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Strange Stranger Burroughs 【short story】

バロウズがコインランドリーに行くと全部の洗濯機が塞がっていた。微妙にズレた回転とラジオから流れる声が奇妙に一致して、なんとなく足でリズムを取っていると、洗濯カゴを持った女が入ってきた。バロウズは目の端で女を捕らえたが足でリズムをとり続けた。「それってどういう意味?」と女が言う。バロウズは驚いて女を見る。足でリズムをとるのをやめる。女はこちらを向いていない。他には誰もいない。自分に言ったんじゃないのか?「なんでやめるのよ!」と女が叫ぶ。ちょっと怖い。「その足でとってるリズムはどういう意味があるのか訊いてるのよ!」とまた叫ぶ。「いや、別に」「全然聞こえないよ!」また怒鳴られた。「特に意味はないです」女は少し黙る。女はまた話し出す。「この世界に言語は6900くらいあるって言われてるけど私はそうは思わない。言語の種類は人口の数だけあるのよ。誰も誰かが何を言っているのかわかってないのよ」女の方を見る。女の眼がコインランドリーと同じ速度で回転している。「私はまだ眠ってるけどあんたは起きてるみたいね」そう言って女はコインランドリーを出ていった。その日以降バロウズは同じ日を何度もループしているのに、あのコインランドリーの女には一度も会っていない。

Drawing by SugaTakuya,Izmix
Music by Shintarow Takemiya
Story by SugaTakuya
Film by Hincho Tomasu
Cast
William•S•Burroughs
Vide girl

このストーリーの本編『Subterranean Radio』予告編

*本編『Subterranean Radio』は近日公開予定


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