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[スポトピ]No.32 金メダル野口みずきが呈する「脱・根性論」への疑問〜過保護な指導と自主性のバランス

スポトピは、スポーツに関する様々なテーマの記事を、筆者の個人的な見解で読み解きます。本記事は元記事に対して肯定的でも否定的でもなく、中立的な立場を取ります。

今回のテーマ

「指導者が過保護になっている」 野口みずき、履き違えた「脱・根性論」に呈する疑問 (https://the-ans.jp/coaching/158533/)

ニュースの概要

この記事は、2004年アテネ五輪女子マラソン金メダリストの野口みずき氏が、現代のスポーツ指導における「脱・根性論」の解釈、特に過保護な指導が増えている現状に疑問を呈している内容です。野口氏は、根性論を否定するあまり、指導者が選手に対して過剰に配慮し、自主性を奪っているのではないかと指摘しています。記事では、野口氏自身の経験(小出義雄監督の指導)を例に挙げ、厳しさの中にも選手を成長させる要素があったことを示唆しています。また、記事は「THE ANSWER スペシャリスト論」という連載の一部であり、様々なスポーツ界の話題を第一線を知る立場からの視点で語ることを目的としています。

個人的な見解

野口みずき氏の指摘は、現代スポーツ指導において非常に重要な問題を提起しています。確かに、過去のスポーツ指導においては、精神論や根性論が過度に重視され、科学的根拠に基づかない非効率なトレーニングや、選手の心身に悪影響を及ぼすような指導が行われてきた側面があります。その反省から「脱・根性論」が叫ばれるようになり、選手の自主性や主体性を尊重する指導が推奨されるようになりました。これは大きな進歩と言えるでしょう。

しかし、「脱・根性論」を履き違え、選手への過保護につながっているケースがあるという野口氏の指摘は傾聴に値します。過保護な指導は、選手から自ら考え、判断し、行動する機会を奪い、結果として選手の成長を阻害する可能性があります。コーチングの現場では、選手が自ら目標を設定し、その達成に向けて計画を立て、実行し、評価するプロセスをサポートすることが重要です。これは、コーチが一方的に指示を与えるのではなく、選手との対話を通じて、選手の自主性を引き出すことを意味します。

野口氏が例に挙げている小出監督の指導は、厳しさの中にも選手を成長させる要素があったとのことです。ここで重要なのは、厳しさの種類です。精神論に基づいた無意味な厳しさではなく、目標達成のために必要な努力を要求する厳しさ、選手を成長させるための的確なフィードバックを与える厳しさ、選手が困難に立ち向かうための精神力を養う厳しさなどが重要です。このような厳しさは、選手の自主性や主体性を損なうものではなく、むしろそれらを育む力となります。

近年、コーチングの世界では、ティーチング(教える)からコーチング(引き出す)へのパラダイムシフトが提唱されています。これは、指導者が一方的に知識や技術を教え込むのではなく、選手自身が持っている潜在能力を引き出し、自ら成長していくことをサポートするという考え方です。このためには、指導者は選手との良好なコミュニケーションを図り、選手一人ひとりの個性や特性を理解し、適切な課題やフィードバックを与える必要があります。

また、最新のスポーツ科学の研究では、選手の自主性や主体性がパフォーマンス向上に大きく影響することが示されています。選手が自ら目標を設定し、トレーニングに取り組み、自己評価を行うことで、モチベーションが高まり、トレーニング効果も向上することが分かっています。

今後のスポーツ指導においては、「脱・根性論」の本来の意味を理解し、選手の自主性や主体性を尊重しながら、適切な厳しさを持って指導していくことが求められます。そのためには、指導者自身がコーチングに関する知識やスキルを向上させ、選手とのコミュニケーション能力を高めることが重要です。また、選手自身も、指導者に依存するだけでなく、自ら考え、行動する姿勢を持つことが求められます。

提案としては、指導者向けのコーチング研修の充実、選手向けのメンタルトレーニングの導入、指導者と選手間のコミュニケーションを促進するツールの開発などが考えられます。

引用元

本記事のテーマに関連する詳細は、以下の記事をご参照ください:

「指導者が過保護になっている」 野口みずき、履き違えた「脱・根性論」に呈する疑問 (https://the-ans.jp/coaching/158533/)

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