あと2ヶ月
水があって、平らな地面まで空が広がるオランダは、晴れると本当にきれい。晴れてない時は、雲の迫力でそれもまたドラマチックな景色になる。
あんまりきれいなので、ぼんやり走っていると時々、知らないうちに死んで天国へ来てしまったのかしらと思うこともある。天国に入れてもらえるような人生だったかな、あの件とあの件と、あとあれとあれとあれとあれとあれとあれとあれもあれも、そうだ、あれもあれもあったのに、地獄行きと判定されなかったの? 申告漏れ?? 自己申告制だったのに手続き飛ばしちゃったのかな、いや待って、私どちらかと言うと仏教の方が好きなんだけど、ここは……、と、他に誰もいないから、恥ずかしい思考も遠慮なく解放させられる。
薄曇りの向こうから太陽がピカ〜っとくると、全部の景色が輝きを増して、美しさ10割増しみたいなことになる。
そういう瞬間は、ごめんなさい、そうです、という気持ちになる。そんなに照らされたら隠せるものなんて何もない。または、太陽が親切で私を照らしてくれてると感じる時は、私はもう充分なんで、どうか今寒い人や辛い人のとこへ行って照らしてください、と願う。本当なら、ありがとう、太陽、もらった光の分がんばるよ、と思ったらいいところだけど、まだそのレベルに達してない。
そんなのもみんな、過去になる。
2ヶ月後に引っ越すことが決まったので、この景色とはおさらばだ。
流れ者なので、別れとか新しい環境とかはへのはずなんだけど、今回はちょっとセンチメンタル。
それは多分、この辺を走ってる間に、長年巻きつかれてこんがらがっていたものが多少解けて、緩んで、自由になれた部分があるからだな。ここを走れば出口に近づくと、頼りにして、安心している場所だから、来れなくなるのが不安と、そういうことか。
だったらまた、新しいところを走りまくればいい。
ハイイロガンのひなたち、君たちがガーガー空を飛び回る頃には私はもう来ないけど、元気に大きくなるんだよ。
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