「そもそも論」から始めたい
私がこれまで仕事で出会ってきた指導者(≒ハイパフォーマー)たちに共通してみられる思考・行動様式は、「『そもそも論』から始める」ことだ。ウチの理事長がまずそうなのだが、それ以外の他の複数の事業所のトップにこの傾向があると思う。「そもそもさぁ」と声に出さなくても、それを踏まえた上での発言が多いという印象だ。
「そもそもを踏まえる」というのは、まず目的・前提を確認・吟味するということだ。会議で議案に対しどう対応するかを検討する場合、私などはすぐに対処法そのものを考え発言してしまいがちだ。すると「そもそも何でコレをやるんだっけ?」と理事長からツッコミが入る。
それを受けた私は、全員わかっているだろうと暗黙に当たり前に思っていた目的を言葉にする必要に迫られる。言葉にして語ってみると、自分が述べた目的と他のメンバーが認識していた目的とが違っていることがある。あるいは、その目的を全く忘れてしまっていたメンバーがいることもある。「あちゃー」と思う瞬間だ。
「わかっているだろう」とそのまま話を進めていたら、議論は同床異夢となり時間を無駄にしていたかもしれない。こういうことは滅多にない、のなら良いのだが、思いのほか数多くあると感じている。そもそもを考え目的を言語化することで、全員が前提を理解して確実に議論を進めることができるのだ。
この「『そもそも論』から始める」という思考・行動様式を身につけたい。ずっと変わらない理事長の姿勢に感銘を受け、そう思い始めてから10年近くはたつ。しかし身につかない。その理由を考えてみると、仕事をテキパキ片付けなければという強迫観念があるようだ。誰もそんなこと求めていないのに。上手くやって褒められようと思うから物事の本質=目的から外れるのだろう。
そういえば最近、利用者が有志で毎日お昼前に瞑想を行うようになったところだ。私も仲間に入れてもらおう。自意識を捨てる練習を始めるのだ。
(800字)
このエッセイについて
ハイパフォーマーに見習うべきところは思考・行動様式だと言われて、すぐにピンときたのが「『そもそも論』から始める」という思考・行動様式でした。書き始めてから「これは本の中で紹介されたリストにはなかったな」と気づき、「もしかするとあまり重要ではないのかもしれない」と思いました。しかし、自分が感銘を受けて身につけたいと思っている思考・行動様式なので「このまま行ってしまえ」と書き続けました。
終盤、身につかない理由について書こうと内省したとき、当初は「切迫感」→「心の余裕を持ちたい」→「瞑想」という流れができましたが、半日寝かせたあと見てあまりインパクトがないと気づきました。そこで理由をさらに深掘りした結果、「強迫観念」→「褒められたいから本質から外れる」→「自意識を捨てたい」→「瞑想」という流れができました。