち、
そのオーナーとして、これまでに勧誘した数百人ほどの会員を
下につけて管理します。
通常のマルチ商法では、売上に合わせた「%(パーセンテージ)」のリターンが
紹介者の懐に入りますが、この組織ではこれをなくします。

「A氏はサプリメントや化粧品などの自社の工場をつくりました。
ここがメーカーとなり、リーダーらの店舗に商品を卸します。
ここには『仕切り』があり、グループの実績に合わせ、
上層部が商品の定価の何%(30~70%)
で各店舗に商品を卸すのかを決めるのです」(山田氏)

実績が出ているリーダーのお店は定価の30%で商品を仕入れられますが、
よくないお店は70%で仕入れさせられますので、
大きな実績を出しているところが、
より儲かるようになっています。

各店舗のリーダーより下の会員への配分はどうなっているのでしょうか。
「業務委託費として、お金を払うかたちでした」

表面上は、お店を運営するリーダーの裁量に任されるそうですが、
上層部からは「○人以上の会員には売上の10%を払う」
などの指示があり、実質的にはトップダウンでの
組織運営がなされていました。

また、会員には一定の縛りを設けています。
それが、「将来、経営者になるための投資」という位置づけで、
メーカーが販売する1万円分の商品を、
毎月ネット通販で注文しなければなりません。
その商品が各リーダーの店舗に送られるわけです。それを会員が受
け取れるのは特定の1日だけで、しかも支払いは現金のみです。

これについて、山田氏は、
お金の流れを把握されないためではないか
と推測します。

多田文明「信じる者は、ダマされる。」

脱退者を待ち受ける執拗な「組織的攻撃」統一協会と同じ報復システム

お金に困って会員に消費者金融に手を出させる。
ルームシェアもさせて管理しやすくする。
まさに、旧統一教会が行ってきていた行動に重なる手口が多くあった。

【悪党が抜けた仲間を特定して社会的信用を陥れる手口】
組織に対して敵意を持って抜けると、その人のSNSなどに、
誹謗中傷や事実かどうかもわからない悪質な書き込みが行われ、
その結果、仕事をやめざるをえなくなり、社会的信用も
失ってしまうこともある、
まさに統一協会の「被害者潰し」と同じ手口。

「なぜ、リーダーの地位を捨てて、この組織を抜け出たのでしょうか?」
と尋ねました。山田氏は、
「自分の下にいるメンバーが毎月15万円の苦しい生活を
強いられている事実に耐え切れなくなったからです」
と答えます。

購入ノルマのために、会員は身を粉にして働くわけです。
そのお金を上が吸い上げて利を得ます。
会員はその購入資金をつくるために手いっぱいで、
貯金などする余裕もありません。

「それにもかかわらず、組織は会員を管理しやすいように、
リーダーらの近くに住まわせようとします。
引っ越し費用がなければ、同じ部屋に何名もの人を住まわせることもありま
した」

ほかの被害者からも話を聞いていますが、
給料のほとんどをこの組織に払うために、
お金に困って消費者金融に手を出す方もい
たようです。

信じるもののために、給料のほとんどをつぎ込み、
借金を重ねる人もいる。
さらに、リーダーの近くに住まわせ、
ルームシェアもさせて管理しやすくする。
まさに、旧統一教会が行ってきていた行動に
重なる部分が多くあるように思います。

「かといって、勝手に15万円の購入ノルマを下げてしまうと、
上からは商品を卸してもらえなくなります。
さらに、全体の集まりにも参加できなくなるなど、
さまざまな威圧をかけられるので、
組織を出ていかざるをえなくなります」

やめていくリーダーのなかには、
下にいる会員に組織を抜けるようにすすめる人もいます。
結果、全員が抜けることもありますが、
こうなると、さらにひどい仕打ちが待ち受けているといいます。

【悪党が抜けた仲間を特定して社会的信用を陥れる手口】
「組織に対して敵意を持って抜けると、
その人のSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などに、
誹謗中傷や事実かどうかもわからない悪質な書き込みが行われ、
その結果、仕事をやめざるをえなくなり、
社会的信用も失ってしまうこともあります」


こうしたことが事実とすれば、決して許されることではありません。
組織をやめるか否かは自由です。
それなのに、「仕返しがあるかもしれない」
という恐怖で人の心を支配し、
組織から抜けにくい状況にさせているとすれば、
これは由々しき事態
だといえます。

「本当に、たくさんの人たちの人生を台なしにしてしまった
という思いでいっぱいです」

最後に、つらい胸のうちを話されます。
組織の活動を抜け、被害の実態に声を上げる人がいる一方で、
こうした人たちへの組織的なネット攻撃もあるため、
声を上げられずに泣き寝入りする人も多くいます

こうした状況のなかで、勇気を持って過去の罪と向き合い、
赤裸々に組織の裏の実態を告白してくれた山田氏には、
心からの謝意を申し上げたいと思います。

組織的攻撃までも行う、旧統一教会の組織運営と
非常に似たものを感じます。
過去に教団も批判的な報道をするマスコミに
無言電話やクレーム電話をかけるなどの行為をしてきた歴史があります。
カルト的な思想を持った組織は似たような行動をとるものだと思います。
しかも、いまは、電話だけでなく、ネットを通じてもそれが行われており、
攻撃の幅が広がってきています。


こうした組織にかかわってしまうと、
金銭的被害を受けるだけでなく、
自分が勧誘する加害者の側に回ってしまい、
お話をうかがった男性のように、
心に大きな傷を残すこともあります。

大きなお金を払う決断をする前には、
必ず立ち止まってください。
できれば、自分の家族や信頼が置ける友人にひと声かけてください。
誰かに投げかけたひと言を通じて、ダマされている自分に
気づくこともあるからです。
そして、大切な将来と自分自身の心を守ってください。
水面下でこうした勧誘を行っているグループは、
ほかにもあると思われます。
くれぐれも、イベントなどを通じて何度も会い、
誘った相手の心に知らぬ間に
みずからの組織の思想を植えつけさせながら、
拒否できない状況下で誘う、
きわめて悪質なマインドコントロール的な手法にはご注意ください。

多田文明「信じる者は、ダマされる。」

災害や不幸に漬け込む悪質業者の手口@詐欺の共犯編

ビッグモーターのように客に詐欺の片棒を担がされる悪質さ

災害の直後に連絡してくる連中の正体

台風で屋根が壊れたなどとウソをつかせようとするなど、
かなりの悪質な業者です。
もし、このようなウソに乗ってしまうと、
家人も詐欺行為に加担したことになりかねませんので、
きっぱり断ることが必要です。

こうした善意を装う手口は、この世の中のさまざまな悪質商法に見られます。
とくに災害に見舞われた地域には、この手法がはびこりがちです。

台風の被害は猛烈な風を巻き起こし、多くの屋根を破壊します。
すると、決まって悪質業者が家々を訪問します。
「ブルーシートをかけてあげましょうか?次の雨雲もやってきているようですね」
高齢者になると、屋根にはのぼれません。
多少のお金はかかってもいいと思って、工事をお願いしてしまう人もいるでしょう。
しかし、なかにはブルーシートをかけただけで18万円とられた人もいます。

ある男性に起きた修理トラブルを見てみます。
台風によって家の雨どいが壊れてしまいました。
業者を呼ぼうと思ってネットで調べたところ、
「1カ所1000円」からの値段で作業をしてくれるところを見つけました。
「安い!」
そう思って家に呼びました。

3名の作業服姿の人たちがやってきました。
そのうちのリーダーらしき男は、
「火災保険には入っていますか?」
と雨どいを見ながら聞きます。

家人の男性が、
「はい、入ってます」
と答えると、業者の男はうなずきます。

20分程度、男らは屋根にのぼり、
何かの作業をして下りてきました。
すると、
「保険は下りますので、ご安心ください。
それに、自己負担なしで修理できますよ」
と言い、屋根にのぼった際に撮った写真を見せてきました。

そこには、雨どいの写真だけでなく、
「屋根瓦」を数枚外し、内部の木材がむき出しに
なっているものも含まれていました。
不安になる男性に対し、業者は、
「安心してくださいね。屋根瓦はもとの状態に戻しておきましたから」
と話します。
「この写真で雨漏りも発生したことにして、
工事見積書を二つつくります。
ひとつは保険会社に提出するもので、
もうひとつは実際に修理する際の見積もりになります。
後日、お送ります」
そして、業者は帰っていきました。

しばらくして送られてきた見積書を見ると、
保険会社用の見積もりは約300万円で、
もうひとつは約100万円になっていました。
業者から電話があります。
「保険が下りましたら、そのほかの外壁塗装もやりますよ。
まずは、ひとつ目の見積書で保険会社に請求しておいてください。
くれぐれも前回の台風で損壊したことにしてくださいね。
絶対に曖昧なことは言わないようにしてください!」
と業者は釘を刺します。

業者は男性の不安を煽るような言葉も忘れません。
「すぐに修理しましょうね!次の台風が迫ってますから、大変なことになりますよ!」

そのころ、男性は私が出演したリフォームトラブルの番組を見ていて、
「火災保険で工事費用はすべてが賄える」
といった話がそっくりだったので、不安になったそうです。
そこで、番組内で挙げていた、
「ほかの工事業者にも相見積もりをとる」
というダマされないための対策を、
先の業者にぶつけてみました。
すると、その業者とは音信不通になったといいます。

後日、男性は別の業者に見積もりを依頼すると、
「雨どいの修理だけなら、約50万円でできますよ」と言われ、
実際の壊れた部分だけの写真を添付して保険会社に提出。
保険会社からは30万円が出ました。
結局、20万円を出すことになり、最初の業者が言ったように、
保険ですべてがタダになることはありませんでした。

台風で屋根が壊れたなどとウソをつかせようとするなど、
かなりの悪質な業者です。
もし、このようなウソに乗ってしまうと、
家人も詐欺行為に加担したことになりかねませんので、
きっぱり断ることが必要です。

多田文明「信じる者は、ダマされる。」

旧統一協会に似た「肩書きや権威を利用して騙す手口」

「肩書」だけで1億円が集まった

身の回りには、本当に多くの権威を利用して近づく手口があります。
詐欺などで行われる、真実にウソを混ぜるという、じつに巧妙なやり口です。
こうした詐欺的行為を世の中に広めないためには、
被害者一人ひとりの勇気ある告白が必要です。

身の回りには、本当に多くの権威を利用して近づく手口があります。

2020年1月に、第一生命の89歳の元生保レディーが、
10年にわたって24人の顧客から1億5000万円以上をダマしとった事件が発覚しました。ここにも、権威を使った狡猾な手口がありました。

多くの人がお金をとられてしまった理由に、
会社側が与えた二つの肩書が大きくかかわっています。

一つ目は「上席特別参与」という役職です。
これは、数多いる保険営業のなかで、十数人にだけ与えられている称号で、
彼女の名刺にも上席特別参与の肩書があり、
「保険のプロフェッショナルのなかから、
とくにすぐれた営業職員の証しである」とあります。

二つ目は、唯一、彼女だけに与えられた「特別調査役」というものです。
本来は80歳が定年とのことですが、彼女には顧客が数百人もいたため、
この役職が与えられたといいます。
彼女は、これらの肩書を通じて、いかに自分が優秀で選ばれた存在であるか
を誇示し、顧客にウソの話を信じさせていました。

元生保レディーの話の持っていき方は非常に巧みでした。
被害者のひとりは、母親が亡くなって5000万円の死亡保険金の受け取り手続きと
説明を受けるために、彼女のもとを訪れました。
彼女は第一生命の次長とともに、
「第一生命が利息をつけて死亡保険金等を預かる制度」を説明し、
被害者はこれを利用することにしました。

数日後、彼女から「私のようなトップセールスだけが持てる
第一生命の特別枠口座がある。こちらを使えば、
もっと高い金利でお金を預かれる」という話を持ちかけられ、
5000万円をダマしとられています。

これは詐欺などで行われる、真実にウソを混ぜるという、
じつに巧妙なやり口です。
次長とともに、最初に説明したものは、実際に第一生命にある
「すえ置金」制度で、真実です。
しかし、その後に彼女が話した「高金利の特別枠口座」の話は、
まったくのウソでした。

真実を混ぜることで、ウソが見抜きにくくなってしまうのです。
とくに保険の内容は素人にはわかりにくいものです。
人はわからないことが出てくれば、
その筋の専門家にお任せしようとするものです。
そのとき、任せる相手が信頼に足る人物かどうかを判断する物差しは、
やはり相手の肩書になります


おそらく被害者も「長年のつきあいがあり、
第一生命の『上席特別参与』『特別調査役』の肩書を
持っている人なら大丈夫だろう」と思ったはずです。

ところが、会社側はお墨つきを与える肩書を持たせていながら、
彼女に対して適切な監督や指導をしていませんでした。
つまり、二つの肩書を武器にして自由に詐欺的行為ができる状況
を与えてしまったわけです。
同社は、のちにこの元生保レディーを解雇し、詐欺容疑で刑事告発しました。
しかし、本当は、もっと早く彼女の悪事を暴くことはできたはずでした。

それは、3年前にさかのぼります。
彼女の営業内容に不審な点があるとの情報を外部から受けて調査をしましたが、
詐欺的行為を見抜けなかったのです。
火のないところには煙は立たないものです。
その目線で、もっと徹底した調査を行っていれば、
さらなる被害は起こらなかったはずなのです。

ほかにも、一流の生保レディーとして培ってきた話術を
悪用したダマシの巧みさは随所に見られます


別の被害者には、「第一生命の上層部しか知らない特別枠がある」という、
「あなただけに教える」という特別意識を植えつけるような話をしたうえで、
「まだ運用枠が残っています」
「預けてくれれば、3割の利息をつけて半年で元利弁済します」
と持ちかけ、1億8000万円をダマしとっています。

彼女は、地元の政財界から名だたる人々を集め、
数百人規模の勤続50周年祝賀会を開いていますが、
こうした威光効果も存分に利用
しています。

先の1億円以上をダマしとられた女性のもとに、
元生保レディーは国会議員の妻と秘書を連れてきて、
亡くなった夫の墓前に線香を上げるという行為をしています。
また、高級なお中元も届けており、被害者に恩を売ることで、
何かしらのお返しをしたいという気持ちにさせるように仕向けています。
これは「返報性の法則」ともいいますが、詐欺師たちがよく使う手
でもあります。

この権威を使った威光効果は、外の顧客だけに向けられたものではなく、
会社内部に向けた意味もあります。
社内では「女帝」と言われるほどの大きな影響力を持っていたといいますが、
こうした威光を使うことで、「自分のすることに口出しをさせない」状況をつくりあげました。

その結果、詐欺的行為が長く続けられる状況を生むことに
なってしまったのです。

これだけの手を使われると、私たち個人が被害を防ぐのはなかなか難しいですが、
しいてダマされないための方法を挙げるとすれば、
どんなに信頼できそうな相手であっても、
「現金を直接渡さない」ことしかありません。

被害者の方は、こうも話します。
「表に出られず、泣き寝入りされている方は多数いるはずです」
こうした事件では、被害として表に出てきているのは氷山の一角であることが
多くあります。
しかし、こうした詐欺的行為を世の中に広めないためには、
被害者一人ひとりの勇気ある告白が必要です。

多田文明「信じる者は、ダマされる。」


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統一協会の手口シリーズまとめ


伊丹万作「騙されることの責任」

もちろん、「騙す方が100%悪い」のは紛れもない事実である。
その上で更に「騙されることの責任」を考えよう。

伊丹万作「騙されることの責任」

もう一つ別の見方から考えると、いくら騙す者がいても誰1人騙される者がなかったとしたら今度のような戦争は成り立たなかったに違いないのである。
つまり、騙す者だけでは戦争は起らない。騙す者と騙される者とがそろわなければ戦争は起らない一度騙されたら、二度と騙されまいとする真剣な自己反省と努力がなければ人間が進歩するわけはない騙されたとさえいえば、一切の責任から解放され、無条件で正義派になれるように勘違いしている人は、もう一度よく顔を洗い直さなければならぬ。
伊丹万作「戦争責任者の問題」より



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