「直流ワールドへようこそ!」されてみた
マンション住まいなので、屋根一面にソーラーパネルを敷き詰めて、大容量蓄電池で全ての電気製品を駆動するというのは無理です。まずはベランダに小型のソーラーパネルを置き、ポータブル電源に充電するという、プチ・オフグリッドを試しています。
最近の電気機器は、内部は大半が直流で動いているので、ソーラーパネルからの電気をバッテリーに蓄電し、(それを交流に変換して使うのではなく)直流のままで使いませんか、という話です。
従来、太陽光発電というと、発電した電気を直接使う場合はもちろんのこと、蓄電池を備えて昼夜問わず太陽光発電の電気を使うパターンでも、結局は交流に変換して使うことになります。実はこの直流から交流への変換時にどうしても10%程度のロスが出てしまうとのこと。またACアダプターなどで交流から直流に変換するときにも10%のロス、パソコンなどに付属している箱型のACアダプターなどは30%ものロスが出てしまうのだそうです。
これではたとえば100W発電して貯めても、最悪63W(100Wx0.9x0.7=63)しか活用出来ず、4割近くがロスとなってしまいます。逆に言えばこのロスを減らせれば従来比で1.6倍もの電力が活用できるとも言えます。
100Wx0.9x0.7=63W → 4割ものロス
100/63=1.59倍 → 6割容量が増えたと考えることもできる
揃えたのはJackeryの1番小さなポータブル電源と65Wソーラーパネルです。ソーラーパネルにUSB Type-C出力がついていたり、バッテリーにUSBやシガーソケット出力を備えた上で、コンパクトにまとまっています。部品を集めて組み上げるよりも安く上がったかもしれません。
運用方針は、ポータブル電源の使った電力を天気の良い日に、ソーラーパネルで極力補充するという緩い感じ。「直流ワールドへようこそ!」でも、足りない分は既存電力で補えば良いとされています。1番小さいポータブル電源ですが、下記の機器使用で1日あたり20%から30%程度の消費で済んでいます。天気の良い時でソーラーパネルの発電が30-35W程度あるので、3-4日に一度でも充電できれば、自立して持続できる(オフグリッド)感じです。
主な使用機器
Macbook Air 2020
iPad Pro 12.9
Kindle Paperwhite
iPhone
Apple Watch
USB LEDランプ
無印良品USBポータブルファン
残念ながら購入したポータブル電源にはUSB Type-C PDのポートがないので、代わりにシガーソケットにアダプターを挿して使っています。
ACコンセントもついているので、ここにGaNのアダプターを指しても良かったのですが、せっかくの直流電源なので、変換なしで使いたかったからです。具体的にどちらがロスが少ないかは分かりませんし、誤差の範囲かな?とも思うのですが、ここは気持ちの問題です。
それ以外の機器はどうか
機器本体からACコードが生えているものは、たとえ内部がDC駆動でも改造しなければなりませんが、最近は弁当箱のようなACアダプターが外付けになっていて機器にはDCプラグを挿すタイプのものも増えてきました。ここに直接、蓄電池からの直流を接続できれば効率良さそうです。ということで、ついでに手元のACアダプター類を調べてみました。
手元のACアダプターで一番消費電力が大きいものでも48W、小さいものでは5W足らず。これなら容量的には十分なようですが、個別にみてみたいと思います。
ロゴスのファン
単一電池8本とはいえ、強風で50時間という効率の良いファンです。そもそも乾電池でも12V駆動で、キャンプ用品でもあることから車のシガーソケットからの給電向きな気がします。残念ながら、専用アダプターは売られていないようですが、多分汎用品でもいけそうです。夏までに探します。
My Book Duo (I-O Data扱い)
HDDを二台搭載して、さまざまなRAIDのモードに対応しています。より効率の良い独自のRAID構成が行える機器も存在しますが、実際トラブルが起きた時の復旧の手間を考え、RAID 1の単純ミラーリングで運用していました。ACアダプターの出力は12V 4Aで48Wと1番大きなものです。12Vなので、シガーソケット経由でもいけそうですが、いかんせんHDDですから、駆動中に電源が落ちてしまうのは危険です。現在はクラウドの活用で、2.5インチHDDをごく僅か使っているだけで、このHDD自体は既に使っていないので、深くは追求しません。
Dysonの掃除機
我が家には毛玉製造機(猫ともいう)がいますので、Dysonの吸引力には助かっています。26.1Vという若干見慣れない電圧ですが、容量的には20W(26.1Vx0.78A)なので、十分対応可能なはずです。調べたらカーチャージャーが別売りされていたので、とりあえず購入・・これもわざわざ5500円もするチャージャー買っても元が取れないだろうという脳内の正論は封印。
本当のことを言えば、最先端技術のDysonなのですから、ここはUSB PDに対応していただきたかったところです。
番外:iRobot ブラーバ用
付属するのはバッテリー充電器ですが、仕様を見ると4.15V 1.0A。この辺りもUSB充電できたらよかったのに。天気の良い時は、フローリングワイパーやDysonに加え、仕上げの床ふきに大活躍です。
本当はUSB PDに期待したい
USB PDは最大100W給電という能力に加え、PPSという、より細かな電圧・電流制御の仕様が備わっています。USB Type-Cで接続できる機器はこれらの機能に順次対応し、従来以上の高効率(急速充電やロス削減)を実現しています。
IT機器以外でもUSB PDに対応してくれれば、機器ごとにACアダプターを揃えなくても良くなりますし、何よりも直流を直流のまま使うことができるようになります。加えてDysonのようにリチウムイオンバッテリーに充電する場合、USBの通信機能(まあこっちが本来ですが)を活用してバッテリーの状態を細かく管理することもできるようになるでしょう。ある日、使おうとしたらバッテリー切れだったとか、どれくらい充電が残っているかわからないといったトラブルから逃れられるようになるかもしれません。
とりあえずの対応としても
あるいは話をシンプルにして、電圧や電流を選択できる汎用アダプターはどうでしょうか?例えば、同じ直流給電でもシガーソケットからの給電では出力は12Vに固定されています。したがって受電側が必要な電圧はDC-DCコンバーター機能で変圧してやらなくてはなりません。その点、USB-PDならパワールールと言っていくつかの電圧・電流の組み合わせが用意されています。それで足りなければPPSという機能で、より細かく電圧・電流を変化させることができます。そんな汎用のUSB PDアダプター誰か作ってくれませんかね?