無形商材の法人営業をやってみてほしい理由
無形商材の法人営業は経験しておくと人生で役立つスキルやマインドが身につくな、と日々実感しています。私はもともと個人向けの営業としてキャリアをスタートしましたが、ひょんなことから無形商材の法人営業を経験しました。両方とも同じ営業なのですが、使う「筋肉」が全然違います。この記事では、無形商材の法人営業でどんな筋肉が身につくのか、簡単にまとめます。
無形商材の法人営業で身につく筋肉は、将来的にどんなキャリアを描くうえでも価値の高いものであると考えています。私自身もソフトウェアの法人営業を経験することで一気にキャリアの選択肢が広がりました。いまは営業職を離れていますが、その経験がとても役立っています。新卒や第二新卒の方には是非視野に入れてほしい職業です。
無形商材とは
「そもそも無形商材ってなに?」という人もいると思います。無形なので、形が決まっていない商材です。例えば以下のようなものを指します。
・人材営業
・広告営業
・システム営業
・インターネットサービス営業
・金融サービス営業
「システムは形が決まっているのでは?」と思われる方も多いかもしれませんが、企業ごとの独自の業務に合わせたカスタマイズの塊なので最上級の無形商材だと思っています。
また、課題を解決する方法が固まっていないことに対して提案することも無形商材の特徴です。
たとえば、運送業を始めたい場合、運送用のトラックを買うことは必須です。この企業の購買担当者は、いくつかのメーカーの車種を並べて比較して答えを出すことになります。このプロセスは割とシンプルですね。「陸上での柔軟な運送」という課題に対して「トラックを買う」という解決手段はブレません。よって、これは有形商材の話になります。
でも、10台のトラックをできるだけ効率的に稼働させる仕組みづくりを外注するとなると、各社から様々な提案が出てきます。「スタッフの能力を上げる教育をしましょう」とか「効率化するシステムを作りましょう」とか「いやいやその前に何がボトルネックなのかを分析するコンサルティングをしましょう」とか。これは解決方法に様々な手段と組み合わせが考えられるので、無形商材の話になります。
なぜ経験しておくべきなのか?
理由はたくさんあるのですが、ざっくり言うと以下の3点に集約されます。
①売る能力だけでなく、課題解決能力が身につく
②決まった答えがない状況でも、論拠づけて答えを出せるようになる
③マネジメント能力が身につく
それぞれについて簡単に説明します。
①売る能力だけでなく、課題解決能力が身につく
無形商材の営業は、上述した通り解決手段が固まっていない課題に対する提案がメインです。よって、単純なサービス説明と価格交渉ではなく、提案するサービスが課題解決にもっとも最適な手段であることの証明が求められます。自社サービスをどのように組み合わせれば最善の解決策になるかを営業担当自身が考え、見出していく経験を積み重ねていくことになるため、課題解決能力が自然と磨かれます。
②決まった答えがない状況でも、論拠づけて答えを出せるようになる
①と重なりますが、顧客が解決手段が固まっていないことを外部に委託しようとしているということは、顧客の中でも暗中模索な状況が続いていると言えます。場合によっては、顧客自身が何が課題なのかわかっていないような案件さえあります。そんな中で法人営業は課題を仮説立てし、その仮説に対する答えを論拠付けて提示しなければなりません。こうした環境にいると、前提が固まっていない状態に慣れ、仮説に基づいて施策を実行していく能力が身につきます。
これができる人材は意外と少ないです。「確証がないと進められない」という人はどんな仕事もうまく推進できません。確証がない中で仮説を立て検証していく能力が身につく点は、非常に有益だったと感じています。
③マネジメント能力が身につく
有形商材の場合、モノと説明書があれば販売できますが、無形商材はそうはいきません。課題解決の手法を様々な人の意見を交えて組み立てていく必要があります。例えば企業向けの業務システムであれば、データベース・サーバー・UI・財務会計・管理会計・購買管理・販売管理・生産管理・在庫管理など様々な領域のプロフェッショナルから意見を収集していく必要があります。また、クライアント側にも同数のプロフェッショナルが存在し、彼らが納得する答えを用意しなければなりません。場合によってはクライアントの経営層に、自社の経営層をぶつけにいくような戦略設計も求められます。
つまり、ものすごくたくさんの人たちの意見を突き合わせて答え(提案)を作り上げていく必要があります。時間も掛かりますし、めんどくさい人もいます。そうした障害を踏まえて、期間内に多くのタスクを処理して最高の提案を作る必要があるのです。嫌でもマネジメント能力が身につきます。
まとめ
上記のような能力を若いうちに身につけておくと、キャリアの幅が広がると思っています。実際に無形商材の法人営業を経験した同僚たちは、マーケティングやプロジェクトマネジメント、総務管理、営業管理など様々なキャリアでその経験を生かしています。
また、転職市場においても重宝され、転職の選択肢も広がります。私自身も3年経験しただけで多くの上場企業からオファーをいただけるようになりました。「3年前まで中小商社の販売員だったのに…」と自分の市場価値が変わったことに驚きました。
とても大変な仕事でもあるのですが、ビジネス職で就転職を考えている方には是非検討してみていただきたいです。
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