イントロ
皆さん、こんにちは。
つい先日、大統領選挙が終わって11月相場が開始されたかと思えば、すでにサンクスギビングを目前に控える今日この頃ですが、いかがお過ごしでしょうか?
今日は今朝方にCNBCに出演したTom Leeのインタビューから、来年の米国経済や株式市場の行方を推察するための材料を拾っていきたいと思います。
不安材料が二つ解消
冒頭、番組司会者からここ数日の出来事、具体的にはNvidiaの決算とScott Bessentの財務長官任命の発表について見解を問われました。
和訳(意訳含む)「マーケットはこの二つのイベントを前にして息をひそめていたようです。その証に、Nvidiaの決算発表を終えて株式市場は上昇し始めましたし、今日のマーケットでは次期財務長官のニュースに対してポジティブな反応が見られます。両者ともにマーケットには良い出来事ですし、多くの資金が待機状態にあったことを物語ってもいます。これが今日の株価上昇の理由だと思います。」
上に示したグラフは11月初めからのS&P500, Nasdaq, Dow JonesそしてRussell2000指数を比較していますが、大統領選挙日の直後に一気に3~6%程度の上昇を見せた後、先週行われたNvidiaの決算後もほぼすべての指数が上昇していることがよく分かります。加えて、今日のニュースの効果も上乗せされた結果、最もパフォーマンスの弱いNasdaq指数で+2.7%、最もパフォーマンスの良いRussell2000で+6.5%の上げ幅となりました。
注目すべきセクター
すでに”トランプラリー”は始まってますが、今後注目すべきセクターについてTom Leeは以下のように述べています。
和訳(意訳含む)「基本的な指針としてはハト派的なFedか、もしくはトランプ政権で恩恵を受ける企業に投資すべきです。それは例えば、小型株、景気循環株の代表でもある金融株、特に地方銀行株、製造業株、そしてもちろんBitcoinに代表される暗号通貨とMicroStrategyなどのクリプト周辺株などが挙げられます。」
しかしながら、別の女性番組アンカーが至極妥当な懸念を示しました。
女性アンカー「ですが、経済成長を目指すトランプ政策とハト派的なFedの金融政策は共存可能ですか?いくつかの政策はFedの金利引き下げを妨げる可能性がありますよね?」
和訳(意訳含む)「そうですね。個人的にはマーケットは今のところ、(両者の共存可能性を)とても懐疑的に見ていると考えています。少なくとも、私たちのクライアントからはそのような意見を聞きます。ただし、裏を返せば、よい意味でのサプライズが起こる余地があるともいえるでしょう。一点だけ注意すべきことは、インフレ圧力やインフレ期待が今後も残り続ける限り、たとえ経済成長が強くともFedは金融緩和姿勢を継続できるということです。」
このような思考はTom Leeが度々披露するものです。つまり、市場参加者の大半が懸念するリスクに関しては、もしそれが杞憂に終わった場合には、大きなアップサイドのサプライズになるという点です。
来年の懸案事項
インタビュー後半で、Tom Leeは来年誕生するトランプ政権における懸案事項を2点あげています。
番組アンカー「週末に発刊されたTimes誌の1ページ目は関税措置を回避するために次期大統領を説得しようとする企業についてでした。また、今朝のロイターの記事によれば、畜農産業関係者が移民政策に対して特例を求めているようです。少なくとも来年を見通した場合、どの程度これらの政策に起因するリスクが存在すると思いますか?」
和訳(意訳含む)「関税や移民政策については今回の大統領選挙の目玉政策でもあったわけですから、投資家たちが懸念するのは当然だと思います。ただし、これらの政策は米国経済にとって大変ネガティブな圧力となります。ですから、次期政権の閣僚人事が正しく行われることがバランスの取れた政策ミックスを期待させるでしょうし、現在のマーケットはこの点を織り込み始めていると思います。」
最後に
今回紹介したように、来年のアメリカ株式市場に関しては、トランプ次期政権がどのような政策を、いつ実行するのかという不確実要素が懸念材料となりそうですが、これらを翻って見れば、それぞれの不確実要素がクリアされる度にマーケットにとってはポジティブサプライズとして受け止められる可能性があります。実際、今日の次期財務長官に関するニュースや、暗号資産関係でいえば先週に発表されたSEC委員長の辞職意向なども、この視点で見れば当然マーケットに対して上昇圧力を与えたといえるでしょう。
とはいえ、今週発表されるPCEなどのインフレ指標も、Fedがハト派姿勢を保てるかどうか、ひいては更なるセクターローテーションが起こるかどうかを判断するために非常に重要だと考えています。
今後も、いろいろと要チェック!ですね。
それでは。