前代未聞の砂丘らっきょうの不作の中で、鳥取のらっきょう屋が今していること
鳥取のらっきょうが、大不作です。
突然の告白ですいません。
らっきょう専門店「とまりのつけもの」の岸田です。私が生まれてきて、かれこれウン10年。長いこと鳥取のらっきょうに関わってきたのですが、本当に、前代未聞に、らっきょうがないのです。
もう少し正確にお伝えすれば、胸を張ってお届けできるサイズのらっきょうが仕入れられないのです。
私たちが扱う普段のらっきょうは、分球(ぶんきゅう)を繰り返して、これぐらいの大きさになります。皆さんがご存知の丸々と太った、立派ならっきょうですね。
でも、今年は、、、。
実が小さく、玉太りしていなくてほそ~いらっきょうだったり、粒自体が小さいらっきょう。これでは「歯応えバツグン、シャクシャク美味しい鳥取のらっきょう」として出すことができません。
「いやいや、らっきょうあるよ!? 今年もスーパーで買ったし、生らっきょうをうちで漬けたし!」
という方、いらっしゃいますよね。そうです。生らっきょうはあるんです。採れたてのらっきょうはあるけれど、ウチのメイン商品である「らっきょう漬け」をつくるためのらっきょうを仕入れられないのです。
どうしてこんなことになってしまうのか? 実は鳥取産のらっきょう独自の流通経路が影響しているのです。
鳥取のらっきょうが鳥取の漬物メーカーに届くまで
らっきょうは、農産物の世界では「青果」に分類されます。農産物、つまり野菜として販売されるんですね。
青果は、畑から取れたら新鮮なうちに市場(いちば)を通してスーパーさん等から消費者の元へ届けられます。もしくはJAで集荷されて、規格を通って市場(しじょう)に出ていく。
うちでは契約農家さんから直接も仕入れますが、鳥取のらっきょうの多くは後者の流れでやってきます。
皆さんがおうちで季節の手しごととしてらっきょうを漬けるのも、青果としてのらっきょう。5月中旬頃から、旬の野菜としてスーパーなどの青果コーナーに「生らっきょう」が並び始めます。
我々、らっきょう屋さんがらっきょうを漬けるのは、店頭から生らっきょうを見かけなくなった頃。そう、青果で残ったらっきょうが漬物として製品化されるのです。
つまり、不作であればあるほど加工用のらっきょうは限られる。それが今年は大不作。うちだけではなく、鳥取県内の他の製造メーカーさんもお手上げ状態となりました。こんなに原料がないのは、らっきょう漬物の製造を始めて30年近く、うちの社長でも記憶にないくらいのことです。
不作に備えて、らっきょう屋がしてきたこと
とはいえ、不作だからと嘆いてもどうにかなるわけではありません!!
今年はとびきりの不作ですが、それなりの不作は過去に何度もありました。そこから学び、私たちの会社がしたことは、自前のらっきょう畑の開墾です。
流通経路も出荷の仕組みも自分たちの力で変えることは難しい。それであれば、自分たちの畑で、自分たちが栽培して、お客様に確実にお届けできる分のらっきょうを確保できればいいじゃないかと。
そうして始まった自社栽培は今年で6年目。らっきょうの栽培をする農家としてはまだまだ初心者です。
草取りのタイミング、肥料のタイミング、植付ける間隔や気候の変化。生き物相手とはこういうことかというくらい、毎年違いました。その度に色んな方に助けて頂いて、そんな試行錯誤を繰り返す中で……
実は今年、粒の大きなしっかりしたらっきょうも出来たのです!!
自分たちで言うのも、、、ですが、まさに努力の成果!!
……とはいえ、まだまだ収穫量は少なく、不作分をカバーするほどは採れません。もっと収量を増やしていくためにはどうしたらよいか、課題は次から次へと出てきます。
肥料を変更したり、土壌の草取りもしっかりやりつつ、これから植える種球(たねきゅう)を変えてもらってみたり……結局のところ、やれることをやるしかないのですよね。
さあ、今年もいよいよ、うちの畑も今まさに植え付けの時期となりました。
畑の土壌も整え、種球選びも変えて、準備も万端です。暑さも落ち着いてきました。できること、できないことはありますが、1粒でもたくさんの美味しさをお届けできるように準備が始まっています。
植え付け作業がこれまた過酷なのですが、、、でも畑にちょこんと存在するらっきょうの姿がまたかわいらしいんですよ。
来年はたくさんのらっきょうを皆さんのお手元にお届けできるように、頑張ります!
最後にご紹介です。うちで獲れたらっきょうも使われれている、らっきょう漬けを食べ比べていただけます。数は限られていますが、ぜひご賞味ください!
甘酢らっきょう五産地食べくらべセット
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