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四つの星が煌めいて


 『ラブライブ!スーパースター!!』テレビアニメ2期、お疲れさまでした~。楽しかったですよ。ラブライブ!スーパースター!!はあれですね、当たり障りがあって良い。何も一筋縄では行かないし、こちら側にめちゃめちゃ考えさせてくる。楽しいコンテンツです。
 Liella!が本格的に9人になってきてそれなりに経ったところだし、テレビアニメ2期で感じたことをメインに各キャラクターへの所感や楽曲への感想を書いていこうと思います。
 当記事は2期生四人について書いてます。後日1期生についての記事も上げるので、良ければ併せて読んでみてください~



1. 鬼塚夏美

・概評

 明らかに普通じゃねー奴きた、と迎えたのが今や懐かし。大阪を沸かせたPVでの初登場シーンが今でも忘れられない。
 テレビアニメを経た今思うと、一番のサプライズ枠だったかもしれない。鬼塚夏美、基本変な奴でもあるんだけど、かなり人間ができてる。雑草魂的な芯の強さを持っているところが良い。でも一般常識はあまり持っていなさそうなのも良い。ハチャメチャやってて楽しい。
  元々「普通の女の子」感がないという評もあった(1期9話)Liella!の中に、パフォーマンス的な部分では特別な力を持っていない、努力の人が入ったというのは非常に大きなことなのかなと思う。
 ライブシーンでは思ってた以上に映えてて良い。見た目通りクソガキっぽい表情をする時もあれば結構大人な顔も見せてくれる。『Sing!Shine!Smile!』での大人びた流し目カットが印象的。「ビタミンSUMMER!」が世に生まれたのは夏美のおかげ。各曲の歌い分けでも結構印象的な部分担いがち。声が特徴的だからかな。『ユートピアマジック』、『POP TALKING』での夏美パートが恐ろしく好き。素晴らしい。この2曲は夏美が締めていると思ってる。目立つのは良いこと。ライブも楽しみです。今後もバッチリ決めて欲しい。

『Sing!Shine!Smile!』より

・きな子への助言

”でも、やってもいないのに向いているかどうかなんて、分からないでしょう?゛

 1話、こちらとしても探り探りの中、喋り方も声も特徴的でお祭り気分にさせといて終盤にこの名台詞。正直刺さったし、やられたと思った。「分からないでしょう?」という言い方が好き。後から分かるけどこの台詞も夏美自身の経験から来ているものだと分かり、尚更意味が出た。外面と内面のギャップが鬼塚夏美の魅力。
 と、思いきや『Welcome to 僕らのセカイ』を全然見てない。どころかうるせえとまで言い出す始末。奇想天外な奴め。意地でも源流に乗ろうとしない、それがLiella!のジョーカー鬼塚夏美。

・同期への発破

 澁谷かのん留学問題に際しLiella!の今後への不安が立ち込める中、まずは目の前のラブライブに向けて練習!と発破をかけられる強さ、本当に素敵。6話でもそうだったけど鬼塚夏美は、弱気になっても仕方ない状況でもそうじゃねえだろ顔上げろと言えるタイプの人間。精神的に打たれ強い。行動力の塊。
 加入は遅かったけど、夏美がいなかったら2期生の順応はもっと遅かったのかもしれないなと思えるぐらい、夏美の精神性は2期生にとって重要だったと思う。もし2期生の中で部長を選ぶとしたら、それは鬼塚夏美で良いと思う。そういう強さを持った人間なので、部をしっかり引っ張っていけそう。これからも2期生、ひいてはLiella!全員のケツを叩いて欲しい。



2. 若菜四季

・概評

 だいぶ面白い人だった。ネット受けしそうな自由な発明頻発するし、リケジョ設定かと思いきや謎に会話で英語使うし。英語使うキャラ付け雑すぎて一周回って好き。シンプルに顔が良い。正直エロい。あの練習着なんだよマジで。
 社会性が無いタイプのスクールアイドルは好き。もっと突き抜けてても良かったけど。意外とボケたがりでノリが良いところも可愛い。いろんな場面で笑わせてもらった。
 基本的にメイへの巨大感情で構成されてる人だけど、自分に自信を持っていない性格らしい。「こんな笑顔一つ作れない子に」、「四季はダンゴムシ」などと言っている。そういうところがいじらしくもあるけど、今後どう変化していくかは結構楽しみ。
 ライブシーン。個人的に刺さったカットとかはなかったけど、映るだけで「やっぱ顔が良いな…」となる。普段能面な彼女なので、なんというかちゃんとアイドルらしく笑えてるだけでこっちは嬉しくなる。歌声はメイとともに低い声で、Liella!の歌声を確実にアップグレードしてくれたと思う。『揺らぐわ』とか『POP TALKING』での四季はいい仕事してる。

ちゃんと笑えてるよ


・「言わないで…」

 花田大先生ありがとう案件の第4話、本当に良かった。個人的な話だけど『マリア様がみてる』を好きだった頃を思い出した。30分ずっと綺麗に演出された美しいお話だったと思う。
 四季メイ回だけどどちらかといえば四季に重点が置かれていたかなという気がする。メイは1話からスクールアイドルへの興味が描かれていたけど、実は四季も憧れを持っていたというオチを用意して、四季とメイの関係を明らかにしつつ、ラストにこれ以上ない演出で若菜四季を好きにさせる一撃必殺カットを放つ。この一連の仕組み、感服と言わざるを得ない。  
 メイの微笑を号砲に始まる、若菜四季をドアップで堪能する5.37秒間(筆者計測)は、この上なく幸せな時間だった。2期で一番盛り上がったのは間違いなくこのシーンであろう。

若菜四季 伝説の始まり


・「愚かさん」

 正直言われてみたい。このセリフが出たシーンに限らず、夏美との絡みが結構好きだった。四季ナッツは確かに存在する。ノリが合うのだろう。ゲスノリもっとやっていいよ。
 本当に米女メイ以外の人間に興味がなかった若菜四季が、Liella!を通じて社会性を手に入れていく過程が結構好き。性格的に共感できるし、素直に応援したくなる。メイしかいなかった、だからメイが幸せになればそれでいいと思っていた四季だけど、ようやく自分の気持ちにも気付き始めた。そしてグループで夢を叶える嬉しさを知った。歩き始めた若菜四季に、スクールアイドルが何をもたらすのか、非常に楽しみ。
 だから四季メイはもちろん推してもろて、もっといろいろなキャラクターと絡んでくれたら嬉しい。先輩なら同じ振付担当でいろいろ共通点がある嵐さんかな。嵐部長をなんかこう、なんか上手いこと懐柔してくれたら熱いな。どういう立場でLiella!を動かしていくのかに注目します。



3. 米女メイ

・概評

 ラブライブ!シリーズ全体通しても新種。中性的で目つき悪いタイプだけど、その分中身の可愛さが光るのが良い。可愛いところもっとみーせて!って思った。でも先輩に敬語は使ってて欲しかった。元々Liella!のファンであるという設定が好きだったので。作曲役になるとは思ってなかったけど、意外な属性で良いと思う。葉月恋との絡み方も好き。
 ライブシーンでばっちり可愛い顔見せてくれるのが本当に良い。『Chance Day, Chance Way!』のカット(下図)、この部分聴くと無条件でこのメイちゃんが脳に出てくる病気に罹ってる。好きなカットです。衣装も似合いすぎてて素晴らしい。『ビタミンSUMMER!』でも印象的だったな。イケメンでも可愛くてもいいので、もっといろんな顔を見せていって欲しい。歌声も良いです。四季と似た低音でクール系かと思わせといて、結構幅があって面白い。かっこよくて可憐で、時折色っぽい。冒頭を務めることが多いのも良い。確かに先鋒感あるしね。

ルールールーラールールのとこ

・若菜四季への感情

 四季と同じく4話から。四季からの気持ちばかり強いのかと思っていたら米女メイ、ちゃんとしっかり若菜四季のこと大好きなところが良い。四季が高校に入っても自分以外と関わろうとしないことを気にしてたり、四季に突き放されたら普通に悲しんだり。
 そして、なぜ四季と一緒がいいかという答えが「近くに居てくれたら、頑張れそうな気がするから」という、何にも染まってない純粋な気持ちで良い。「近くに居てくれたら」というセンテンスが素晴らしい。「一緒に頑張る」とかではなく、米女メイにとって若菜四季は「近くに居る」だけで意味があるんだなと分かる。そしてそれを素直に伝える純朴さも大好き。いつもは照れくさくてできないけど、大事な時はちゃんとまっすぐに伝えられる人間性。四季メイ、ちゃんと人気が出てて嬉しい。もっとやれ。

この笑顔


・漏らした不安

 5話終盤、夏美を追い立てる流れになった日の夜、2期生だけのシーン。練習風景を撮られることで1期生との差が露呈してしまうことを懸念して、「実力に差があるって、はっきり、分かっちゃうよなって…」という不安を2期生に漏らす。
 ここはどちらかというと籔島朱音さんの演技が好きだという話なんですけど、「はっきり、分かっちゃうよなって…」の部分、息の使い方が好きすぎる。本当に上手だと思う。
 で、こういう「普通に想定しうる不安」を隠さずに漏らせるのがある意味米女メイの魅力というか、いろいろなことにちゃんと不安になる「普通」の感性を持っていて、それに向き合ってちゃんと乗り越えてくれる健気さが米女メイを応援したくなる理由なのだと個人的には思う。歴代のスクールアイドルではマイノリティである常人っぽさが却って良い。後輩ポジションだからこその魅力。これからも沢山悩んで、皆と手を取り合って乗り越えてくれればいい。
 2期生全員に言えることだけど、3期ではLiella!自体をもっと引っ張るところも見せてくれると嬉しい。メイちゃんの成長に期待です。



4. 桜小路きな子

・概評

 筆者は桜小路きな子のことを愛している。2期生では一番好きだし、シリーズ全体でも上位に来るぐらい好きだと思う。見ていて本当にワクワクした。澁谷かのんがいなければ推しとして活動していたかもしれない。というか、たまに揺らぐときもある。それくらい好きになった。
 都会っ子が中心であるLiella!に吹いた新たな風。素朴で芋っぽいのが新鮮で、新加入一人目としてこれ以上なかったのではないかと思う。百面相であわてんぼうかと思いきや、誰とでもすぐに打ち解けられるコミュニケーション能力を持っている。人との距離感が妙に近い。さらっと毒舌かますところも良い。なんとなく「誰と二人きりになっても困らないだろうな」という雰囲気がある。信頼できる。あと意外と背がデカい。かのんより全然デカいのがなんか良い。メイに凄まれても全然きな子の方がデカいのもなんか良かった。
 自己卑下しがちなところがある。卑屈な子ではないんだけど、運動を伴うスクールアイドル活動で自分は劣っていると思いがち。すみれに都大会のことを告げられた時の「…ですよね(苦笑)」なんかもそういう性格が出てる。
 そのあたりも含めて、もっと桜小路きな子を知りたい。正直足りなかった。この物語の主人公である澁谷かのんを追い越そうと言わんばかりの主役面をさせても良かったとすら思う。そもそも上京した理由が明かされていなかったりするので、もっと深彫りしてください。
 歌、あまり上手過ぎないのが良かった。あれでいい。素朴な良さがあっていい。正直かなり早い段階で好きになっていたので印象的なカットといっても全部!と言いたくなるけど、特に好きなのを挙げるとすれば『WE WILL!!』の「あり得ないことだってさ、起こしちゃおう!」のカット。あの流れで映るということ自体がもう桜小路きな子に与えられた使命なんだと思う。きな子はそういうものを背負ってる。あとひたすら可愛い。庇護欲をそそがれる。『Sing! Shine! Smile!』のスマイルポーズ(勝手に名付けた)もとても可愛いねえ可愛いねえである。

「あり得ないことだって、起こしちゃおう!」


・一人でも

 2話。2期で一番好きな回。この回と出会えただけで2期は満足だったと言ってもいい。そのくらい胸の奥底にまで響いた回。
 桜小路きな子に対して、かなり厳しい仕打ちだと思った。新メンバーを加えるにあたり避けては通れない内容だったと分かってはいたけど、それをまず初めにきな子一人にぶつけてくるのがエグいと思った。「一年生が入らない!」→「練習のレベルを落とす」というあの流れでは、「きな子が入ったせいで先輩たちが練習のレベルを落とすことになった」と自責してしまうだろうし、自分ならその申し訳なさに耐えられなかったと思う。すみれと恋が誤魔化しで気を遣って、それをかのんが「気にしちゃダメだよ」とまた気を遣う。一人だけ未経験という環境の中で、これほどキツイ状況があるだろうか。
 だが、桜小路きな子は屈しなかった。目標を格下げし、部のハードルを落とすという決断をした先輩達に対して、勇気を振り絞った。   
 Liella!の方向性はこうじゃない、余計な気を遣うな、ごちゃごちゃ考えず優勝目指せよと、先輩たちに言い放った。相手は5人もいるのに。自分は1人なのに。運動できないし自分にそんな自信もないのに。一年生が入らないことへの危惧とか、自分に気を遣ってくれていることも全部分かっているのに。
 それでも、きな子が憧れた姿はこうじゃない。ハードルを下げたLiella!じゃない。きな子はたとえ一年生が自分1人でもお前らに追いついてみせる。今はできないこともできるようになって、一緒にLiella!でラブライブ優勝してやると、そんな気持ちの籠った言葉を真っ向から言い放った。この姿が本当にかっこよかった。この熱さがラブライブ!だと思った。
 澁谷かのんがそれに応えた。「それでも、頑張ってくれる?」と敢えて問いかける。もう、肯定が返ってくる確信しか無い最後の意思確認。抱きしめながら、私と出会ってくれてありがとうと言っているみたいだった。
   なんというか、あと3人入ることが分かっている視聴者側に対して、それでも敢えてきな子に「一人でもいい」と言わせることはすごく大事な過程だったと思う。
 さらには先輩たちへ気付きすら与えた。好きすぎるのでセリフ全部を引用する。

きっと伝わると思うんです!大変でも、やりたいことを続けていれば、その先にある楽しさは大きくなるって!みんなが一緒に、「やってみたい!」って思うものが作れるんじゃないかって!そう思うっす!!

 桜小路きな子の気持ちが全て乗せられた、至極完璧な口上。鈴原希実の名演技。
 ただ人を増やすのではなく、一緒に大きな夢を掴みたいという意志を持った人間なら、こっちから言わなくても勝手に入ってくる。だからLiella!は全力でありたい。
 このセリフこそが新メンバーを加える意義そのものだと思う。今自分が一番実力が劣っていると分かっていながらこれを言える、底に秘めた強気さが良い。こんな言葉が言える時点で、桜小路きな子とスクールアイドルには運命的な縁を感じてしまう。
 筆者は、5人のLiella!ことが本当に好きだった。この5人とならどこまでも行けると思っていた。だから、逆に、尚更、桜小路きな子が5人のLiella!を新たな形に切り拓いてくれたのが嬉しかった。同じだから。5人に憧れを持って、自分もこうなりたいと思って、Liella!をもっと大きくしたいと思って挑戦してくれたきな子の気持ちは、多分筆者がLiella!を好きでいる気持ちとそう変わらないのだと思う。
 だから、Liella!に飛び込もうとする意志を否定できる訳がなかった。はじめは複雑な気持ちもあったかもしれないけれど、思っていた以上にすんなり受け入れられた。最初の一人が桜小路きな子で本当に良かった。

・与えられた使命

 

2話Aパート
2話ラストシーン

2話、Aパートとラストシーンの対比。ラストシーンでもヘロヘロになりながら走るきな子だけど、スクーターで走るおばあちゃんがよりは速く走れるようになっている。そうやって一歩一歩、たとえ牛歩でも、憧れた先輩たちのようなスクールアイドルに近付いていける、そんな未来を示唆した秀逸なシーンだと思う。
 コンテンツとしての『ラブライブ!school idol project』ではメインとなるキャラクターは平等に扱われるが、ことテレビアニメにおいては、物語を進めるために主人公であるリーダーメンバーには特別な権限が与えられると思っている。
 で、これは筆者の勝手な解釈と願望だけど、桜小路きな子にはその半分くらいの権限は与えられても良いと思う。スーパースターは年が進んでいくコンテンツで、1期生の終わりまでは確実に描かれるものと考えられる。やるかどうか知らないけど、澁谷かのんの次のリーダーを用意しなければならない可能性はある。少なくとも示唆はしないといけない。そしてそれは確実に桜小路きな子だろう。一人目の2期生という時点で、桜小路きな子には背負わされているものがある。筆者は勝手にそう思っている。
 まあ何が言いたいかというと、桜小路きな子はもっと主体的に、もっとリーダー然としてしまってもいいのだと思う。Liella!を引っ張って欲しい。3期生が入ってただの歌詞担当ナンバー2になってしまったら流石に悲しい。すぐではなくても、スクーターのシーンで表されたように一歩一歩、少しずつ変わっていくきな子が見たい。Liella!の旗を掲げるきな子先輩、楽しみだな。



 当記事は以上です。Liella!に加わった四つの星は、まだまだ煌めき始めたばかり。今後どんな星になっていくのか、その過程を見守りたいと思います。


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