突然ショートショート「秘密警察を宣伝してみる」/毎週ショートショートnote
その日、県警秘密警察隊の人事部で、極秘の会議が行われていた。
「えー、知っての通り、我々は国内で唯一、特殊技術によって世を騒がす『怪盗バロン一族』を捕らえるためだけに作られた秘密警察隊である。しかし、近年は人数増員が急務になっている。そこで、今回新入隊員の募集を県警内部と一般から行うこととなった」
「なっ…!」隊長の呼びかけに、隊員たちは皆驚いた。
「そんな馬鹿な!我々の存在が奴らにばれればおしまいですよ…」
「やむを得ない!今から君たちには何かそれについての宣伝方法を考えてくれ」
こうして、全員での討論は始まった。
「取りあえず、宣伝、してみませんか?ネット広告を出しましょう」誰かが声をあげた。
「『秘密警察を宣伝してみた』か…面白いじゃないか」隊長の一声で、宣伝は始まった。
そして『秘密警察を宣伝してみた』という言葉は話題になり、流行語にまでなった。
一方、怪盗バロン一族にも知られることとなり、結局秘密警察隊は消滅の運命を辿ってしまった。
(了)(418文字)