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明かり差すニュータウンの傍らで#6「2次会デミグラスソース」/毎週ショートショートnote

 私は魔法少女「マジカルフラペノワール」に変身して、男に絡まれたおばあさんを助けた。
 初めての戦いで、出した技の記憶が無いのだが、相手は逃げていったので、勝ったのだろう。ちなみに相手には当てていない。

 おばあさんはお礼を言ってきた。
「お嬢さん、助けてくれてありがとう」
「いえいえそんな」はにかんで謙遜する。
「お礼にそこでクラブの2次会があるから、出ていきなさい」
 地元を知るのに良い機会だ。
私は変身したままでおばあさんの家に向かった。

 家にはおばあさんが2人いた。
「皆さん、こちらは私を助けてくれたお嬢さんです」
「そうかい。ささ、みんなで食べな」
 自己紹介する間もなく、私はまず目についたコロッケを口に運んだ。
その瞬間、コロッケには似合わない芳醇な香りが口の中に広がった。

 「あの、これは…?」
「それはデミグラスソースコロッケさ。うちではお祝い事の時はいつもこれさ」

 なるほど、これは確かに悪くない味だ。
ゲートボールのお祝いに。私の初勝利祝いに。

(了)(415文字)


あとがき

 前回の続きです。
「明かり差す~」ではこうした企画回と通常回のつながりも意識しているんです。
 「お祝い事にデミグラスソース」。なんだか響きがときめく。
デミグラスソースはハンバーグが一番似合うと思いきや、実はコロッケだったという展開。食べた際の不思議な感じが妙に記憶に残りそうです(食べた事が無いのでわからない)。


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