恐るべき公安④-03謀略工作部隊サクラ「共産党幹部宅盗聴事件」
悪名高い公安の
組織や手口に迫っていきます。
青木理「日本の公安警察」
青木理(あおき おさむ)
1966年長野県生まれ。ジャーナリスト、ノンフィクション作家。
90年に慶応義塾大学卒業後、共同通信社入社。
社会部、外信部、ソウル特派員などを経て、
2006年よりフリーとして活動
共産党幹部宅盗聴事件
暴露された盗聴
プロの手口
公安の工作活動には、「民間の大手電機メーカー」なども官民協力していた。
大手電機メーカー社員に賃貸契約に協力させたり、公安職員を大手電機メーカーが社員として受け入れたり、官民一体となって、共産党員に工作活動を仕掛けている実態が明らかになった。
そして、盗聴が発覚して、警察に通報しても「警察は静観する」と言ったきり捜査に乗り出すことを拒否するなど、公務員としてあるまじき、態度を示したりしている。なので、このようにきわめて不透明な形で行われた見分は証拠隠滅すらうかがわせるものだった。
遺留品が語ること
「サクラ」にまで及んだ処分
検察が警察と取引して、「不透明な形で手打ち」にした時の、検察側の言い訳である。警察と検察の間では微妙な綱引きが行われており、検察は、警察に勝てるか。どうも必ず勝てるとはいえなさそうだ。だから、取引して手打ちにしてしまおうと。そして、どうしても盗聴の手段をとる必要があるのなら、それを可能にする盗聴法を作ったらよかろう、と検察は警察と戦わず、国民を裏切るアドバイスし、その後盗聴法が成立し、捜査のために自由に盗聴できる仕組みが出来上がってしまった。
組織的盗聴と断罪
技師の証言
盗聴器を作っていたのは、補聴器メーカー大手「リオン株式会社」だった。
そしてその社員だった丸竹洋三の告白が衝撃的だった。
「(作った盗聴器は)中野の警察庁へ持っていくと聞かされた」
丸竹が製作した盗聴器が共産党の地方支部で見つかったこともあった。
「自分の作ったものだ」―――丸竹は確信したという。
「サクラ」の指示は「直結」
伊丹万作「騙されることの責任」
もちろん、「騙す方が100%悪い」のは紛れもない事実である。
その上で更に「騙されることの責任」を考えよう。
もう一つ別の見方から考えると、いくら騙す者がいても誰1人騙される者がなかったとしたら今度のような戦争は成り立たなかったに違いないのである。
つまり、騙す者だけでは戦争は起らない。騙す者と騙される者とがそろわなければ戦争は起らない。一度騙されたら、二度と騙されまいとする真剣な自己反省と努力がなければ人間が進歩するわけはない。騙されたとさえいえば、一切の責任から解放され、無条件で正義派になれるように勘違いしている人は、もう一度よく顔を洗い直さなければならぬ。
伊丹万作「戦争責任者の問題」より