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突然ショートショート「妖精のお悩み」
ここは、人々が暮らしているのと同じ人間界である。その中で実は、小さな妖精が暮らしているのだ。
ゆるキャラのような、アニメのような見た目の妖精たち。
これは、そんな妖精の中の一体の物語である。
少し前のことだった。
この夏の厳しい暑さに、妖精は思わず呟いた。
「早く涼しくして欲しいミラ」
「そんなに暑いの?」
「暑いミラ!暑いものは暑いんだミラ!」
契約者で居候先の住人でもある少女の問いに、妖精は即答した。
「はいはい。もうすぐ家だからね」
「やったー!エアコン、エアコン!」
それから、月日は流れた。
気づけば季節は秋になったというのに、今年の暑さはまだ続いていた。
「エアコン、エアコン…」
「もうダメ。こっちが寒くなってしまうよ」
「どうするのミラ…」
「我慢、我慢。もうすぐ暑さもやわらぐよ」
「うーっ…」
妖精は、この微妙な時期が苦手だった。朝晩は寒く、昼間は少し暑いという日が続く時期。
さらに涼もうとすると一瞬で寒くなってしまう。
このジレンマをどうにかしたい。気づけば、いつもそんなことを考えるようになっていた。
そして、ある日のことだった。
とうとう昼間も寒くなるようになってきた。秋らしい天気がやってきたのだった。
「わーい、寒いミラ!」
「元気だね…」
「もう変に気温が上げ下げしないんだもん!ほらほら、行くよ!」
「わわっ、急に引っ張らないでよ~…」
妖精は、暑い寒いの感じ方も摩訶不思議だ。
(完)(582文字)