中銀カプセルタワービルの解体を追ったNHKのドキュメンタリー番組の放映を、元住民の仲間たちと一緒に鑑賞する夜。
カプセルが縦に連なる特徴的なそのビルは、残念ながら昨年竣工50年のタイミングで解体されてしまった。でも、そこに住んでいた人たちはまるで「長屋」のご近所さんのように、離れてもまだ繋がっている。
ドキュメンタリーの映像には、何度も黒川紀章さんが登場していた。
黒川さんが1969年に上梓したホモ・モーベンスという本に書かれている「カプセル宣言」には、未来の都市と建築についての提言が詰まっている。
中銀カプセルタワービルが完成したのは、それから3年後の1972年。新陳代謝を意味する建築のコンセプト「メタボリズム」の理念に基づいて建てられた、2つのタワーと140個のカプセルからなる近未来的なビル。都会で仕事をするビジネスマン向けのセカンドハウスとしてつくられた分譲マンションである。25年をめどにカプセルは交換され、新陳代謝をするはずだったが、50年の節目の年に建物は解体されてしまった。
けれど、中銀カプセルタワービル保存・再生プロジェクトの前田さんたちの努力によって、23個のカプセルは救出され、これから第二の人生を送るために旅立とうとしている。