見出し画像

公安の手口🚓②-03公安組織と歴史「公安の監視ネットワーク」

公安の手口②-03公安組織と歴史「公安の監視ネットワーク」

新右翼の「一水会」の元会長が、公安警察に追われて使われた
エゲツナイ卑劣な手口の数々を「公安警察の手口」の本を元に
見ていきます。

鈴木邦男「公安警察の手口」

鈴木邦男(すずき・くにお)
1943年福島県生まれ。67年、早稲田大学政治経済学部卒業。
70〜73年、産経新聞社に勤務。
学生時代から右翼・民族派運動に飛び込み、72年に「一水会」を創り、「新右翼」の代表的存在になる。99年12月に「一水会」会長を辞め、顧問になる。現在、月刊「創」など にコラムを連載中。
主な著書に、『新右翼』(彩流社)、『夕刻のコペルニクス』(扶桑社文庫)、『言論の覚悟』(創出版)、『ヤマトタケル』(現代書館)などがある



【公安の監視体制の例(公安と最寄りの警察署の監視体制)】

【公安の監視体制の例(公安と最寄りの警察署)】

ぼくが一水会の代表をしていたときは、
「一水会担当」の公安だけで5人もいた
(一水会の専従活動家は3人もいないのに)。
この5人の公安が常時、メンバーを見張っている
一水会は非合法闘争を捨て、どんなことがあっても非合法、
非公然活動はやらないと決めたし、そう公表もしている

にもかかわらず、公安は相変わらず張り付き、
勉強会や集会、デモにどんな人が来ているか、新しい人はいないか、
それをチェックしている
のだ。
不愉快だし、気分が悪い

東京に在住する一水会の活動家に対しては、
警視庁公安部が目を光らし、動向を監視している。

地方に在住する一水会の活動家に対しては、所轄の県警の警備部が見張り、監視する

たとえ、とっくの昔に運動から足を洗い、郷里に帰って家業を継ぎ、
ぼくら一水会のメンバーとも連絡はとっておらず、
完全に一般市民に戻ったとしても、公安は動向を把握し定期的に訪ねている


公安に監視されつづける人は「わずらわしい。来るな!」と怒る人が多い
でもなかには、「まだ俺も公安に目を付けられているのか」と喜んでいる人もいる。
どっちにしろ膨大な税金の無駄使いだ
東京の活動家を監視するのは警視庁公安部だと述べたが、実をいうと
その下の所轄の警察署の警察官も見張っている

ぼくは中野区に住んでいるが、
中野警察署の警備課の公安担当がぼくの家をチェックしにくる。
重複しているし、ややこしい

中野署の人間に言わせれば、
中野区に住んでいる左右の過激派を把握しておきたい。
そして中野区では問題を起こさないでほしい
」ということなのだ。
こっちは会う理由がないから放っておくと、ドアを叩きながら、
「中野署の者です」と大声で叫ぶ。
近所迷惑
だ。

鈴木邦男「公安警察の手口」

【警察庁は「頭脳」で、実際に動いているのは警視庁】

【警察庁は「頭脳」で、実際に動いているのは警視庁】

定期的にぼくのようなブラックリストに載っている人間の住居を訪ね、
「中野署管内一 右翼や左翼は静かにしているか、変な動きはないか」
と聞いてまわることを、彼らはノルマとしている
のだろう。
また、外国の要人が来日しているときや、政治的に大きな行事があるときも巡回する。
さらに、五・一五事件や二・二六事件の日、海軍記念日、陸軍記念日、
終戦記念日などにも巡回
する。
「右翼が決起するときは必ず何かの記念日だ」という先入観があるのだ。

といっても、これは中野警察署の公安が独自にやっているのではない。
彼らは、その上の警視庁公安部の指示のもとに動いている。
さらにその背後には、警察庁警備局の指示があるのだろう

(警察庁は「頭脳」で、実際に動いているのは警視庁だ。
だから警視庁公安部の指示でやっている)。

鈴木邦男「公安警察の手口」

刑事警察との確執

【洗脳されて口が固い公安警察】

●刑事警察との確執

【洗脳されて口が固い公安警察】
警察組織で出世する者には公安出身者が多い
なぜ公安が出世するのかというと、それは人事システムに関係している。
警察官に採用された人は、まず警察官としての教育を受ける。
そこで、共産党や新左翼・右翼はどんなに危険な存在であるかを叩き込まれ、
彼らからこの日本を守るのが自分たちの使命だと教え込まれる

その教育のなかで、優秀な者が公安に回されるのだろう。

刑事警察の不祥事はどんどん出てくるが、公安警察の不祥事は全く表に出てこない。
それだけ公安は優秀で自分の仕事に誇りを持ち、口が固いからだ
たとえ辞めても仕事の内容を洩らすことはない

鈴木邦男「公安警察の手口」

【刑事部や交通部もダンマリで、やりたい放題の秘密警察公安】

【刑事部や交通部もダンマリで、やりたい放題の秘密警察公安】
こうした公安のエリート意識に対し、刑事部や交通部の警察官は反撥し、
不満を持っているはずだが、それが聞こえてくることもない

たまに新聞に「公安部と刑事部の対立」などという記事が出るが、
詳しく分析されることもない。
刑事は、殺人犯や強盗、泥棒を追いかけ、日本の治安を守っている。
自分たちこそ日本の治安を守っていると思っている。
とくに凶悪犯罪の多い昨今はそうだ。

それなのに公安はロクに事件もないのに態度だけはデカイ。
刑事警察にしてみれば、ふざけるんじゃない、と思っているはずだ。
ぼくは一度だけだが、刑事警察のそんな不満を聞いたことがある。

鈴木邦男「公安警察の手口」

【刑事警察の公安への不満】

【刑事警察の公安への不満】
赤報隊事件がもう少しで時効を迎えるというときだった(2003年3月に時効成立)。
兵庫県警の刑事が訪ねてきた。殺人担当の刑事だ。
会わないと言えば、ガサ入れをされるので仕方なく会った。
ぼくが今まで接触した警察官は公安しかいない。

だから殺人係の刑事と話すのは初めてだ。

「もう公安には任せておれないから我々が出てきたんだ」と言う。
赤報隊事件は公安主導で捜査が行なわれ、
「これは新右翼の犯行だ」と断定し、
それ以外の可能性を調べなかった。
赤報隊事件が迷宮入りした原因のひとつは、
初動捜査が間違っていたからなのだ。

はじめから刑事警察が捜査を担当していたら
案外早く犯人は挙がったかもしれないが、時効寸前だしもう手遅れだ。

そのときの話のなかで、
「でも公安は優秀だし、エリートでしょう」
とぼくが一言、口を滑らした

そうしたら相手の刑事はムッとして、
「そんなことはありません」と言う。
自分たちのことを馬鹿にされたと思ったのだろう


「鈴木さんは長いあいだ政治運動をしてこられたから、
警察のことには精通していると思ったのに・・・・・・。
鈴木さんでもそんなふうに思っているんですか」
と悔しそうな顔をする。
自尊心を傷つけたのかなと思った


「そりゃ、凶悪犯を追って靴を擦りへらして歩き回り、
命をかけて闘っている刑事の皆様はご苦労さまだし、偉いと思いますよ。
でも公安の人間の方が出世が早いし、エリートコースなんじゃないですか」
と言った。しかしこれはフォローにならなかった。

「どこが優秀なもんですか」と刑事は憤る。
「出世が早いのは事実ですよ。でもそれは仕事が楽だし、暇だからです。
だから試験勉強をする時間がある。それだけですよ」
と。

なるほど、一理ある。
警察も上の役職に就くには試験をパスしなければならない。
ところが刑事たちは朝早くから深夜まで駆けずり回っていて、本を読み勉強する時間もない。
その点、公安は暇だ

「日本は俺たちが守っている」と大言壮語しても、
もう左右の過激派もいないから公安事件も少ない。
でも、
「情報を取りにゆく」「協力者に会いに行く」
という理由で出かける

そして昼間から喫茶店や図書館で試験勉強をしている。
だから出世が早いんだという

負け惜しみもあるだろうが、たしかにそういう面もあるのだろう。

しかし、時間があって勉強できるということも含めて、
それでも公安は出世コースだということになる。
公安は警察の他の部署とは全く別だし、超然としている。
どんなことがあっても2000人(全国では1万人)の人数を減らすことはない
減らしたら、「公安の存在意義」や「必要性」に疑問を持たれるからだ。

それともう一つの理由がある。
公安は公安の仕事ばかりしてきたから、他のことはできない。
たとえ刑事畑に異動しても殺人や強盗の捜査はできない。
それは交通警察に配属されても同じことだ。
つまり、公安は他では使いものにならない
のだ。

では刑事畑の方から公安畑に移ることもないのか。
原則的にはない。
しかし、一人だけ例外がいた。
その人は、殺人を扱う捜査一課にいた。
普通の死体を相手にするのはいいが、腐乱死体には参った。
なんとか慣れようと思ったが生理的に無理だ。それで願い出て公安に回してもらったという
(また、国松警察庁長官が狙撃されたとき、これは公安が担当した。
オウム事件は刑事が担当したが、手が回らなくなったのだ。
しかし、公安が担当したが犯人は捕まらない。
応援するために刑事から回された人がいたが、
うまくゆかなくて結局外されたという。)

鈴木邦男「公安警察の手口」

伊丹万作「騙されることの責任」

もちろん、「騙す方が100%悪い」のは紛れもない事実である。
その上で更に「騙されることの責任」を考えよう。

伊丹万作「騙されることの責任」

もう一つ別の見方から考えると、いくら騙す者がいても誰1人騙される者がなかったとしたら今度のような戦争は成り立たなかったに違いないのである。
つまり、騙す者だけでは戦争は起らない。騙す者と騙される者とがそろわなければ戦争は起らない一度騙されたら、二度と騙されまいとする真剣な自己反省と努力がなければ人間が進歩するわけはない騙されたとさえいえば、一切の責任から解放され、無条件で正義派になれるように勘違いしている人は、もう一度よく顔を洗い直さなければならぬ。
伊丹万作「戦争責任者の問題」より


いいなと思ったら応援しよう!