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公安の手口🚓④-02スパイ育成と手口「スパイの育成学校」

公安の手口④-02スパイ育成と手口「スパイの育成学校」

新右翼の「一水会」の元会長が、公安警察に追われて使われた
エゲツナイ卑劣な手口の数々を「公安警察の手口」の本を元に
見ていきます。

鈴木邦男「公安警察の手口」

鈴木邦男「公安警察の手口」

鈴木邦男(すずき・くにお)
1943年福島県生まれ。67年、早稲田大学政治経済学部卒業。
70〜73年、産経新聞社に勤務。
学生時代から右翼・民族派運動に飛び込み、72年に「一水会」を創り、「新右翼」の代表的存在になる。99年12月に「一水会」会長を辞め、顧問になる。現在、月刊「創」など にコラムを連載中。
主な著書に、『新右翼』(彩流社)、『夕刻のコペルニクス』(扶桑社文庫)、『言論の覚悟』(創出版)、『ヤマトタケル』(現代書館)などがある



スパイ・育成の方法

●スパイ・育成の方法

では、ここで公安がどういうやり方で協力者(スパイ)を獲得・育成しているか、その方法を見てみよう
もちろん、公安はその方法を絶対に発表しないから実態は分からない。
公安を辞めた人間は組織内部の情報を語るととはない。秘密は厳守されている。
しかし、唯一の例外がある。
元沖縄県警公安警察官だった島袋修氏は、その著書『公安警察スパイ養成所』(宝島社文庫)のなかで、
衝撃的な告発内幕レポートを書いている(以下の記述はとくに断りのない限りこの本に基づく)。

鈴木邦男「公安警察の手口」

【スパイにした共産党少年が自殺して告白】

【スパイにした共産党少年が自殺して告白】

それにしても、こんなことが洩れるなんて稀有だ。
よほどのことがあったんだろうと思ったら、島袋氏が抱えていたスパイが自殺し、
それで良心の呵責を感じ、全てを告白する気になったという


島袋氏は、何人ものスパイを抱えていたが、
そのうちの一人であるA少年には高校生だったときに接近し、スパイにした
警察庁登録コードネーム「A-6」がA少年に付けられた名前だ。
A少年が島袋氏宛てに遺書を残して首吊り自殺をしたのは平成4年8月。
そのときは島袋氏は退職した後だった。公安は退職しても、後任の者がそのスパイを引き継ぐ。
A少年は後任の公安とはうまくいかず、苦しんでいた

自分がスパイであることが共産党にバレるのではないか、こんなことをしていいのか、党に密告されるのではと不安と強迫観念に追い込まれて自殺した

鈴木邦男「公安警察の手口」

【足下をみて少年を買収してスパイにした】

【足下をみて少年を買収してスパイにした】

後任の公安との関係がうまくいかなかったとはいえ、責任は島袋氏にある
スパイに誘い込み、地獄に引きずり込んだのだ
島袋氏は、A少年が高校時代、「赤旗」を配っているのを見かけ
「ご苦労さん」
「共産党には頑張ってもらいたいね」

と自然に声をかけた。
怪しまれないように、巧みに近づき、スパイにする。
マンションを借りてやり、月の小遣いも八万円払った。
A少年はいい情報を流してくれたし、人間的な関係も強くなり、
「兄弟のような感情だった」という。

鈴木邦男「公安警察の手口」

【永く潜伏するスパイはいつか必ず裁かれるという遺書】

【永く潜伏するスパイはいつか必ず裁かれるという遺書】

「日本を守るため」の愛国的な闘いをする同志だったのだ。
しかし本当の同志にはなれなかった。
金のために共産党の資料を盗み出す、薄汚いスパイにかわりない。
そして自殺した
「永く潜伏するスパイはいつか必ず裁かれる」と遺書にはあった

鈴木邦男「公安警察の手口」

【公安の仕事は、人間から人間らしい気持ちを奪い、犯罪者をつくること】

【公安の仕事は、人間から人間らしい気持ちを奪い、犯罪者をつくること】

島袋氏は理想に燃えた公安だった。
それまで自分の仕事に悩み、迷ったことはない。

しかしA少年の自殺はショックだった。自分はどう責任をとるべきか悶絶した。
そして全てを告白しようと思った


島袋氏は公安としてあらゆることを行なった。
盗聴、脅迫、住居侵入、スパイ養成
本人はそれを悪いことだとは思わないし
むしろ危険が多いだけ国のための英雄的行為であり、
「正義」だと思った
という。

ところが公安を退職し、A少年に自殺され、島袋氏は悟る。
自分が警察時代に果たしていた任務は、
人間から人間らしい気持ちを奪い、犯罪者をつくることであった」と。
公安警察はペテン師集団、偽善者集団であった」とまで言い切る

鈴木邦男「公安警察の手口」

【反社・反共カルトに洗脳された公安1万人】

【反社・反共カルトに洗脳された公安1万人】

しかし、ここまで言い切り、告発する公安警察官は、例外中の例外だ。
公安と呼ばれる人間がどれだけいるかは正確には分からない。
警察庁で約1000人、警視庁で約2000人
それに、各県警の警備部の公安課や公安係
それらを合わせると、全国で10000人近い公安がいるのだろう。
そのなかで、内部告発したのは島袋氏1人だ。0.01%だ
あとの圧倒的に多くの公安は、自らの「正義」を疑わず、
使命感に燃えて仕事をしている。
また、辞めた後も、頑に守秘義務を守っている。これは驚くべきことだ。

鈴木邦男「公安警察の手口」

公安エリートを養成する「中野学校」

【凄まじい反共洗脳教育】

●公安エリートを養成する「中野学校」
【凄まじい反共洗脳教育】

共産党を日々監視し、あらゆる違法行為をやってまで情報をとろうとする。
そのことにやましさは感じない
いや、使命感を感じる
そういう人間を作るのだから、公安はすごい「洗脳教育」をしている

これだけ完璧な反共教育をしているところはない
右翼団体だってとても真似できない。
元来、共産党に反撥する人々が警察官になる
共産党員はもちろん、親類や近い友人に共産党の人がいても警察官にはなれない
反共的素地のある人に、警察学校ではさらに反共教育をする

そして思想的に優秀な人間をピックアップして公安に回す
さらに公安のなかでも優秀な人間を
東京中野にあった警察大学校に集め(現在は東京都府中市に移転)、
エリート教育をした。
ここは通称、「中野学校」と呼ばれた。
かつてあった陸軍中野学校に準ずる「スパイ養成講座」を叩き込むからだ。

島袋氏はここに入る。なぜ入れたのか。
1981年、スパイであるA少年の手引きで民青沖縄県委員会の事務所に侵入し、
大量の内部資料を盗み出した功績が認められたから
だ。

民青とは民主青年同盟といい、共産党の青年組織だ。
島袋氏はその「盗みの腕」を買われて、沖縄からはただ一人、
中野学校への入学を許され「警察大学校警備専科教養講習」を受ける

そこでは、どうやってスパイを獲得し、育成し、使っていくか、
その秘密のノウハウが徹底的に教え込まれる。
共産党だって組織防衛をするために警戒している。
その壁を破るためには、狙った人物に「ごく自然」に出会い、
接触を試みる必要があり、そのアプローチの仕方を学ぶのである。

鈴木邦男「公安警察の手口」

【追い込んでスパイに勧誘する手口】

【追い込んでスパイに勧誘する手口】

まず、共産党のなかから、これは落とせそうだと思う人間を見つけ
偶然に、自然な出会いを演出して近づき、
「共産党のシンパだ」
「勉強したい」

といって接触する。

そして二人きりで会う機会をつくり、酒を飲んだりする。
ときには酒代をおごってやったり、相談に乗ったり、金を貸したりもする。
女をあてがってやったりもする

じっくりと深みに引きずり込む。

ここだと思ったときに、「実は私は公安です」と身分を明かす。
「逃げ切れないだけの間柄」になっていたら、スパイの要請を相手は断れない。
自然な出会いを装うなんて、まるで「ナンパ術」のようだ

それに、ナンパよりたちが悪い。

鈴木邦男「公安警察の手口」

【偶然を装った接近の仕方】

【偶然を装った接近の仕方】

狙いをつけた対象者にどうやって近づくか。
まず、その作業日程をつくり、青写真をつくって行動に移す

たとえば自分の車を故障させて対象者から工具を借りたり、
相手の車に乗せてもらって知り合う動機づけをつくる


あるいは物を落としたり、または拾ったり、相手が子持ちの主婦であれば、
知らないふりをして子供を泣かし、その後であやすふりをして接点をつくる

鈴木邦男「公安警察の手口」

【心の優しい人を陥れるための接触術】

【心の優しい人を陥れるための接触術】

「物を落として拾ってもらう」なんて、まるで一昔前のナンバ術だ。
このバリエーションはいくらでもある。
駅の階段で転ぶとか、苦しがって病気のふりをするとか、
体の悪いふりをして助けを求めるとか。
そんなことで引っかかるのかと思うだろうが、
共産党に入るような人は心の優しい人が多い。
弱者のために、恵まれない人のために尽くそう、
平等な社会をつくろうと思って入る。

そういう優しさにつけ込んで公安は接触を持とうとするのだ。卑劣だ

鈴木邦男「公安警察の手口」

【統一協会とそっくりなステルス勧誘】

【統一協会とそっくりなステルス勧誘】

スパイにしようと目をつけた対象者がジョギングをしていたら
自分も毎朝ジョギングをして、自然に声をかける。
「赤旗」を配っている少年には「偉いね」と声をかける。
犬を通れていたら、自分も犬を連れて散歩する。自然に知り合う。
愛犬家は「犬好きの人に悪い人はいない」と思っているから、
自然に友だちになり、意気投合する。
不思議なもので、皆、趣味にはブライド、こだわりがある。

碁、将棋、ベット、ツーリング、登山、スキー、なんでもいいが、
その趣味にはまると、同じ趣味の人に悪い人はいないと思い込む。
そんな人間心理も公安は利用する。

鈴木邦男「公安警察の手口」

【公安の相手の気持ちに漬け込む卑怯な手口】

【公安の相手の気持ちに漬け込む卑怯な手口】

対象者に知り合ったら、さり気なく
「自分は自民党に不満を持っている」
「共産党には頑張ってもらいたい」
「学生時代には民青系のデモにも出たんですよ」

なんて言う。

対象者には「共産党のシンバ」だと思わせる。
ともかく、自然に接触することがポイントだ。
ここまでは何とかやれる。いや、やれそうな気がする。

共産党の人は、優しいし、社会のため、
恵まれない人のために何かしたいと思っている人が多い。
それと同時に、「認められたい」という願望を持っている。


世の中の不平等をなくすため、世界の平和のために
こんなに頑張っているのに、共産党は伸びない。
選挙でもどんどん議席数を減らす。
警察もマスコミも共産党を敵視し批判している。
そうした被害者意識が強い。そんなとき、
共産党を理解してくれる人がいると嬉しい。

やっぱり人民大衆は共産党の味方なんだ、と思う。
共産党シンバはいろんなところにいるんだと確認し、自信を持つのだ。
そんな心理に公安は乗じる

鈴木邦男「公安警察の手口」

【少しでも理解されたと思うと全面的に信じてしまう素直な共産党員】

【少しでも理解されたと思うと全面的に信じてしまう素直な共産党員】

ぼくは専門学校と予備校で教えているが、
あるとき、両親が共産党員だという生徒がいた。
本人は共産党は嫌いだという。

「でも昔のプロレタリア文学にはいいものがあるよ」と、
小林多喜二や徳永直の小説を貸してやった。
思想によって偏見を持たずに、いいものはいい。

そういうことを教えようと思って、何気なく貸しただけだ。

その生徒は両親に報告した。そうしたら両親が言う。
「その人はきっと共産党の人よ。だから、しっかり習いなさい!」と。

これには驚いた
共産党の人は孤立しているから、
少しでも理解されたと思うと全面的に信じてしまうのだ。


ぼくが長い間、右翼運動をしていたなんて知ったらビックリするだろう。
でも、この程度のことで、「仲間だ」と思われるなんて。

それに、その生徒は子供の頃から「警察と右翼」
は敵だから絶対に喋ってはいけない、
と言われて育ったと言っていた。それなのに・・・・・・

鈴木邦男「公安警察の手口」

伊丹万作「騙されることの責任」

もちろん、「騙す方が100%悪い」のは紛れもない事実である。
その上で更に「騙されることの責任」を考えよう。

伊丹万作「騙されることの責任」

もう一つ別の見方から考えると、いくら騙す者がいても誰1人騙される者がなかったとしたら今度のような戦争は成り立たなかったに違いないのである。
つまり、騙す者だけでは戦争は起らない。騙す者と騙される者とがそろわなければ戦争は起らない一度騙されたら、二度と騙されまいとする真剣な自己反省と努力がなければ人間が進歩するわけはない騙されたとさえいえば、一切の責任から解放され、無条件で正義派になれるように勘違いしている人は、もう一度よく顔を洗い直さなければならぬ。
伊丹万作「戦争責任者の問題」より


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