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公安の手口🚓④-04スパイ育成と手口「公安の日常仕事」

公安の手口④-04スパイ育成と手口「公安の日常仕事」

新右翼の「一水会」の元会長が、公安警察に追われて使われた
エゲツナイ卑劣な手口の数々を「公安警察の手口」の本を元に
見ていきます。

鈴木邦男「公安警察の手口」

鈴木邦男「公安警察の手口」

鈴木邦男(すずき・くにお)
1943年福島県生まれ。67年、早稲田大学政治経済学部卒業。
70〜73年、産経新聞社に勤務。
学生時代から右翼・民族派運動に飛び込み、72年に「一水会」を創り、「新右翼」の代表的存在になる。99年12月に「一水会」会長を辞め、顧問になる。現在、月刊「創」など にコラムを連載中。
主な著書に、『新右翼』(彩流社)、『夕刻のコペルニクス』(扶桑社文庫)、『言論の覚悟』(創出版)、『ヤマトタケル』(現代書館)などがある



公安の日常業務

●公安の日常業務

左翼担当の公安は「協力者」(スパイ)獲得に血道をあげる。
右翼担当の公安は、表に出ている右翼は全て掌握しているから、
潜在右翼発見に全力を尽くす


では、公安はその他には何をやっているのだろう
(「その他に」というよりも、この各々の主任務[スバイ獲得と潜在右翼発見]を完遂するために、その他の仕事をやっている。そう言った方が正確だろう)。

それは、ガサ入れ、尾行、張り込みだ。
別件逮捕、微罪逮捕、ころび公妨も重要な仕事だが、
毎日行なっているわけではない。
だから、ここでは彼ら公安の日常的な業務であるガサ入れ、尾行、張り込みなどについて説明しよう。

鈴木邦男「公安警察の手口」

ガサ入れのやりロ

●ガサ入れのやりロ

まずはガサ入れだ。でもこの言葉は警察の隠語だ。正式には家宅捜索という。
だから新聞でもテレビでも、ニュースでは必ず「家宅捜索」という。
一般に話すときは皆、「ガサ入れ」と言っている。
ガサガサ音を立てて捜すからだろう(「家捜し」の逆さ読みという説もある)。
他にも警察の隠語として「タタキ」「コロシ」「ツッコミ」などがある。
タタキは強盗だ。
黙って忍びこみ物を盗ったらすぐに逃げればいいものを、刃物で脅したりして盗る。縛りあげたり、脅して叩いたりして盗ったから「タタキ」だ。
コロシは文字通り殺人だ。
ツッコミはちょっといやらしい。強姦のことだ。
男のモノをつっ込むからだ。
露骨だし、この言葉自体が悪褻だ。
テレビの刑事ドラマを見ていても、コロシ、タタキ、ガサ入れは出てくるが、
さすがにツッコミは出てこない。

ガサ入れに話を戻すが、テレビのニュースでよく見るように、
犯罪事件があると揃いの制服を着た捜査員が乗り込んで、
ダンボールに書類を入れて運び出している。
でもあれは汚職、談合、脱税などのように書類を全部調べる必要があるからだ。
だから、「ダンボール10個分押収しました」なんて言っている。

右翼や左翼の場合は、そんなに押収するものはない
ぼくは過去何十回とガサ入れをされたが、押収されるのは手帳、
電話帳、住所録、ノートなど数点
だ(彼らの狙いはそれだけだ)。
だから紙袋一つに収まる
だいたいダンボールなんてはじめから持ってきていない

それに他の事件と違い、公安のガサ入れは証拠を探すためではない。
汚職、談合、選挙違反などは膨大な資料、
書類、金銭の出納記録などを徹底的に調べ、
そこから証拠を見つけようとする。
だから、ガサ入れをし、書類を押収するのにも「理由」がある。
犯罪を立件するためにもガサ入れは「必要」なのだ。

鈴木邦男「公安警察の手口」

「理由」も「必要」もいらない

【公安による嫌がらせや見せしめのガサ入れ】

●「理由」も「必要」もいらない
【公安による嫌がらせや見せしめのガサ入れ】

ところが、左翼、右属に対する公安のガサ入れは、これとは全く違う。
「理由」も「必要」もないのだ。
極端にいうと、「いやがらせ」「見せしめ」のためにやられることが多い
あるいは(いや、これが本当の目的なのだが)、運動のシンパ(共鳴者)、
支援者を探すため
に行なわれる。
右翼ならば、友人関係をたどって潜在右翼を発見しようとする
この目的のためだけにやられている。

考えてみたらいい。
汚職、選挙違反などは、ガサ入れで押収された資料を調べ、
有罪かどうかが決まる。
事件を立証するために必要なものだ。

ところが、公安事件の場合、事件はすでに起こっている。
新左翼ならば、どこかに爆弾が投げこまれ、
どこかのセクト(党顔)が「我々がやった」と声明を出している。
右翼なら、自民党本部などに突入し、ビラを撒いた。
どこの団体の誰かは分かっている。
逮捕もされた。事件は既に終わっている。
この直後に公安はガサ入れを開始する。

事件を起こした人間のアパートや、
彼が属する団体の事務所がガサ入れされるのは仕方ないとしよう。
でも、覚悟してやったんだから、何も出てこない
問題は、このとき数十人から数百人の「関係者」にガサ入れをすることだ。
新聞にもそんな表現が出ている。


「でも関係者なら仕方ないだろう」と一般の人は思うかもしれない。
でも違うのだ。
この場合の関係者は、ほとんど「無関係者」なのだ


たとえば赤報隊事件のときに、犯人は分からないが、
声明文を読むと新右翼のように思えたので、
新右翼といわれる人々が全国で数百人、ガサ入れされたことがある。
さらに、そこで押収された名刺、電話帳、住所録を見て、
友人、知人宅を訪ね、あるいはガサを入れる。
つまり、全くの「無関係者」だ。
新右翼といわれる人も
普通の仕事をしていたり、学生だったりする。
新左翼と違って組織防衛なんて観念がないから、
電話帳でも住所録でも何でも押収される。
パソコンのソフトも押収される。

鈴木邦男「公安警察の手口」

【公安の合法的強盗】

【公安の合法的強盗】

ぼくだって、何十回もガサ入れされたが、全く知らない人の事件ばかりだ
他の人たちもそうだ。
「ぼくは仕事で鈴木に一回会っただけなのにガサ入れされた」
というルポライターがいる。

「右翼の集会に一度出ただけなのにガサ入れされた」という学生もいた。
公安は、「こいつは、ひょっとして関係あるのでは」と思ったら、
いつでも誰でもガサ入れできる。
全く個人的な考えでやれるのだ。

「最近、右翼とつき合っているようだな。じゃ、ガサ入れしてやろう」
「こいつは公安とつき合わない。見せしめでやってやろう」となる。
こうなると、ただのドロボーだ。いや、タタキ(強盗)だ。
それも権力を笠に着た合法的タタキ
だ。

鈴木邦男「公安警察の手口」

伊丹万作「騙されることの責任」

もちろん、「騙す方が100%悪い」のは紛れもない事実である。
その上で更に「騙されることの責任」を考えよう。

伊丹万作「騙されることの責任」

もう一つ別の見方から考えると、いくら騙す者がいても誰1人騙される者がなかったとしたら今度のような戦争は成り立たなかったに違いないのである。
つまり、騙す者だけでは戦争は起らない。騙す者と騙される者とがそろわなければ戦争は起らない一度騙されたら、二度と騙されまいとする真剣な自己反省と努力がなければ人間が進歩するわけはない騙されたとさえいえば、一切の責任から解放され、無条件で正義派になれるように勘違いしている人は、もう一度よく顔を洗い直さなければならぬ。
伊丹万作「戦争責任者の問題」より


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