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部屋の真ん中にあるテレビ

部屋の真ん中にブラウン管テレビが置き去りにされていた
中から吐き出したかのように、画面が割れて、あたりに散らばっていた
廃墟同然のビルの中、押し売りの芸術のように感じて、冷ややかな目で見ていた
いつかこれが、しめ縄でも巻かれて、祀られる日が来るのだろうか
遺産として、使い方もわからなくなったテレビがそこにあるのだろうか

過去の人たちは僕らの世界を笑って見ていてくれているだろう
テレビが仰々しく祀られていたら、僕らは少し笑って、僕らもそうだったなぁと頬杖ついて、また少し笑うんだろうな

テレビは祀られて、自分とは違う人間がそれを神聖視して、救われたらいい
救われてるんだから、もうそれでいい
そんな全てを笑って見ていればいい
それでいいじゃないか

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とまお:戸松拳也
いただけた時には、本買います。本を。