恐るべき公安⑧-02監視テクノロジー「弱みを握る監視システム」
悪名高い公安の
組織や手口に迫っていきます。
青木理「日本の公安警察」
青木理(あおき おさむ)
1966年長野県生まれ。ジャーナリスト、ノンフィクション作家。
90年に慶応義塾大学卒業後、共同通信社入社。
社会部、外信部、ソウル特派員などを経て、
2006年よりフリーとして活動
道路に光る監視の目
「犯罪捜査」か「人権侵害」か
Nシステムはオウム捜査でも活躍したが、実際には、捜査より政治的な情報収集に使われる恐れのほうが強い。あるいは国民の監視に利用される方が強い。
情報をオープンにし、使用に明確な歯止めが掛かるような方策を先行させなければ、監視し放題になってしまう。
警官の女性問題調査にも
県警はNシステムで撮影、記録したデータをもとに元警部の車の往復日時など行動を詳細に把握して割り出し、就業中に女性と密会しているのを突き止め、事情聴取され、依願退職させられた。
弱みを握って失脚させるなどの手段にも使えてしまうのが問題である。
伊丹万作「騙されることの責任」
もちろん、「騙す方が100%悪い」のは紛れもない事実である。
その上で更に「騙されることの責任」を考えよう。
もう一つ別の見方から考えると、いくら騙す者がいても誰1人騙される者がなかったとしたら今度のような戦争は成り立たなかったに違いないのである。
つまり、騙す者だけでは戦争は起らない。騙す者と騙される者とがそろわなければ戦争は起らない。一度騙されたら、二度と騙されまいとする真剣な自己反省と努力がなければ人間が進歩するわけはない。騙されたとさえいえば、一切の責任から解放され、無条件で正義派になれるように勘違いしている人は、もう一度よく顔を洗い直さなければならぬ。
伊丹万作「戦争責任者の問題」より