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首狩りの文化があるって本当?


首狩りの真実

タロコ族とネットで検索すると、「タロコ族 首狩り」と出てくる。本当だろうか。

Yuliさんに聞いてみたところ、確かに首狩りの文化があったそうだ。ただし、「首狩り」それ自体は特別野蛮なものというべきではない。西洋ではギロチンがあり、日本では斬首があった。

では、タロコ族において何が特異だったのか?

それは、首狩りができて初めて一人前とみなされたことだ。首狩りは男性が大人になるための通過儀礼であり、首狩りができた者のみ顎のタトゥーを入れることができたのだ。このタトゥーがないと社会的に無視され結婚もできなかったそうなので、拒否権はなかっただろう。

ちなみに、狩った敵の首は祖先に捧げる貢物となった。首狩りは、単なる武力行使の手段ではなく宗教的、文化的な意味合いが強いものだった。

狩に行く際につける耳飾り。
短い方に塩を、長い方に米を入れて持っていく。
Yuliさんが付け方を教えてくれた。
耳飾りに食料を仕込むなんて面白い!

ハンターにあう

タロコ族のハンター、ピ・タイル・ウカーさんに会うことができた。顔には、額と顎に立派なタトゥーが彫られている。彼は小学校を数年で退学し、ハンターとして生きる道を選んだ。と言っても、狩猟はあくまで文化の継承のためであり、生計のメインは音楽活動だ。彼は、シンガーであり、タロコ族の伝統的な楽器を操る演奏家でもある。
切り込みを入れた竹を口に咥え、紐を引っ張って音を出す楽器を演奏してくれた。ビヨンビヨンと輪ゴムを弾いたような音がした。

▼彼についての記事はこちら

▼意外だったが、Instagramもやっている。

https://instagram.com/piteyru.ukah?igshid=MzRlODBiNWFlZA==


若者と年配者の微妙な関係

受け継がれるべきタロコの文化だが、難しい問題もある。必ずしも、技術を持つ年配者が若者への継承に好意的なわけではないのだ。

機織りや狩猟と言った技術は、習得に時間がかかる。したがって、こうした技術を持つ年配者は、対面のリアルなコミュニケーションによって若者に技術を伝えたいと考えるのだが、今の時代の若者は忙しくなかなかそれが難しい。

ピ・タイルさんは、「今の若者は集中力がなく、文化を継承するに値しない。がっかりにするのに疲れたのでもう諦めたんだ。」という。小学校などでの文化継承活動や、文化体験教室などの軽い活動に留めた方が、心が平和でよいという。
若者も若者なりに、タロコの音楽をヒップホップ音楽とミックスしてみたり、ブレイクダンスと合わせてみたりと新しい方法で文化を継承しようとするのだが、意見は割れている。

年長者を敬う慣習が強いタロコの文化において、若者が年配者に強く意見を言うことは望まれない。若者と年配者が歩み寄るというよりは、若者側が一歩下がって接することが、上手く折り合いをつける一つの方法だろうというのがYuli さんの意見だった。

▼原住民の伝統音楽をリミックスしたパフォーマンス

▼タロコ族の暮らしや言語についてはこちら


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