恐るべき公安⑦-03公安調査庁と内調「公安調査庁の歴史と監視対象の市民」
悪名高い公安の
組織や手口に迫っていきます。
青木理「日本の公安警察」
青木理(あおき おさむ)
1966年長野県生まれ。ジャーナリスト、ノンフィクション作家。
90年に慶応義塾大学卒業後、共同通信社入社。
社会部、外信部、ソウル特派員などを経て、
2006年よりフリーとして活動
公安調査庁の活動と実態
内務省調査部が源
内務省調査局当時は職員のほとんどを生え抜きの内務官僚が占め
「特高警察の復活」とまで名指しされたほどだったが、
その時の目標は軍国主義者の排除だった。
だが、逆コース化を経て、戦前と同じ「特高警察の復活」になっていった。
このような形で、戦後の日本社会に、大日本帝国の生き残り官僚が
大勢残り、大日本帝国の大失敗の反省をせず、歴史修正が蔓延り、
再び大日本帝国の復活を目指すようになっていったのは、想像に難くない。
組織改革の波
破防法に基づく共産党対策的な旧来型の調査・規制請求機関から、
調査対象を大幅に拡大することによる「公安情報の総合官庁」への脱皮を図ろうとする。
「これまで当庁の調査対象は狭すぎた」と断じ、こう明記する。
「従来の調査対象団体にとどまらない幅広い団体等の動向の把握、
そしてこれらをもとにした可能な限り早い段階での公安への脅威の分析、予測等に取り組んでいく」と、不要となった官庁の生き残りの保身のために、
市民を犠牲にして、市民を監視するように路線変更した。
市民オンブズマンも調査対象
公安調査庁は己の保身に走るあまり、反民主主義の反社団体と化していく。
「体制の擁護」の性癖から、”権力中枢"へと矛先を向けていくものの妨害排除が目的と化し、市民オンブズマンを敵対勢力と決めつけ、調査の必要性を説くようになっていく。そして、市民から問われた際は、
「日共や過激派等の調査に関連づけて説明できるよう訓練させている」で
誤魔化し方やはぐらかし方を訓練していき、神社本庁やネトウヨなどのおかしな詭弁で反共カルト信者を大量に育成していったことが伺える。
オウム事件という『チャンス』
オウム真理教への初の破防法適用に喜び勇んで、調査したが、
単なる新聞記事の引き写しや謝礼金、脅迫まがいの調査によって得た出所不明の供述が証拠として提出されるなど、杜撰を極め、
さらに、教団幹部のほとんどが逮捕されたことなどから「将来、暴力主義的破壞活動を行う明らかな恐れがない」という理由で、棄却された。
一方、赤報隊事件の疑いがある統一協会はなぜ危険にならず、破防法適用がなされないのか?
伊丹万作「騙されることの責任」
もちろん、「騙す方が100%悪い」のは紛れもない事実である。
その上で更に「騙されることの責任」を考えよう。
もう一つ別の見方から考えると、いくら騙す者がいても誰1人騙される者がなかったとしたら今度のような戦争は成り立たなかったに違いないのである。
つまり、騙す者だけでは戦争は起らない。騙す者と騙される者とがそろわなければ戦争は起らない。一度騙されたら、二度と騙されまいとする真剣な自己反省と努力がなければ人間が進歩するわけはない。騙されたとさえいえば、一切の責任から解放され、無条件で正義派になれるように勘違いしている人は、もう一度よく顔を洗い直さなければならぬ。
伊丹万作「戦争責任者の問題」より