Story of Kanoso#38「自信をくれた立方体の思い出」/毎週ショートショートnote
「あっ?これで今月分もゲット」
彼礎市南区、都市高速4号線の日本田パーキングエリア。
トラックドライバーの高橋正幸は、道路公社発行のフリーペーパー「Way」をパンフレットラックから取り、トラックの運転席に戻った。
「Way」を開く彼の目が、ページ隅の豆記事を捉えた。
「“浮かぶ立方体“か」
それは、濃渡市の道路のそばに毎年秋出現する芸術作品で、高橋はこれに思い出を持っていた。
それは10年程前のこと。彼は仕事に苦労し、自分自身に自信を持てていなかった。
自信のない心で“浮かぶ立方体“の間を走っていた頃、フワフワ浮いた立方体の姿が彼自身のフワフワ浮いた心に響いた。そして、浮きつつも流されない立方体と自らのなりたい姿とが重ね合わさった。
その後、彼は自信を持ち、仕事もこなせるようになった。
これが彼にとっての「立方体の思い出」なのだ。
(了)(417文字)
あとがき
今回はいい話で終わりました。
高橋は立方体の姿に自身を重ねあわせ、そして自信を手にいれた、ということで。
さて、皆さんは高速道路のフリーペーパー類とかって、取りますか?ジブンは取る方です。
そして、4回続いた「高橋さん」シリーズはこれで終わりです。
反省点はタイトルに出した「彼礎」があまり出なかった事ですね。
「彼礎都市圏」であるとごまかしてほとんど「濃渡」で展開してしまう事態に。
次は「立法権の思い出」を書きます。ちゃんと彼礎市を舞台に。
Writen in the commuter train“1773“(Operated by Kintetsu Railway)
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