トマさん劇場#35「あと5秒、早く言って」/Canva試験使用
「エテルナ、ビルドアップ」
新零県立東大桑高等学校1年、榊あとなは変身した。
夏休み、一人でやってきた大阪で、他の人には見えない敵、「アダモノ」と戦うために。
榊が変身した魔法少女エテルナは、アダモノと戦うために、別の世界へ向かった。
現実と異世界の狭間と言えばいいのか。
現実と同じような景色が広がってはいるものの、周りの住民らは立ち入れない、誰もいない世界だ。
いつもながら、激しい戦いだった。
誰も見ていないから、自由に戦える。
構造物を傷つければ現実にも影響が出るが、魔法少女の多くが「変身」と共に持つ「修復・記憶消去」の魔法で元に戻すことができる。
激しい戦いは幕を閉じた。
地面を這って移動、大きな鎌で攻撃をかけるアダモノに対し、エテルナが水を波動状にして攻撃する「ウォーターバレット」を決め、彼女の勝利に終わった。
戦いが終わった際、交差点の角、エテルナの足元には、大きな穴があいていた。
ウォーターバレットがあまりにも強すぎたために、道路を掘削してしまったからである。
戦いが終わって5秒後、彼女が変身解除と共に修復・記憶消去に取りかかろうとした際、ある看板が目に入った。
「おねがい この付近の道路を掘さくする場合は、必ず下記へ連絡してください。 大阪ガスネットワーク(株) 北東部事業部 維持供給チーム…」とあり、末尾に電話番号が示されていた。
普段は冷静な彼女が、この時ばかりは慌てた。
連絡するよりも早く、「この付近の道路を掘さく」してしまっていたからだ。
文面からして必ず電話しなければならないほどの重要な内容であること、そして「大阪ガスネットワーク」から始まる、連絡先の名前からして、ガスについての重要な内容であることは明らかだった。
彼女は知っていた。地中にはガスの導管が埋められていて、導管が寸断されると、ガス漏れが起き、これが火気に引火すると爆発を起こす可能性があることを。
彼女は心の中で「遅い…あと5秒早く言って」と、戦いの前から掛けられていた看板に怒鳴り付ける。
ひとまず変身解除と共に修復・記憶消去を行う。
地面は元に戻ったが、地中のガス管を修復できたかどうかまではわからない。
平静を取り戻した榊は、スマートフォンを起動して電話を掛けた。
「大阪ガスネットワーク(株) 北東部事業部 維持供給チーム…」に、「この付近の道路を掘さく」してしまった事を伝えるために。
(了)(1003文字)
この作品はフィクションです。
実在の人物・地名・団体等には一切関係ありません。
しかしながら、作中のエテルナのように、道路を掘削する場合は、作中の「大阪ガスネットワーク」のような、各地域のガス導管事業者まで連絡しなければならない場合が(現実に)あります。
(その他作品)
今回はCanvaを試験的に使用してみました。
…ありっすねこれ!
やっぱり便利に良いのが作れるし。
これからもCanvaの活用について検討を進めていきます。