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Sotusei geppou-#02

さて、卒制の進捗記録の5月分を書きます。オンラインゼミでの活動が本格的に始まり、様々な人との議論を行いながらテーマの醸成と大きなビジョンを考えるためのリサーチというのがこの一ヶ月行っていたことです。

テーマの深掘り

まず、働き方改革の話を深掘りして、市民が主体性を持つことと言うように抽象化しました。その背景には、コロナに伴って加熱している監視・生権力の議論があります。

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つまりは市民の相互監視によって公衆衛生の大義のもとに様々なことが制限されていく社会に対して抵抗するような工夫を戦術的に市民が行っていかなければ人と人が関わり合うことや、可能性や多様性が損なわれていくことへの拒否感が議論の引き金になっていると考えます。

ここで戦術的な都市への工夫というトピックからTactical urbanismというデザインアクティビティが有効打になるのではないかと考えました。Tactical urbanism(以下TU)とは市民が主導となって都市への介入を行うデザイン行為でいわゆる参加型デザインの文脈を強く引いています。(TUに関する情報は下記記事が非常に読みやすくわかりやすいのでおすすめです)

さらにもう一つ生権力の話と関連して最も重大な問題として今回取り上げているのが、日本国民の政治への無関心です。

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日本財団の18歳意識調査では若者の「自分で国や社会を変えられると思う」の項目への回答は18.3%という低スコアであったり、去年行われた参議院選挙では投票率が50%を下回るなど政治への意識が問題になっています。また直近ではTwitterの#検察庁法改正案に抗議しますに関わるムーブメントなどに見られるような政治への関心も生まれてきているように見受けられますが、自粛が解放され生活体制が以前の状態に戻った後にもこのような現象が起きるかどうかはまだ不明です。

以上の三点を踏まえて現在の卒業制作のテーマは「アフターコロナにおけるタクティカルアーバニズムの実践とそれによる市民の主体性獲得までのプロセス研究」という内容になりました。

以降のプロセス

目的のようなものはやんわりと見えてきたものの、主体性が獲得された状態とはどういうことをいうのか、TUはどう行っていくべきかもう少しいえば市民が関わるプロセスというのはどう作られるかなど、具体性が伴っていないためほとんど何も決まっていないような状態だという自負があります。なので、学部の卒制としては核となる問題の探索ぐらいの目安でやっていけたら十分かなというのが今のところの雑感です。なので、実際のプロトタイピングなどを通じながら、課題の本質や変わりゆく世界の情勢に反応していくような進め方を目指します。
目安としては
・6月→9月に実際に複数名の人と共同で制作したプロトタイプや実践
・9月→12月にその体験を通して得た戦術的都市生活の知見を体系化(WEBやハンドブック・論文など)
・1月→2月で大学院での継続した活動のための課題発見・知見収集を行う
というペース感を今のところ想定中(絶対いろいろ変わるけど)

後、個人的な事件として5月の中頃にPCにコーヒーを溢してしまい、ぶっ壊れてしまうということがありました。今はサブのちょっと古いデスクトップを使っているのですが、自粛が開けて移動が活発になったらピンチだなーという感じです。

ではまた6月にやってみたプロトタイプの報告を行いたいと思います。

今月読んだ論文・書籍など

書籍


論文

フーコーのパレーシア/ 相澤 伸依
 https://repository.tku.ac.jp/dspace/bitstream/11150/538/1/jinbun130-04.pdf

From designing to co-designing to collective dreaming: three slices in time / Liz Sanders, Pieter Jan Stappers 
https://dl.acm.org/doi/10.1145/2670616

街路・沿道連携型ストリートデザインマネジメントの展開プロセスに関する研究 / 野原 卓, 釣 祐吾
https://www.jstage.jst.go.jp/article/journalcpij/51/3/51_611/_article/-char/ja/

The early shaping of participatory design at PDC / Ditte Amund Basballe, Nicolai Brodersen Hansen, Ditte Amund Basballe
https://www.researchgate.net/publication/305728116_The_early_shaping_of_participatory_design_at_PDC

政策デザインにおける政策学的思考 / 足立幸男
http://ppsa.jp/pdf/37.pdf

公共の問題解決としての「政策デザイン方法論」の探究 / 松本淳志
http://www.pp.u-tokyo.ac.jp/wp-content/uploads/2016/02/51178017.pdf

ローティの道徳論 / 大賀祐樹
https://waseda.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=16055&item_no=1&attribute_id=162&file_no=1


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Hiroto Okuda
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