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初めての同人誌作り 覚え書き
本記事は、私が趣味でBL小説同人誌を作った時のまとめになります。
活動ジャンル名・CP名は伏せてますが、苦手な方はブラウザバックをお願いします。
また参加するイベント・使用する機器などによってデータの作り方やルール等が異なりますので、あらかじめご了承ください。
同人誌はノリと勢いで作るべきだけど、ノリと勢いだけじゃ作れない
昨年出した振り返り記事にも書いたように、細々と創作活動を始めた。と言っても妄想をTwitterに垂れ流しているだけだけどね。転換期がやって来たのは、退職を考え始めた夏頃。なんと翌年(2025年)2月にビックサイトで推しカプのオンリーイベント開催が告知され、サークル募集が始まった。
この投稿を見たのが8月下旬、印刷所の締切をイベント一ヶ月前である1月と仮定すると5ヶ月の猶予がある。退職後しばらくは何もしない予定だし、今から準備すれば作れちゃうのでは?と考えた私は、ノリと勢いだけでサークル参加を申し込んだ。
先人たちの言葉でも「同人誌に必要なのは勢い」というものがあるだろう。私もこの言葉と精神に則って作業を進めたが、実際作ってみるとノリと勢いだけではどうにもならない事が多々あった。なので今後の自分を戒めるために、そしてこれから同人誌を作ろうかなと考えている方のために作り方の手順とかをまとめて置こうと思う。へ~こんなやつもおるんやくらいの気持ちで見てね。
※急ぎの方へ
「長ったらしい記事なんか読んでらんねえぜ!」という方向けに使った機器・アプリ・印刷所を抜き出してまとめおきます。余裕が出たり、興味を持ってくれた際には他の部分も読んでくれると、とっても嬉しい~!!
使った機器
・iPadAir M2 13インチ
・Omikamo 折りたたみワイヤレスキーボード
アプリ
・nola
・縦式
・Goodnotes
・SideBooks
サイト
・シメケンプリントさんの「扉ページメーカー」、「奥付メーカー」、「PDFファイル結合」
・同人誌表紙メーカー様
印刷所
おたクラブ様(大阪印刷株式会社)
執筆環境
まず同人誌を書くための道具を用意しなければ何も始まらない。
私の場合はiPadAir M2を使って原稿データの作成及び入稿をした。最近はPCがなくてもタブレットやスマホからでも入稿出来る印刷所が多くて本当に助かっている。
iPadで原稿データを作るメリットは、画面が大きいこと。本文を書くときにBluetoothキーボードと繋げればもう実質パソコン。長文もラックラクで書ける優れものだ。
仕様決定
道具の用意が出来たらさっそく原稿スタート!せっかく小説本を出すなら本っぽさを出したい。しかし長編は力量不足で絶対に書けない。色々考えた結果、1000~3000字くらいに収まるSSを何本か集めた短編集を出すことに決めた。
私の推しカプは原作だと受けくんが死んでしまうため、彼の生存パロディ設定をこれでもかってぐらい詰め込んだ。彼の散り際は花のように気高く、美しいものだが同人誌くらい夢を見たっていいだろう。
サイズは少ない文字数でもそれっぽくなる文庫サイズを選択。手軽に持ち運べるサイズ感なので、「イベントで全く売れず、在庫の山を抱えた」みたいな状況になっても、邪魔にならずに保管しておける。
プロットを練ろう
プロットとはお話の要点を書いた骨組みみたいなものだ。これは別に必須という訳ではないが、途中で迷走するのを防ぐのも兼ねて用意した。
短編集を作るにあたり、なるべくネタが被らないに各作品の雰囲気やテーマをざっくりとメモにまとめた。なお、筆記用具やノート類は100均と無印で揃えた。常に金欠の庶民の味方…。
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ここで役立つのが付箋。
付箋の貼って剥がせる特徴を活かし、掲載する順番やそれぞれの細かいあらすじや使いたいセリフを自分の気が済むまで練る。ここでしっかり拘らないと、本文で軸がブレてしまうため、気を抜いてはいけない。
きっと他を探せば似たような機能とかアプリはあるんだろうが、直感的な方があとで見てわかりやすいのでこうしている。その一例がこれ。
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方向性がしっかりと決まったら、いつでも見返せるようにスマホにも記録しておく。結局現代において一番見やすい媒体ってスマホだからね。
本文執筆
プロットが出来たなら、後はひたすら完成に向かって書くのみ。でも書いてるうちに「なんでこんな事してるんだろう…」とか「いや、こんな事言わんやろ」とか正気に戻りがちだけど、一旦頑張る。言葉遣いとか文法なんかは後で直せばいいから、とりあえずキーボードを叩こう。同人誌を作っている最中は正気に戻ったら終わりだよ。執筆にはnolaというアプリを使った。
このツールのすごい所は、スマホ・タブレット・ブラウザでデータの同期ができる事。
これだけでもありがたいが、プロット機能・登場人物や資料の作成と保存・文字数カウント機能が無料で利用でき、有料のプレミアムプランに加入するとプロットや資料を見ながら執筆ができます。この機能がめちゃくちゃ便利で実際の画面をだすとこんな感じ。
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この機能のおかげで、家にいる時はiPad +キーボードでプロットを見ながらひたすら打ち込み作業、外出時にはスマホで細かい部分の加筆修正するみたいな事が出来る。
最初はデフォルトのメモアプリとか使ってたけど、こっちの方が断然やりやすい。スマホやタブレットを使っている字書きさんにはぜひオススメしたい。
校正作業をしよう
本文が書けたら校正作業に取り掛かろう。出来た小説を画像化して、Goodnotesに貼り付ける。こうするとタッチペンで直接的に書き込む事が出来るので校正作業がすっごい楽になる。例を挙げるとこんな感じ。
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走り書きを見ながらスマホでポチポチ手直しするのを繰り返し、全て出来たらSideBooksで見開きだとどうなるか確認して校正作業は終了。ここの作業はパソコンでは出来ないが、iPadでは出来る強みである。
アンソロ・オンイベ・自分の原稿、三足のわらじ
一人黙々と原稿を書いていた9月上旬、相互さん主催のアンソロへの寄稿募集ポストを見つけた。発行は同じく2月のイベントで、募集テーマもいつか書いてみたいと思っていたシュチュエーションだった。私はこれ幸い!と即DMで申し込み、快諾してもらえた。
構想自体は出来ていたので、それをアンソロ用に煮詰め、自分の原稿と同時進行で進めた。アンソロの締切は年内、自分のは1月下旬で余裕余裕~!と順調に二作の執筆を進めていた10月某日。なんと推しカプが出会った記念日である11月27日に合わせてwebオンリーの開催告知とサークル募集が始まった。
当初は一般参加の予定だったが、今年の開催をもって終了とのアナウンスがあったからさあ大変。続々と流れる参加表明ポストを見ながら私は頭を悩ませた。最後のイベントだし、せっかくなら出たい。だけどこれ以上原稿を抱えてはクオリティが落ちるのでは?とあれこれ考えた末、募集期限ギリギリに参加を申し込んだ。申し込み当初は、これで良かったのかなと後悔する気持ちがあったが、結果的には参加して良かったなと思っている。リアルのイベントに出る前の練習(?)が出来たし、ありがたいことに感想ももらえた。嬉しいことだ。
無限原稿編 突入
WEBオンリーは大成功を収めて幕を閉じ、その後はみっちりアンソロ用原稿を執筆をし、無事期限内に完成。データの受け渡しも滞りなく済み、クリスマスあたりから自分の原稿を再開した。が、3割ほどしか出来ていない。当時の私はまあ、なんとかなるでしょ!と軽く構えていたが、本当に大変なのはここからだった。
転職先はサービス業のため、平日・休日問わずに大忙し。仕事の日はヘロヘロになって帰宅し、休みの日は朝から晩まで原稿作業。特に締め切りが迫っていた1月は丸一日ツイッターに浮上しない日もザラにあった。
追い込まれた私は、締め切り直前に一人原稿合宿を決行。「ここで全部終わらせる」と強い意志をもって合宿に臨んだ。お金はかかったけど、やはり一人だと集中できるので良かったと思う。三割ほどしか出来ていなかった原稿も合宿効果でほぼ完成。途中モンストコラボにうつつを抜かしたりしつつ、無事に締め切りに間に合わせることが出来た。これを読んでいる同人戦士は計画的に原稿しような!じゃないと私みたいになるよ。
印刷データを作ろう
本文が出来たら目次・扉・奥付け等のページを用意して印刷用のデータを作ろう。
ここで私がお世話になったのは縦式というアプリ、印刷会社の株式会社栄光さんが運営する通販サイトで買える「小説作り方マニュアル」、シメケンプリントの「縦書小説PDFメーカー」だ。順番に説明していこう。
縦式
PDFデータの書き出しができる縦書きテキストアプリで、PCを持っていない字書きの強い味方。nolaで書いた横書き小説をここにコピペすれば入稿データ用に変換できる。
文字数もカウントしてくれるので、ここで本文執筆&書き出しを済ませてしまってもいいかもしれない。さらには、ルビ・濁点・傍点が綺麗につけられるのだ。私の活動ジャンルではルビが特殊な用語が数多く登場するため、これは本当に助かる。
小説作り方マニュアル
読んで字の如く、小説本を作るときに大切なことが全部書いてあるマニュアルだ。
頻出用語の解説はもちろん、各種ソフト・アプリでの書き出し方など初心者向けにわかりやすく解説してくれる神の本。これがなければ今回の本は出来なかったと言っても過言ではない。実際、私の本の書式設定はこの本の縦式ページに例として挙げられていた設定をまるまるパクった。同じ通販サイトで販売中の「書体見本帳」とのセット購入も出来るので、これから同人誌を出したい方にはぜひお勧めしたい。
縦式小説PDFメーカー
こちらは書いた小説をここに流し込むと、PDF化されたデータがダウンロードできるありがたいサービスだ。この他に扉・目次の作成機能・奥付け作成ページ・PDF結合機能がある。しかも全部無料。
こんなことがあっていいんか?と不安になるくらい至れりつくせりだ。私は本文と表紙以外のページは全部ここで作った。ありがとうシメケンプリントさん。あなた無くして同人誌は作れません。
作り方はとっても簡単!縦式で作ってきた本文のPDFデータと奥付け・扉・目次ページをPDF接合機能ページで合体させるだけ。このまま印刷所に出せるデータができるよ!やったね!
表紙問題
本文も出来た、奥付け等の事務ページも出来た。では最後の難関、表紙に取り掛かろう。自慢じゃないが、私は絵が描けない上にデザインセンスもない。誰かに表紙デザインを依頼してる時間も費用もなかった私を救ってくれたのが同人誌表紙メーカーさんである。
こちらはデザインとサイズを選択した後、タイトル名を入れるだけで表紙が作れる無料ツールだ。完成した表紙はそのまま入稿してOK。
別途ペイントアプリを用意する必要はなく、WEBページだけで完結するから助かるよね。実際に作ったデータがこちら
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どうよこの出来栄え!めちゃくちゃ可愛くない?
まぁ、時間がなかったからタイトル・ジャンル名・CP名をベタ打ちしただけなんだけど、それっぽい仕上がりになっている。ありがてぇ~!!今回はシンプルな仕上がりになったけど、次回は表紙を依頼したりしてみたいな。
いざ入稿!
これで同人誌に必要なものが全部揃った!早速印刷所に入稿しよう。今回利用したのはおたクラブさんだ。利用の決め手は印刷代が安くて少部数でもOKなところ、凝った装丁が可能なところだ。
入稿の手順はここじゃなくておたクラブさんの公式サイトを見た方がわかりやすい&確実なので割愛します。入稿時・データチェック完了時・発送時にメールが届くのでそれぞれをしっかり確認しよう!データチェックに引っかかった場合、納期が伸びる可能性があるからそれも考慮してスケジュールを組もう!
まとめ
ざっくりとだが、こんな感じだろうか。
後で確認してみたら本文のページ数は104ページ、具体的な文字数に表すと三万字弱だった。バタバタ準備したが、不備なく綺麗に出来て大満足だった。大変なことも多いけど無料ツールを駆使すれば低予算で本が作れるのでこれからも積極的に本を出していきたいね。次は7月にオンリーがあるからそこを目指して頑張るよ!いつか箔押しとかカバー付き本とか出してみたいな…。イベント当日の話は別記事にまとめる予定なのでそっちもよろしくお願いします~。