恐るべき公安④-02謀略工作部隊サクラ「謀略工作員の育成と中野学校」
悪名高い公安の
組織や手口に迫っていきます。
青木理「日本の公安警察」
青木理(あおき おさむ)
1966年長野県生まれ。ジャーナリスト、ノンフィクション作家。
90年に慶応義塾大学卒業後、共同通信社入社。
社会部、外信部、ソウル特派員などを経て、
2006年よりフリーとして活動
「サクラ」部隊
精鋭が集まる
偽名で講習を受ける
スパイ養成学校「中野学校」では、参加者は全員が偽名のまま講習を受け、早朝から深夜まで「反共の洗脳教育」を施され、尾行・張り込みの方法、協力者獲得の極意、あるいは鍵の開け方や盗聴・盗撮など非合法工作の手法までを叩き込まれた。
写真撮影や録音・盗聴技術の講師たちは、どう見ても普通の警察官ではなかった。
スパイの工作技術を学ぶところ。
個人責任の原則
「5人編成」で公安はスパイ工作活動を行っている。
だいたい5人編成ですよ大体。警部さんが1人いると、その下に警部補さんが2人いて、その下に巡査部長さんが2人ずついる。
すばらしい工作ぶりに感心するとともに、肌寒さを覚えた。1人の警部によって統率されて、共産党の中枢部を把握できる強力な体制ができている。
統一協会と同じ「個人責任の原則」。
統一協会が高額献金詐欺で、長年挑発を免れてきた理由の一つに、「組織ではなく、信者が自主的に行った」と言う言い訳が罷り通っていたことにある。
統一協会が組織的に行っていたのにも関わらず、「信者個人の責任」に矮小化してきたのである。そてと同じく、公安でも秘密工作の作業員は『個人責任の原則』を教え込まれていた。
「ハニトラや美人局のようなことも平気でする」
最近も共産党支部に潜入して資料を盗み出した事例を告白している公安警察官が存在する。また公安警察OBからは、身分を隠したまま接触を続けていた党員を言葉巧みに誘い出して、知人の女性と不倫関係を持たせ、現場を写真にとって突きつけた上で、半ば脅迫のような形で協力者に仕立て上げたこともあったと打ち明けられたこともある。
伊丹万作「騙されることの責任」
もちろん、「騙す方が100%悪い」のは紛れもない事実である。
その上で更に「騙されることの責任」を考えよう。
もう一つ別の見方から考えると、いくら騙す者がいても誰1人騙される者がなかったとしたら今度のような戦争は成り立たなかったに違いないのである。
つまり、騙す者だけでは戦争は起らない。騙す者と騙される者とがそろわなければ戦争は起らない。一度騙されたら、二度と騙されまいとする真剣な自己反省と努力がなければ人間が進歩するわけはない。騙されたとさえいえば、一切の責任から解放され、無条件で正義派になれるように勘違いしている人は、もう一度よく顔を洗い直さなければならぬ。
伊丹万作「戦争責任者の問題」より