突然ショートショート「ツノの呪い」/毎週ショートショートnote
昼休み、ツノがある東館の門を、クレーン車が通っていった。
うちの高校には新館と西館、そして東館が立っている中で、閉鎖されたあの東館に。
昔、卒業間近の生徒が死んだというのがあり、それ以降、館内で奇妙な現象が次々と起こり始め、新館の完成とともに閉鎖されたのだ。
よく『ツノがある東館』と呼ばれるのは、建物の上に、牛のツノのオブジェが乗っているから。死んだ生徒が卒業制作で作り、呪いを振り撒いているとか。
さて、気になって東館の門まで見に行くと、なんと奥でクレーン車がツノを持ち上げているのが見えた。
そしてツノは浮き上がり、ゆっくりと地上へ降りていった。
「東館を壊すからさ…とりあえず降ろしたんだよ」
化学の宮地先生が、僕の後ろでボソッと呟いた。
「そうなんですね」
「あぁ、とりあえず校内のどこかに置いとくって…大丈夫、呪いなんてただの迷信。目立つとこに置いときゃむしろ何もないって気づくよ」
そういう先生の唇は、何故か震えていた。
(完)(413文字)
マガジン
参加企画
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?