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明かり差すニュータウンの傍らで#4「宝くじ魔法学校の一等」/毎週ショートショートnote
半ば強引に入学させられた「宝くじ魔法学校」を卒業した私は、卒業プレゼントのブローチを使って、魔法少女になった。
「校長先……ち、ちょっと待って」
声もアニメの少女のように変質していた。
慣れない新天地に移って5日、さらに身体を慣れない少女の身体にされてしまう。
慣れないの3乗が私を襲う。
「どうしてこんな事を」
事情を探ってみる。
「私はこの地で『宝くじ魔法学校』を開いてから3年間、生徒が誰一人魔法使いにならず、魔法学校の評価基準である『魔法使いの輩出』を達成できず!そこで今回、君を強引ながら魔法使いの一種、魔法少女にしたのだ。まるで宝くじ一等に当たったかのような思いだよ!」
なるほど。何となく分かってきた。
「ふふっ、わかりました」
「宝くじ魔法学校の一等、全開で頑張ります!」
もうヤケクソだ。ウィンクもして決めてみる。
「よし、その心意気だ!頑張るのだぞ」
こうして私は、宝くじ魔法学校初の魔法少女となったのだった。
「宝くじ魔法学校の一等」に。
(了)(416文字)
あとがき
前回からの続きです。
「宝くじ」から発想を延ばしてたどり着くワードは「一等」だった、という訳で「宝くじ魔法学校の一等」というワードが生まれました。
なんだかんだあって幸せですもんね、一等は。
校長先生にとってはここに「魔法使いの輩出=評価基準の達成」が当てはまるという訳です。
おしまいに出てきた「…全開で頑張ります!」というのは再放送されていた「走る男」の影響。
冒頭に出る旅のルールに「(前略)旅を全開で楽しむべし」というのがあって、そこからです。
新生活も全開で頑張って、そして楽しんでほしい所存。
さあ、どうなることやらという感じッス。