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公安の手口🚓③-02右翼と公安「右翼発見の褒賞金」

公安の手口③-02右翼と公安「右翼発見の褒賞金」

新右翼の「一水会」の元会長が、公安警察に追われて使われた
エゲツナイ卑劣な手口の数々を「公安警察の手口」の本を元に
見ていきます。

鈴木邦男「公安警察の手口」

鈴木邦男「公安警察の手口」

鈴木邦男(すずき・くにお)
1943年福島県生まれ。67年、早稲田大学政治経済学部卒業。
70〜73年、産経新聞社に勤務。
学生時代から右翼・民族派運動に飛び込み、72年に「一水会」を創り、「新右翼」の代表的存在になる。99年12月に「一水会」会長を辞め、顧問になる。現在、月刊「創」など にコラムを連載中。
主な著書に、『新右翼』(彩流社)、『夕刻のコペルニクス』(扶桑社文庫)、『言論の覚悟』(創出版)、『ヤマトタケル』(現代書館)などがある



陳腐化した捜査手法

【左翼は「生かさぬよう、殺さぬよう」支配する公安】

●陳腐化した捜査手法

【左翼は「生かさぬよう、殺さぬよう」支配する公安】

「ぼくは、「左翼は絶滅した。右翼は乗り越えられた」と思っている。
かつて、60年安保の頃は国会を20万のデモ隊が取り囲み、「革命前夜」を思わせたことがあった。
70年以降も、武装闘争、爆弾闘争があり、それに合わせて警察の人員も予算も増えた。
だが今、左翼にそんな勢いはなく、かつての10000分の1の力もない。
ほとんど死滅したも同じそれなのに、かつての「巨大な敵」に合わせて増大した
「巨大な警察」はそのまま
だ。
左翼と公安の関係については、次章で詳しく述べるが、
公安は自らの保身のために、「生かさぬよう、殺さぬよう」
に左翼を弄んでいるにすぎない

鈴木邦男「公安警察の手口」

【過激な発言が取り締まり対象にならなくなり増殖】

【過激な発言が取り締まり対象にならなくなり増殖】

もう一方の右翼は、思想において「つくる会」や「救う会」に乗り越えられた
右翼の機関紙より『諸君!』『正論』の方が過激だ
また、いまさら右翼団体に入っても展望はない。社会を変える力もない
それどころか、尾行や張り込みをされたり、いつガサ入れされるか分からない。
そんな組織に所属するよりは「つくる会」や「救う会」の方がいい

そこでならどんな過激なことを言ったって「右翼だ」なんて後ろ指を指されない。
警察から尾行、張り込み、ガサ入れされることもない。
公安だってノーマークだ

鈴木邦男「公安警察の手口」

【堂々としていない保身に走る潜在右翼】

【堂々としていない保身に走る潜在右翼】

実は、征伐隊事件の逮捕者のなかに、「救う会熊本」の理事がいた。
「救う会」は慌てて彼を除名にした。
「救う会」は言論を通して活動し、
日本政府が拉致被害者を救い出すように訴えている。
こうした征伐隊の暴力行為は「救う会」のやり方と相反するものだ。
それが除名の理由だった


しかし、
「日本政府は弱腰だ」
「断固として北朝鮮に臨め」
「北朝鮮寄りの社民党、日教組は許せない」

という激しい怒りにおいては、両者は同じなのだ

だから、
「もう少し懲らしめてやろう」
と征伐隊の村上会長にささやかれて犯行に加わったのだ。

他の人だって村上会長に誘われたら参加した人がいただろう。

征伐隊事件で事情聴取され、翌日に自殺した人がいた。
彼らは窓ガラスを割ったり、銃弾を送りつけたりして、
人を殺傷しないで抗議、脅迫した。しかし、仲間に死者を出してしまった。

「口封じのために殺されたのではないか」と言っていた人もいたが、
その可能性はない。
そこまで考えるような強固な組織ならば、捕まるようなドジを踏むはずがない。
こうしたことから分かる通り、征伐隊はやはり普通の人間だった。


だから、一日中警察に取り調べられたら、それだけで動揺し、パニックに陥るのだ。「これから自分はどうなるのだ。一生刑務所にいるのか。
取り調べのなかで仲間のことまで喋らされた。まずかった。もう取り返しがつかない」と考え、自分を見失った
のだろう。

鈴木邦男「公安警察の手口」

右翼の数

●右翼の数

日本の右翼の数は12万人といわれているが、
実際にはその10分の1の1万2000人というところだろう。
しかし、不思議なことに30年ほど前から、「右翼は600団体12万人」と言われ続けてきた。

団体数は「500団体」「800団体」に変わることはあるが、
右翼の総数は「12万人」のままだ。「12万人」という数字の根拠はどこにあるのか。
一説によると、愛国党の赤尾敏が選挙に出て最高にとった得票が12万票だったことから、「右翼は12万人」と警察が判断したからだという。多分そんなところだろう。
投票した人が全て右翼ではないのに、警察としては誇大に発表した方が都合がよかったのだろう

ともかく、右翼団体は実体で1万2000人程度の人員が所属している。
そのうち行動的なのは1200人危険なのは120人くらいだ。それだけを公安は監視している。
相手が120人なら公安の数の方が多い

鈴木邦男「公安警察の手口」

【潜在右翼の数】

【潜在右翼の数】

しかし、現在、事件を起こすのは潜在右翼だ。
潜在右翼は全国で数万、数十万人いるか分からない。
「救う会」や「つくる会」のなかにもいるだろう。


「産経新聞」や『正論』「諸君!」を読んでいる人も潜在右翼かもしれない。
だからといって本屋で張り込みをするわけにもいかない。
いまの「右傾化の時代」においては、国民全体が潜在右翼になりつつある。
こうした状況下で、公安の存在意義はどこに求められるべきか。

極論を述べれば、「もうお手上げだ」と認めて、公安を廃止したらいいと思う。
テロが心配ならば、狙われる政治家や財界人や文化人や大物左翼の人々には
SPが張り付いてガードすれば、右翼によるおおかたのテロは防げるだろう。
左右両翼の集会やデモも好き勝手にやらせたらいい。

公安がわざわざ出かけて参加者の顔写真を撮る必要はない。

一部の新左翼のように、「我々は警察に弾圧されている」ということに
マゾヒスティックな快感を見出して生きている連中もいるが、
こうした新左翼は、公安が尾行・張り込みをするのは、
「我々が正しいことをやってるからだ。国家権力は我々が邪魔なのだ」
と思い込んでいる。彼らはその思い込みだけで生きているのだ。
したがって、もしも公安がなくなり、尾行も張り込みもなくなったら、
張り合いが抜けて運動もポシャってしまうだろう。
日本は平和になるし、公安の願う「公共の安全」も実現する。
これで万々歳だ。

鈴木邦男「公安警察の手口」

右翼発見の褒賞金は500円

【潜在右翼を探していたお巡りさん】

●右翼発見の褒賞金は500円

【潜在右翼を探していたお巡りさん】
日本の公安は右翼活動家の周りに目を向けていれば潜在右翼も見つけられると思っている。
愚かだとしか言いようがない。

公安だけでなく、実はいま、全国の警察官全員がこの潜在右翼狩りに動員されているという。
すなわち、交番のお巡りさんも、交通課のお巡りさんも、
いつもいつも、「潜在右翼はいないか」と鵜の目鷹の目で探している
のだ。
元警察官の松本均氏や山下寛氏は警察の暴露本を出版している
(松本均『交番のウラは闇』、山下寛『オマワリさんの華麗なセカイ』)。

彼らは交番勤務が長く、二人とも公安ではないが、
常に「潜在右翼はいないか」と探し回っていたという。
というのも、潜在右翼を発見するよう上司から厳命されていたからだ。
ちょっとでもそれらしい人を見つけたら、「潜在右翼を見つけました!」
とすぐ上司に報告しなくてはならない。

鈴木邦男「公安警察の手口」

【潜在右翼の特徴】

【潜在右翼の特徴】
では、「それらしい人」とはどんな人か。
たとえばこんなところに注意して探せと言われたそうだ。

・胸に日の丸のバッジをつけている人間。
・車に日の丸や「北方領土返還」などのステッカーを貼っている者。
・朝早く起きてランニングをし、「国賊め、許さん!」とブツブツつぶやいている人間。
・庭で木刀の素振りをしている人間。
・飲み屋で「北朝鮮は許せん。つぶしちゃえばいいんだ!」と大声で喋っている人間。
・神社やお寺で何やら真剣に祈っている人間

(右翼がテロをやるときはその前に必ず神社やお寺にお参りして成功祈願をする。
だから、そんな人がいないか神社を注意して探すそうだ)。

鈴木邦男「公安警察の手口」

【潜在右翼発見の報酬】

【潜在右翼発見の報酬】
ノーマークだった潜在右翼を発見した場合、褒賞金がもらえる。
たった500円
。安すぎると思うだろうが、
お役所仕事だから以前に決まった額が固定されたままなのだ。
もちろん、左翼過激派の秘密アジトを発見した場合は褒賞金の額は上がり、
5万円ぐらいになる。階級だってすぐに上がる


知人の話では、愛媛県では野良犬を捕まえると1000円もらえるそうだ。
数年前に徳之島に行ったが、あの島ではハブ退治を町ぐるみで行なっている。
ハブを一匹捕まえると町役場では2000円で買ってくれる
右翼は野良犬やハブよりも安い。
右翼なんてそれくらいの値打ちしかないんだ(と警察は思っている)。

鈴木邦男「公安警察の手口」

【民間業者や民間人をスパイや潜在右翼に】

【民間業者や民間人をスパイや潜在右翼に】

とはいえ、これからはおそらく「潜在右翼の発見」が
公安の重要な仕事になることは間違いないと思われる。


場合によっては民間業者に潜在右翼の発見を委託することも考えられる。
すなわち、新聞の勧誘員やピンクチラシを郵便受けに入れている人に
業務をアウトソーシングし、歩合でやってもらうのである。
この方が効率がいい。

それにお巡りさんが右翼の新聞をとっている人はいないかと、
民家の郵便受けを開けていたら、住民に怪しまれる

「最近、郵便受けに放火する奴がいて、見回っているんですよ」と嘘をついても、
二回、三回はできない。
その点、新聞配達員やチラシを入れている人なら問題はない。

鈴木邦男「公安警察の手口」

伊丹万作「騙されることの責任」

もちろん、「騙す方が100%悪い」のは紛れもない事実である。
その上で更に「騙されることの責任」を考えよう。

伊丹万作「騙されることの責任」

もう一つ別の見方から考えると、いくら騙す者がいても誰1人騙される者がなかったとしたら今度のような戦争は成り立たなかったに違いないのである。
つまり、騙す者だけでは戦争は起らない。騙す者と騙される者とがそろわなければ戦争は起らない一度騙されたら、二度と騙されまいとする真剣な自己反省と努力がなければ人間が進歩するわけはない騙されたとさえいえば、一切の責任から解放され、無条件で正義派になれるように勘違いしている人は、もう一度よく顔を洗い直さなければならぬ。
伊丹万作「戦争責任者の問題」より


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