ゲルの台所事情② ストーブで調理するモンゴルの人々
調理台は一つ、冷蔵庫もないゲルの台所。
コンロや水回りも、工夫で溢れていた。
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ゲルのコンロ
ゲルにコンロはない。ガスがついていないので当然だ。もちろん、IHでもない。そんなことしたら一瞬で電気がなくなってしまう。
ではどうするか。ストーブだ。
ゲルの中央には、必ずストーブが置いてある。
寒い時はここに薪をくべ、火をつけ、暖を取るのだ。そして実はこのストーブ、上部に蓋がついていて、パカッと開けることができる。
この開けたところに、大きな中華鍋がすっぽりとはまるので、直火で調理ができるのだ。
さらに、このストーブは鉄でできているので、ストーブそのものが熱い。つまり、ストーブの上にヤカンを置いておくだけで、お湯を沸かすこともできるのだ。
暖を取れ、料理もできるので一石二鳥なわけだが、ひとつだけ気になったのは、夏どうしているのかということだ。
ストーブはかなり威力が強く、火をつけるとすぐに室内はサウナ状態になる。
夏のゲルは、薄い布を使って建てるので、冬よりは風通しが良いのだろうが、それでも暑そうだ。
夏は、暑さに耐えながら調理をしているのか、それとも火を使わない調理をするのだろうか。聞き忘れたことが悔やまれる。
台所の水事情
移動式住居のゲル、水道管は通っていない。
トラックを使い、近くの井戸から水を運んでくるのだ。当然水はとても貴重。
運んできた水は、大きなタンクに入れ、大事に使う。
ゲル内には簡易的な洗面台もある。
蛇口の上にあるバケツに水を入れると、使えるようになる。排水はどうしてるのかと、洗面台下の扉をパカっと開けると、ボウルが置いてあった。
とてもシンプルなつくりである。
食器洗いも水の節約だ。
日本みたいにジャブジャブ水を使って洗うことはできない。
鍋で湯を沸かし、そのお湯で全ての皿を洗うのだ。
洗剤は使わず、布で拭うようにして洗っていく。
きちんと汚れが落ちるのか不安になるが、料理は汁物が多いので、あまり問題にはならない。
そもそも、皿にこびりつくような料理は作らないのだ。
最後に、食器を洗った水は、犬の飲み水として与えていた。
洗剤をつかってないし、洗ったのは食器なので、安全だし、合理的だ。
一つ一つの行動に工夫が詰まっていて、ただただ感心したのであった。
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