作詞講座 第二回 「遠近法」
遠近法ということについて。
近くのものはハッキリ見えて、遠くのモノはぼんやり見える。
歌詞で、その近景と遠景の組み合わせを考える。
近景と遠景、すなわち具体と抽象。
第一回に引き続きユーミンの歌詞を見てみよう。
コンセプトということでは、文語調の歌詞で和を表現しようとするコンセプトが明快だが、今回は具体と抽象について視点をあてよう。
沈丁花と固有名詞が出てきて、具体度が上がっている。
「沈丁花」のところ、例えば「白い花」などとするのが抽象。
固有名詞を入れて、具体度を高くすることで、歌詞にメリハリができる。
もう一つユーミンの例。
全体的に抽象度の高い歌詞だが、やはり「くちなし」という固有名詞を入れている。
さだまさしの歌詞などは、具体描写だけで構成されることも多い。
みごとな具体描写だ。
逆に、小田和正。
どこまで、歌詞を追っても具体描写は一切出てこない。
他の歌をみてみても、この人はあえて、そういう歌詞づくりをしてるのだと思う。
私の歌詞の例を挙げてみよう。
具体描写だ。「かみやーき小」「星野商店」と、固有名詞が登場。
こちらは逆に、抽象描写の例。
抽象描写が過ぎて、歌詞としてぼんやりしてるかなと思い、この部分二番ではあえて具体描写にした。
歌詞が具体的か抽象的か、近景遠景を意識してコントロールするのが肝要。
オーディエンスに明瞭なイメージを届けるなら、固有名詞的なアイテムを入れて具体化する。
オーディエンスに想像をふくらませてもらうなら、わざと歌詞を抽象化してぼんやりさせる。
その使い分けが、歌詞における遠近法だ。
作詞講座第二回のまとめ
「作詞の遠近法」
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